ホワイトアスパラガス収穫機
【 要約 】 開発した一斉収穫方式のホワイトアスパラガス収穫機は培土中のアスパラガスを回転切断刃で切断・掘り取り、コンベアで土砂分離を行った後、拾い上げる方式である。回転切断刃での茎の切断は良好で、収穫したアスパラガスの損傷、損失は少ないが、一斉収穫であるため規格品歩留りは29〜54%である。
北海道立中央農業試験場・農業機械部・機械科 連絡先 01238-9-2001
部会名 総合研究(農業物理) 専門 機械 対象 葉菜類 分類 研究

【 背景・ねらい 】
 北海道の特産物であるホワイトアスパラガスの作付面積や生産量が大幅に減少しており、これは輸入品が安価であること、栽培農家の高齢化や収穫作業の重労働などが原因である。そこで、収穫作業の軽労化、省力化を図るため、一斉収穫型のホワイトアスパラガス収穫機の開発を行った。

【 成果の内容・特徴 】

  1. 慣行収穫の作業能率は6.0a/hであり、圃場から作業場までの運搬、作業場での洗浄・切断などの調製作業を含めると4.8a/hである。また、収穫作業時の疲労部位は腰背部と肩、腕の付け根、手首である(表1,2)。
  2. ホワイトアスパラガス収穫機はトラクタ直装式で、収穫方式は一斉収穫である。収穫機の切断刃は直径800mmの回転円盤刃で周速は0.8m/sである。回転円盤刃の切断性能は良好で、直刃では切断が困難な緑茎のような表皮の硬い茎でも滑らかに切断できる。コンベアはゴム被覆を行い、また衝突による損傷を低減させるため高さ約15mmのゴム突起付きである(図1)。
  3. コンベアは土壌水分が高くても土砂分離が良好である。
  4. 収穫期間中に約7日間隔で、7〜8回収穫を行う。一斉収穫であるため機械収穫による規格品歩留りは29〜54%と低い。しかし、収量が高いほど歩留りが向上する傾向が認められる。機械収穫したアスパラガスの損傷は1%と少なく、品質は慣行収穫とほぼ同じである。また、収穫損失は4%程度と少ない(表3)。

【 成果の活用面・留意点 】

  1. 一斉収穫であるため、規格品歩留りが低下する。
  2. 圃場が軟弱であっても収穫できる走行性の良い車両および最低地上高の高い車両を検討する必要がある。
平成8年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
課題名:ホワイトアスパラガス収穫機の開発(研究参考)

【 その他 】

研究課題名:ホワイトアスパラガス収穫機の開発、ホワイトアスパラガス機械収穫試験
予算区分:共同研究、受託
研究期間:平成8年度(平成5〜8年)
研究担当者:原 令幸*・玉木 哲夫*・竹中 秀行**・渡辺 和彦***・前田 智雄
**** 中央農業試験場、** 根釧農業試験場、*** 北海製罐(株)研究所
発表論文等:原 令幸,ホワイトアスパラガス収穫機の開発,農耕と園芸11月,91〜93
回転切断刃
土砂分離コンベア
搬送コンベア

        「平成9年度普及奨励ならびに指導参考事項」 P.395