キャベツの糖含量向上のための窒素栄養診断法
【 要約 】 キャベツの結球初期における外葉部の硝酸含量と葉色値(SPAD値)を測定するこ とにより結球の糖含量と収量が予測でき、この栄養診断に基づく分施が可能となる。
北海道立中央農業試験場・環境化学部・土壌資源科 連絡先 01238-9-2001
部会名 生産環境 専門 栽培 対象 葉茎菜類 分類 指導

【 背景・ねらい 】
 キャベツの糖含量を高めることは食味や貯蔵性を向上させる重要な要因であるが、その向上のための方策は明らかではない。そこで高糖含量キャベツの生産を目的とし、生育途中の窒素栄養状態の測定値から収穫時の糖含量と生産性を予測する方法、およびこの予測に基づく分施の可否判断の指針を策定する。

【 成果の内容・特徴 】

  1. 外葉部の硝酸含量は結球重と正の相関関係にあり、時期別では結球初期に高くなる傾向を示す。また、葉色値であるSPAD値は収穫時の結球の糖含量と負の相関関係を示し、結球初期でより高い相関係数を示す(図1、2)。
  2. 外葉の硝酸濃度は金系201では750mg/100FW以上、アーリーボールでは600mg/100gFW以上必要である。目標糖含量を晩春まき2.5%、初夏まき3.5%とすると、SPAD値(葉色)は金系201で晩春まき50以下、初夏まき40以下、アーリーボールで晩春まき50以下、初夏まき45以下にすることが必要である。
  3. 外葉の硝酸含量が高いと分施による増収効果が低下する傾向にあり、SPAD値が高いと糖含量が分施により低下する。
  4. 高糖度のキャベツを生産するためには基肥窒素量を15.4〜16.5kg/10a程度にし、分施時期に外葉部の硝酸含量とSPAD値(葉色)で窒素栄養診断を行い生産性と糖含量を予測し分施の可否を判断することが合理的であり、そのための指標は表1のとおりである。

【 成果の活用面・留意点 】

  1. 本試験の作型は晩春まきと初夏まきを対象としたものである。
  2. 栄養診断は結球初期に生育中庸な個体10個以上で行う
  3. 有機物管理は施肥標準に準ずる。

【 その他 】

研究課題名:栽培環境に対応した露地野菜の品質制御技術の確立(パートⅠ)
予算区分:道費
研究期間:平成7年度(平成5〜7年)
研究担当者:日笠裕治

        「平成8年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.313