導入てんさい新品種「H 123」
【 要約 】 導入てんさい品種「H 123」は、根重が「メロディー」より多く、根中糖分は「メロディー」よりやや低い。糖量は「メロディー」より多収である。抽苔耐性は「メロディー」並の強である。褐斑病抵抗性は「メロディー」並の弱である。適地は北海道一円である。
北海道立十勝農業試験場・研究部・てん菜特産作物科 連絡先 0155-62-2431
部会名 作物 専門 育種 対象 工芸作物類 分類 普及

【 背景・ねらい 】
 昭和61年の糖分取引開始後、糖分が高く根重の少ない糖分型品種と、根重、糖分ともにやや高い中間型品種が普及され、中間型品種の「メロディー」は、平成3年に優良品種に認定された後、主要品種の一つとして作付が年々増加し、平成6年では約2万ヘクタールに達した。しかし、平成5年の冷湿害、平成6年の多雨、平成8年の冷害などにより、てんさいの生産性は低下し、収益性の低下が農家のてんさい栽培の意欲をそいでおり、特に収量性の低い地域では、多収性品種に対する要望が高まっている。そこでオランダのバンデルハーベ種子会社が育成した3倍体、単胚の一代雑種「H 123」(MOMS30,13.4×T5/56)について、平成5年から4年間にわたって全 道的に試験を行った。

【 成果の内容・特徴 】

  1. 「H 123」の根重は「モノホマレ」、「メロディー」より多い。
  2. 根中糖分は「モノホマレ」並で、「メロディー」よりやや低い。
  3. 糖量は「モノホマレ」、「メロディー」より多い。
  4. 品質は「モノホマレ」並である。
  5. 抽苔耐性は「モノホマレ」、「メロディー」並の強である。
  6. 褐斑病病抵抗性は「メロディー」並の弱である。

【 成果の活用面・留意点 】

  1. 収量性の低い地域を中心に「メロディー」の一部に置き換えて、北海道一円に普及奨励する。
  2. 褐斑病に対する抵抗性は弱なので、適期防除に留意する。
  3. 根腐れの発生することがあるので排水不良な圃場では栽培を避ける。
平成8年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
課題名:てんさい「H 123」(普及奨励)

【 その他 】

研究課題名:てんさい輸入品種検定試験
予算区分 :受 託
研究期間 :平成8年度(平成5〜8年)
研究担当者:阿部晴記・手塚光明・吉村康弘・有田敬俊・相川宗嚴・越智弘明・梶山努・大波正寿・奥村理・今友親・吉田俊幸・土屋俊雄・宮本裕之・沢口敦史・中島和彦・田中征勝
発表論文等:なし

        「平成9年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.4