代替敷料の特性ならびにオガクズ再利用による節減効果
【 要約 】 敷料に関するアンケート調査の結果、地域によって敷料不足に差が見られ、規 模の大きな農場ほど不足が深刻であった。代替敷料として古紙の利用は有望であった。 また、オガクズの再利用は水分を落とすための強制乾燥施設の導入が必要である。
北海道立新得畜産試験場・家畜部・肉牛飼養科
生産技術部・環境資源科
連絡先 01566-4-5321
部会名 畜産・草地(畜産) 専門 環境保全 対象   分類 指導

【 背景・ねらい 】
 敷料資材の供給量・資源が制約されている中で、乳牛・肉牛の多頭化が進み、敷き料の確保が量的・経済的に畜産経営を大きく圧迫している。そこで敷料不足の実態とその要因を知る目的でアンケート調査を実施すると共に、新たな敷料資材を古紙類に着目してその特性調査と牛床への敷き込み試験を実施した。さらに、敷料の再利用の可能性を事例調査により検討した。

【 成果の内容・特徴 】

  1. 調査の結果、地域別では「十勝」と「中央」で敷料に困っている割合が高かった。飼養家畜別で見ると、「乳牛」および「乳・肉複合」で困っている割合が高く、「肉牛」では3割以下であった。また、飼養頭数が101頭以上の大きな農場で困っている割合が高かった。
  2. 新聞古紙・裁断ダンボール・モミガラ・バガスを用いて(表2)、牛床へ敷いた時の水分含量の変化を図1に示した。オガクズと比較して、新聞古紙および裁断ダンボールで水分含量の上昇が緩慢であった。敷き込み量の少なかったバガスは、オガクズと比較して約半分の日数しか使用できなかった。本試験(コンクリート床の牛床で、1房あたり5〜6頭の群飼養の場合)の結果、どの資材を用いても1日1頭(体重500kgとする)あたり換算で5〜6kgDMは必要である。
    敷料資材の特性評価をした結果、用いた4種類の中には問題のある資材はなかった。ただし、それぞれに欠点もあるため利用する際には考慮が必要である(表3)。
  3. 乾燥過程の敷料温度ならびに水分含量の変化を図2に示した。ショベルカーで1週間に1〜2回の切り返しを行ったが、水分の低下は容易に進まなかった。再利用を目的に、敷料(オガクズ)を発酵熱と切り替えしによって乾燥させるためには、長い期間を要することが明らかとなった。また、本試験の条件下でオガクズを再利用した場合、年間の節減量は6%程度にしかならないと試算された。
  4. 通風乾燥施設を利用した敷料の再利用により、年間の敷料費を2/3〜1/2に節減できる事例があった。それらの事例では、通風時間や通風間隔などにより敷料の乾燥効率は大きく変化した。

【 成果の活用面・留意点 】

  1. 敷料用に加工された新聞古紙およびダンボールは購入価格が高いため、現段階では経済的メリットは小さい。
  2. 新聞古紙については、量的にはわずかと思われるが、牛が食べるため、飼料摂取量への影響については留意する必要がある。
  3. 本試験で用いた資材については、堆肥として施用した場合の作物に対する肥料効果については未検討である。
平成8年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
課題名:敷料用資材の探索と節減法(指導参考)

【具体的データ】

表1 敷料利用状況アンケート1)集計表
N敷料に困っている十分確保できる
調査地域(1)十勝3545.754.3
(2)天北1414.385.7
(3)中央3148.451.6
飼養家畜の種類(1)乳牛3756.843.2
(2)肉牛3625.075.0
(3)乳・肉複合742.957.1
家畜の飼養頭数(1)0頭〜100頭4833.366.7
(2)101頭〜300頭2454.245.8
(3)301頭以上850.050.0
1):平成6年調査

表2 資材の敷き込み量1)
資材名敷き込み量
新聞古紙300kgDM
裁断ダンボール360
モミガラ290
バガス145
オガクズ325
  1):床面積34m2に対する量

表3 敷料資材の特性評価
資材名水分含量吸水性乾燥速度堆肥化総合評価
新聞古紙○〜△
裁断ダンボール○〜△
モミガラ×○〜△
バガス○〜△
オガクズ

【 その他 】

研究課題名:新敷料資材の探索と節減法の開発
予算区分:道費(家畜糞尿利用技術開発事業)
研究期間:平成8年度(平成6〜9年)
研究担当者:杉本昌仁・寒河江洋一郎・田村 忠・前田善夫
発表論文等:特記事項無し

        「平成9年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.326