水煮ばれいしょの硬さ評価法
【 要約 】 物性測定機器(テンシプレッサ)を利用した水煮ばれいしょの硬さの測定条件を確立 した。この硬さ測定値は、官能検査との関連性も高く、品種特性値の一つとして活用で きる。
北海道立中央農業試験場・農産化学部・品質評価科 連絡先 01238-9-2001
部会名 流通利用 専門 食品品質 対象 いも類 分類 研究

【 背景・ねらい 】
 北海道の主要農産物であるばれいしょは、加熱調理されて用いられることが多く、加熱後の品質は重要な特性である。そのため、水煮ばれいしょの硬さについて着目し、ばれいしょ品種の特性値として位置づけを調査し、硬さ評価法についてその測定条件の検討を行ない、標準的な測定方法を設定する。

【 成果の内容・特徴 】

  1. 硬さの測定条件について検討を行い、次のように設定した(図1)。塊茎を外径17mmのコルクボーラで横に打ち抜き、その中心部を高さ10mmに調製し、水煮時間は沸騰蒸留水中で 7.5分加熱する。室温での放冷時間を1時間とし、水煮1時間後から3時間後までの間に、テンシプレッサなど物性性測定機器で硬さ(破断点)を測定する。
    測定機器では、ばれいしょ切片より大きい直径30mmのプランジャを使用し、プランジャの移動速度は 120mm/minとし、プランジャと試料台の最圧縮時の距離は8mmに設定する。測定回数は25回を標準とした。
  2. 試料に対して垂直に力が加わるタイプの装置の測定条件を同様に揃えると、硬さの測定値に、有意の差異は認められず、相互に測定値の比較が可能と考えられた(表1)。
  3. 機器測定値の硬さと官能検査の間には、明らかな関連性が認められ、機器測定値は具体的数値として、品種の特性や調理適性の評価に、有効に活用可能である。
  4. 機器測定による硬さ評価と品種の関係を検討した結果、水煮ばれいしょの硬さ測定値は、栽培年次や栽培地より品種間の違いの方が大きく、各品種間に明らかな硬さの違いがみられた。このため、硬さは品種特性値の1つとして利用可能と考えられた(図2)。
  5. 硬さに関与する要因としてはでん粉価があり、同一品種の中では、でん粉価が14%以上のいもでは、ばらつきが少ない傾向にあった(図3)。

【 成果の活用面・留意点 】
ばれいしょの品種特性値の一つとして活用が可能である。
 平成8年度北海道農業試験会議における課題名及び区分
 課題名:水煮バレイショの硬さ評価法(研究参考)

【 その他 】

研究課題名:食用バレイショの品質評価技術の開発並びに新用途向け品種の検索
予算区分:道費
研究期間:平成8年度(平成6〜8年)
研究担当者:古館明洋・目黒孝司
発表論文等:古館明洋・目黒孝司・神山かおる(1996):バレイショ塊茎中のでん粉価の違いと硬さの評価、1996年度日本土壌肥料学会北海道支部秋季大会講演要旨集

        「平成9年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.386