ごぼうの生育特性と施肥管理
【 要約 】 ごぼうの発芽適温は21〜30℃で、播種深度は2〜3cmが適当である。葉の最大繁茂期は播種後120日前後で、根重の増加は播種後60日頃から旺盛となり、90〜120日での増加が著しい。窒素の最大吸収期は播種後130日前後で、収穫期の吸収量は18kg/10a程度である。適正な窒素施肥量は15〜18kg/10aの範囲にあるが、さらなる減肥も可能である。カリの施肥は収量・品質に影響が少なく、18kg/10aが適量である。
北海道立十勝農業試験場・研究部・園芸科 連絡先 0155-62-2431
部会名 作物 専門 栽培・肥料 対象 根菜類 分類 指導

【 背景・ねらい 】
 現在、北海道におけるごぼう栽培では収量性の改善はもちろんであるが、根長の不足・根先の肥大不良・歯ごたえの不足・日持ちの悪さ等についても、早急に解決されなければならない問題である。これからの産地間あるいは輸入品との激しい競合の中で、北海道のごぼう生産をより発展・拡大させるためには、まず作物としての特性を充分に把握し、合理的な栽培管理法・施肥管理法を確立する必要がある。

【 成果の内容・特徴 】

  1. 10〜36℃の範囲で発芽し、適正温度は21〜30℃である(図1)。
  2. 10℃以上の水に種子を浸漬することによって発芽を早めることができるが、水温が44℃以上になると種子は発芽抑制を受ける。発芽率は浸漬しない場合でも高く、浸漬処理した場合との差はなかった。
  3. は種深度は2〜3cmが適当であり、5cmより深くなると発芽率は極端に低下する。
  4. 葉の最大繁茂期は、は種後120日前後である。根の肥大は、は種後60日頃から旺盛となり、特に90〜120日での根重増加が顕著で、この時期の根重増加量は一日当たりおよそ3gに達する(図2)。
  5. 窒素の最大吸収期は、は種後130日前後であり、吸収量は平均でおよそ18kg/10aである。最大吸収期以降は、葉の枯凋が進むにつれて総吸収量は若干低下する(図2)。
  6. 葉の無機養分含有率は生育中期以降徐々に低下する。根では、リン酸含有率は生育初期から収穫期までゆるやかに増加する。窒素及びカリ含有率は、は種後80日頃までは低下するが、その後は横ばいになり、さらに、生育後期になると葉からの養分転流により増加傾向を示す(図3)。
  7. 窒素の適正施肥量は、栽植密度にかかわらず15〜18kg/10aの範囲であるが、肥沃度の高い圃場ではさらに減肥も可能である(表1、2)。また、窒素施肥量が増えるのにともない、根では乾物率及びイヌリン含量が低下する。
  8. 施肥したカリがごぼうの品質・収量に及ぼす影響はほとんどなく、カリ施肥量は根による畑からの持ち出し量を考慮すると、標準施肥量である18kg/10aが適当である(図4)。

【 成果の活用面・留意点 】

  1. これまで北海道ではほとんどやられていない、ごぼうの発芽および栄養特性と施肥に関する試験であり、産地での基礎資料として応用できる。
  2. 施肥試験における基肥の施用法は部分深層混和法のみを用いている。
 ・平成8年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
  課題名:ごぼうの生育特性と施肥管理(指導参考)

【 その他 】

研究課題名:ごぼうの生育特性と施肥管理
予算区分:道単
研究期間:平成8年度(平5〜8年)
研究担当者:西田忠志・日下孝人・越智弘明
発表論文等:西田忠志・越智弘明;ごぼうの生育・品質と窒素およびリン酸栄養の関係、日本土壌肥料学会講演要旨集、第41巻、1994

        「平成9年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.57