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中央農業試験場

道総研経営研究成績一覧



 

<令和3年>

 

1.水田機能の維持と所得増加に向けた経営指標の策定手順
〔担当〕道総研中央農試 農業システム部 農業システムG
〔対象地〕水田作地域
〔内容〕水田農業が有する多面的機能の価値は、12,961 円/世帯・年であった。このような多様な役割を果たす水田機能の維持と水田経営の所得増加に向けて、TN法により地域で解決すべき課題を抽出し、DEMATEL法により優先すべき課題を特定した後、試算分析法等により課題解決の効果を反映させた経営指標を策定できる。
〔担当者〕山田洋文・吉田裕介
〔部会〕農業システム
〔結果発表〕水田機能の維持と所得増加に向けた経営指標の策定手順、農業雑誌ニューカントリー、北海道協同組合通信社、pp.56-57
2.消費者にYES!clean表示制度の魅力が伝わる説明文のコンセプト
〔担当〕道総研中央農試 農業システム部 農業システムG、道総研十勝農試 研究部 農業システムG
〔対象地〕全道
〔内容〕消費者が魅力を感じる YES!clean 表示制度の説明文には、50 文字以内の短い文章であること、厳しい栽培基準を満たした農産物の証であることを記すこと、化学肥料や農薬に関する基準であることを記すこと、基準を定めた機関を記すことといったコンセプトが必要とされる。
〔部会〕農業システム
〔担当者〕松本匡祐・渡辺康平
〔結果発表〕消費者に YES!clean 表示制度の魅力が伝わる説明文のコンセプト.ニューカントリー6 月号.p.68-69
3.北海道における高密度播種短期育苗の適用性と早生品種「えみまる」の導入効果
〔担当〕道総研中央農試 水田農業部 水田農業G、道総研中央農試 農業システム部 農業システムG
〔対象地〕水田作地域
〔内容〕高密度播種短期育苗の苗箱数は中苗対比で 5 割以上削減される。早生品種「えみまる」の導入により出穂期遅延等のリスクを低減できる。苗質は稚苗に準じ、簡易有効積算温度 180~200℃、1gN/箱の窒素追肥を実施する。現地事例では労働時間が約 6.6 人時/ha、物財費が 9,904円/10a 削減された。
〔部会〕生産技術
〔担当者〕小杉重順・山田洋文
〔結果発表〕北海道における高密度播種短期育苗の適用性と早生品種「えみまる」の導入効果、農家の友 74 (5), pp.48-50

4.組勘における経営指標値を用いた経営分析プログラムの開発と実装
〔担当〕道総研十勝農試 研究部 農業システムG
〔対象地〕十勝地域
〔内容〕優良経営の実績に基づき組勘の経営指標値を算定し、実績と指標値を比較する分析表を作成するプログラムを開発してJA系統システムに実装した。本システムは収益性と資金繰り、収入、支出、資金運用面の問題を明瞭にし、計画策定時に活用できる。JA及び生産者は容易に経営指標値を利用できる。
〔担当者〕平石学
〔部会〕農業システム
〔結果発表〕 
5.小豆の作付維持・拡大に向けた収穫体系の経済性評価
〔担当〕道総研十勝農試 研究部 農業システムG
〔対象地〕畑作地域
〔内容〕小豆の収穫体系の経済性を示した。小豆2ha未満は収穫委託、2~5haはピックアップスレッシャのコストが低い。2畦豆用コンバインのコストを委託より抑制するには8ha以上の作付面積が必要である。この負担面積の下で低収年でも収量190~210kg/10aを確保すると、経済的な再生産が補償できる。
〔担当者〕三宅俊輔
 
〔部会〕農業システム
〔結果発表〕 
6.フリーストール飼養方式と放牧を組み合わせた酪農経営指標
〔担当〕道総研酪農試 酪農研究部 乳牛G
〔対象地〕酪農地帯
〔内容〕繋ぎ飼養の放牧経営がフリーストール飼養方式を導入することで経産牛 1 頭当たり労働時間を 2~4 割削減できる。さらに、中牧区(数日滞牧型輪換)放牧、アブレストパーラーを採用し、経産牛 60頭から経産牛 80 頭以上に増頭することで、総合耐用年数内の資本回収、労働生産性向上が可能となる。
〔担当者〕濱村寿史
〔部会〕農業システム
〔結果発表〕 
7.飼養頭数規模拡大が牛乳生産費に及ぼす影響とTMRセンター加入によるコスト低減効果
〔担当〕道総研酪農試 酪農研究部 乳牛G、道総研十勝農試 研究部 農業システムG
〔対象地〕酪農地帯
〔内容〕増頭で 1 頭当たり耕地面積が不足する経産牛 200 頭以上の酪農経営は、TMR センター加入で 1 頭当たり耕地面積確保と個体乳量増加によって実搾乳量 100kg 当たり全算入生産費を低減できた。ただし、TMR センターは適切な草地管理、酪農経営は適切な飼養管理で個体乳量向上と飼料効果向上に取り組む必要がある。
〔担当者〕金子剛
〔部会〕農業システム
〔結果発表〕「北海道における土地利用が牛乳生産費に及ぼす影響と規模間差」、2020、『農業経済研究』92 巻 1 号
「TMR センターへの加入が大規模酪農経営の牛乳生産費に及ぼす影響」、2021、『農業経済研究』93 巻 3 号

 

<令和4年>

 

1.農村施設の訪問価値を評価できる個人トラベルコスト法の実施手順
〔担当場〕道総研中央農試 農業システム部 農業システムG
〔対象地〕水田作地域
〔内容〕個人トラベルコスト法の実施手順及び留意点を整理した上で、現地実証を踏まえて調査の設計、実行、データ分析及び結果の算出の各段階に応じたマニュアルを作成した。農村施設の訪問価値を貨幣的に算出できるとともに、訪問者の特性と訪問回数の関係を明らかにできる。
〔担当者〕吉田裕介
〔部会〕農業システム
〔結果発表〕農村施設の訪問価値を評価できる個人トラベルコスト法の実施マニュアル、北農91(1)、公益財団法人北農会、pp.2-8
2.2020年農林業センサスを用いた北海道農業・農村の動向予測
〔担当場〕道総研中央農試 農業システム部 農業システムG、道総研十勝農試 研究部 農業システムG、道総研酪農試 酪農研究部 乳牛G
〔対象地〕全道
〔内容〕個人経営体の経営体数は 2035 年に 1.8 万経営体(2020 年比 59%)に減少し、1 経営体当たり平均経営耕地面積は 32.9ha(2020 年比 133%)に拡大すると予測された。一方、組織経営体は、全道の経営耕地面積に占めるシェア(18.5%)を高めており、農業生産基盤の維持に向けて重要性が高まっている。
〔担当者〕松本匡祐・山田洋文・渡辺康平・大畑美結・濱村寿史
〔部会〕農業システム
〔結果発表〕北海道立総合研究機構農業試験場資料第44号『2020年農林業センサスを用いた北海道農業・農村の動向予測』、https://www.hro.or.jp/upload/42325/all.pdf
3.加工専用キャベツ「ジュビリー」の直播による省力栽培技術と経済性評価
〔担当場〕道総研十勝農試 研究部 生産技術G
〔共同研究機関〕道総研十勝農試 研究部 農業システムG
〔対象地〕畑作地域
〔内容〕加工専用キャベツ「ジュビリー」は耐裂球性と貯蔵性が優れる。直播栽培による収量は 9t/10a 程度、低温貯蔵による翌年 4 月の出荷可能量の歩留は 55%以上が見込め、端境期出荷が可能である。市場価格から試算した生産者受取価格の場合、従来品種より「ジュビリー」で高い所得が見込める。
〔担当者〕奥村理・渡辺康平
〔部会〕生産技術
〔結果発表〕 

 

<令和5年>

 

1.自動操作システムおよびセクションコントロールの効果と導入条件
〔担当場〕道総研十勝農試 研究部 農業システムG
〔対象地〕畑作地域
〔内容〕畑作経営の自動操舵導入は未熟練者を OP 従事可能にすることで根菜類作付面積を維持した規模拡大に寄与する。自動操舵 1 台の利用下限面積は 56.7ha、所得は 70ha 規模で増大する。変形圃場での VRT 作業機の利用下限面積は農薬 20%削減で29.5ha、肥料 25%削減かつ可変施肥併用で 34.1ha である。
〔担当者〕木村智之・大畑美結
〔部会〕農業システム
〔結果発表〕
 

 

<令和6年>

 

1.GAP導入による効果と導入推進に向けた対応策
〔担当場〕道総研中央農試 農業システム部 農業システムG
〔対象地〕水田作地域・畑作地域
〔内容〕GAP認証に対するモチベーションが高い経営において、GAP認証の目的である「生産実績PDCAの実行」や「販売先の信頼向上」等が高く評価されていた。GAP認証の増加は、経営主のモチベーションを踏まえて負担を確認した上で、対応策を確立することで可能となる。
〔担当者〕山田洋文
〔部会〕農業システム
〔結果発表〕 
2.食品小売りにおける有機野菜の陳列棚とPOPに着目した消費拡大に係る効果
〔担当場〕道総研中央農試 農業システム部 農業システムG
〔対象地〕全道
〔内容〕有機野菜の主たる購買層として「シニア層」「子育て層」が特定された。流通上の課題から陳列棚や POP の調整は困難であると明示されたが、有機野菜の消費拡大のためには、子育て層に対する有機JAS 規格に係る知識涵養及び POP を通じた有機農業がもつ環境価値の理解醸成を促すことで、有機野菜の新たな購買層を創出できる。
〔担当者〕山田将太郎
〔部会〕農業システム
〔結果発表〕 
3.飼料用とうもろこし作付面積比率別にみたフリーストール・搾乳ロボット2台導入の経営評価
〔担当場〕道総研酪農試 酪農研究部 乳牛G
〔対象地〕酪農地帯
〔内容〕飼料用とうもろこし作付面積比率が高いほど、農業所得、資本回収見込額は高くなる傾向がある。比率が低い場合、搾乳部門における資本回収見込額は低く投資の回収が難しくなる可能性があり、農業所得は伸び悩む傾向にある。比率が低い地域条件や経営体では、より慎重な投資計画や増頭などの対策が必要となる。
〔担当者〕濱村寿史・後藤寛満
〔部会〕農業システム
〔結果発表〕 

 


 

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