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中央農業試験場

道立経営研究成績一覧

<昭和60年>

1.北海道における輸送型野菜産地の成立条件
〔担当場〕 道立中央農試
〔内容〕 産地支援システムとしての価格補償制度の有効性を解明
〔担当者〕 折登一隆
〔結果発表〕 折登一隆(1986):「北海道における輸送型やさい産地の成立条件と経営方式」.経営部年次報告書.S60.P1-58
2.高位生産性酪農経営の乳牛飼養方式
〔担当場〕 道立十勝農試
〔対象地〕 十勝管内帯広市 
〔内容〕 所得を規定する乳量の増減要因は、乳量の増加が濃厚飼料の多給等にあり、乳量停滞はそのための疾病や分娩間隔の延長にある。 良質の粗飼料であるグラスサイレージの供給方向を提案。
〔担当者〕 荒木和秋
〔結果発表〕 荒木和秋(1986):「高位生産性酪農経営における乳牛飼養の実態解析」.農業経営通信.149.P1-3
3.高位生産性酪農経営の乳牛飼養方式-酪農経営における収益較差とその要因-
〔担当場〕 道立根釧農試
〔対象地〕 根室地域
〔内容〕 濃厚飼料の大小が所得格差を発生させている。濃厚飼料の節約と粗飼料の質の向上を提言
〔担当者〕 山本毅
〔結果発表〕 山本毅(1986):「酪農経営の飼料構造に関する考察」.農業経営通信.150.P1-3
4.畑作複合型肉牛生産の経営計画-パソコン利用による経営計画-
〔担当場〕 道立十勝農試
〔対象地〕 胆振管内洞爺村
〔内容〕 経営改善モデルの構築(副産物利用を明示的に取り扱うことができる)
〔担当者〕 中川清一

<昭和61年>

1.酪農経営における投資と経営管理法
〔担当場〕 道立中央農試
〔内容〕 酪農経営の簡易診断システム(パソコンによる)。飼料給与方式の改善が柱。
〔担当者〕 相田隆男
〔結果発表〕 相田隆男・西村直樹・松山秀和(1987):「農業経営における投資効率-酪農経営における投資と経営管理法-」.経営部研究年次報告書.S61.P3-40
2.小麦の乾燥調製システムと経済性に関する調査成績
〔担当場〕 道立十勝農試
〔対象地〕 十勝管内音更町
〔内容〕 乾燥調製方式としては農協一元方式よりもサブ乾方式の方が経済的にも、省エネ的にも有利であることを証明。
〔担当者〕 山本毅
3.草地生産性格差の実態と要因-草地生産性と牧草生産費-
〔担当場〕 道立根釧農試
〔内容〕 草地更新によって、良好草地50%までは草地生産コストが低減するが、60%を越えると逆にコストは徐々に高くなることを解明。
〔担当者〕 浦谷孝義
〔結果発表〕 浦谷孝義(1987):「草地生産性格差の実態と要因」.農業経営通信.153.P7-9
浦谷孝義(1987):「草地生産性阻害要因の解明-草地生産性格差の実態と要因の解明-」.農業経営研究成績書(根釧).S61.P43-72

<昭和62年>

1.主要稲作地帯におけるめん羊生産・流通に関する研究
〔担当場〕 道立中央農試
〔対象地〕 北海道水田地帯
〔内容〕 めん羊飼養経営モデルの構築と流通実態の解明
〔担当者〕 西村直樹
〔結果発表〕 西村直樹(1985):「めん羊飼養のに関する一考察」.農業経営通信.146
〔結果発表〕 西村直樹(1989):「めん羊飼養の展開条件」.農業経営通信.159.P7-9
西村直樹(1988):「主要稲作地帯におけるめん羊の生産・流通構造に関する研究-めん羊飼養経営の成立条件と経営指標の作成-」.経営部研究年次報告書.S62.P3-73
2.畑作複合型肉牛経営の所得形成とモデル化
〔担当場〕 道立十勝農試
〔対象地〕 十勝管内音更町
〔内容〕 畑作経営に肉牛を導入した場合の有利性を経営モデルで提示した。
〔担当者〕 河野迪夫
〔結果発表〕 金山紀久・河野迪夫(1988):「和牛子牛の価格形成と最適出荷対応の分析」.農業経営通信.156.P1-3
3.ロールベールサイレージの経営経済的評価
〔担当場〕 道立根釧農試
〔内容〕 ロールベールサイレージをスチールタワーサイロと比較すると低コストである。但し、バンカーサイロとは比較していないが、 現場ではスチールサイロの代わりに使われている。
〔担当者〕 坂本洋一
〔結果発表〕 坂本洋一(1988):「ロールサイレージの経営経済的評価」.農業経営研究成績書(根釧).S62.P66-95
坂本洋一(1989):「ロールサイレージの経営的評価と研究会組織の役割」.農業経営通信.160.P7-9
4.簿記を活用した農家経営診断システムの研究
〔担当場〕 道立根釧農試
〔内容〕 パソコン用の農業経営自己診断システムの開発、経営目標の変化に対応した経営指標のシュミレーションが可能。
〔担当者〕 原仁
〔結果発表〕 原仁(1989):「酪農地域における情報ニーズと農業簿記情報処理システム」.農業経営通信.160.P4-6
原仁(1988):「地域農業診断に基づく農業経営情報の評価およびシステム化」.農業経営研究成績書(根釧).S62.P27-65

<昭和63年>

1.草地型酪農経営における生産費規定要因と低コスト化対策
〔担当場〕 道立根釧農試
〔内容〕 低コスト化対策として、規模拡大の重要性、粗飼料生産および乳牛飼養管の省力化
〔担当者〕 本庄康二
〔結果発表〕 本庄康二(1989):「草地型酪農における生産費規定要因と低コスト化対策」.農業経営研究成績書(根釧).S63.P1-33
2.畑作経営における投資基準の策定-農地購入による規模拡大投資について-
〔担当場〕 道立十勝農試
〔内容〕 5haの農地を購入して25haに拡大した経営モデルの構築。既存負債の大きさと地価水準の変動によるシミュレーションが可能。
〔担当者〕 山本毅
〔結果発表〕 山本毅(1990):「畑作経営における投資基準の策定」.農業経営研究成績書(十勝).S63・H1.P1-30

<平成元年>

1.花き作の産地形成と技術体系-道央地帯における花き・野菜の流通機構と産地形成-
〔担当場〕 道立中央農試
〔対象地〕 石狩管内当別町
〔内容〕 花き産地の形成方法として共選体制の構築を提言、花き作経営の段階別成立条件を提示
〔担当者〕 長尾正克
〔結果発表〕 長尾正克(1990):「道央地域における花き・野菜の流通機構と産地形成 -花き作の産地形成と技術体系-」. 経営部研究年次報告書.H1.P51-106
2.野菜産地の形成と広域出荷組織-道央地帯における花き・野菜の流通機構と産地形成-
〔担当場〕 道立中央農試
〔対象地〕 上川管内旭川市西神楽
〔内容〕 野菜作経営の成立条件を提示
〔担当者〕 河野迪夫
〔結果発表〕 河野迪夫(1991):「野菜産地の形成と産地主体の行動」.北農.58(3).P52-55
河野迪夫(1990):「道央地域における花き・野菜の流通機構と産地形成 -野菜の流通機構と産地形成-」. 経営部研究年次報告書.H1.P107-128
3.地域農業診断における地域農業情報の利用-地域農業診断にもとづく農業経営情報の評価およびシステム化-
〔担当場〕 道立中央農試
〔対象地〕 空知管内栗山町
〔内容〕 集落診断のためのパソコンミニデータベースを作成
〔担当者〕 折登一隆
〔結果発表〕 折登一隆(1990):「地域農業診断にもとづく農業経営情報の評価およびシステム化」.経営部研究年次報告書.H1.P1-50
4.酪農経営における乳牛更新の実態と情報の機能-地域農業診断にもとづく農業経営情報の評価およびシステム化-
〔担当場〕 道立十勝農試
〔内容〕 乳牛更新計画モデルの構築
〔担当者〕 多湖英実
〔結果発表〕 多湖英実(1990):「地域農業診断に基づく農業経営情報の評価およびシステム化」.農業経営研究成績書.S63・H1.P31-78
多湖英実(1991):「乳牛の供用期間と牛群更新の経済性」.農業経営通信.165.P16-18
5.長期経営計画の作成方法と活用方法-地域農業診断にもとづく農業経営情報の評価およびシステム化-
〔担当場〕 道立根釧農試
〔内容〕 浜中町の農業情報システム化の実態解明と長期営農計画システム構築
〔担当者〕 原仁
6.畑作経営における野菜作の導入と地域生産のシステム化-畑作経営における野菜作の導入と地域生産のシステム化-
〔担当場〕 道立十勝農試
〔内容〕 畑作に野菜を導入する場合の条件を解明。30ha以上なると野菜導入の効果は低くなることを解明
〔担当者〕 山本毅
〔結果発表〕 山本毅・坂本洋一(1990):「畑作経営における野菜作の導入と地域生産のシステム化」.農業経営研究成績書(十勝).S63・H1.P79-110

<平成2年>

1.水田地帯における集約作物導入による集団化誘導方策-道央大規模水田地帯における地域集団的輪作営農方式の策定と成立条件の解明-
〔担当場〕 道立中央農試
〔対象地〕 空知管内南幌町
〔内容〕 集約作物導入のための部分協業経営を創設・誘導し、この組織が起爆剤になって経営の専門分化を促進しながら、農地の流動化をも 促進する方法を提示した。
〔担当者〕 長尾正克(代表)
〔結果発表〕 長尾正克(1991):「道央大規模水田地帯における地域集団的輪作営農方式の策定と成立条件解明」.経営部研究年次報告書.H2.P1-28
2.溶液栽培の技術構造と収益性
〔担当場〕 道立中央農試
〔対象地〕 上川管内東神楽町  
〔内容〕 溶液栽培経営の技術構造と収益性を明らかにした。
〔担当者〕 渡辺義雄
〔結果発表〕 渡辺義雄(1990):「養液栽培の技術構造と収益性」.経営部研究年次報告書.H1.P129-149
渡辺義雄(1991):「養液栽培の技術構造と収益性」.経営部研究年次報告書.H2.P55-114
渡辺義雄(1992):「北海道の水田地帯における養液栽培の特徴」.農業経営通信.171.P14-17
3.混合飼料給与方式の経営経済的評価
〔担当場〕 道立根釧農試
〔内容〕 ミキサー導入による混合飼料給与の経済試算
〔担当者〕 浦谷孝義
〔結果発表〕 浦谷孝義(1991):「混合飼料(TMR)給与方式の経営経済的評価」.農業経営研究成績書(根釧).H1・H2.P67-98
4.大規模稲作経営のコストの実態と低減方策-国際化に対応した低コスト・高生産性経営の展開条件-
〔担当場〕 道立中央農試
〔対象地〕 空知管内栗山町
〔内容〕 現状での作業体系を前提にすると、低コスト稲作の限界規模は20ha程度とした。
〔担当者〕 河野迪夫
〔結果発表〕 河野迪夫(1991):「国際化に対応した低コスト高生産性経営の展開条件」.経営部研究年次報告書.H2.P29-54
5.畑作経営の所得形成とコスト要因分析-国際化に対応した低コスト・高生産性経営の展開条件-
〔担当場〕 道立十勝農試
〔内容〕 畑作物は相互に規定的関係があるので、1作物のコスト低減だけでは、経営コストの低減は困難である。 そこで、輪作体系に即した作物群としてのコスト概念として総合コスト指数を設定して、経営コスト低減の方向として、 耕地規模の拡大がある程度有効であることを明らかにした。
〔担当者〕 山本毅、坂本 洋一
〔結果発表〕 山本毅(1990):「国際化に対応した低コスト高生産性経営の展開条件」.農業経営研究成績書(十勝).H3.P1-34
6.大規模酪農における低コスト・高生産性経営の展開条件
〔担当場〕 道立根釧農試
〔内容〕 フリーストール体系による経産牛100頭規模への移行の合理性を提言。但し、その場合の土地利用方式が明確でない。
〔担当者〕 荻間昇
〔結果発表〕 荻間昇(1989):「牛飼養技術分析の一視覚」.農業経営研究.27(1).P37-45
荻間昇(1991):「草地型酪農の動向と生産性向上・コスト低減の可能性」.農業経営研究成績書(根釧).H1・H2.P1-66

<平成3年>

1.稲作経営から野菜作複合経営への転換における基盤整備の効果把握-稲作から野菜作への転換における基盤整備の条件と経済性-
〔担当場〕 道立中央農試
〔内容〕 富良野地区における基盤整備の効果把握
〔担当者〕 松山秀和
〔結果発表〕 松山秀和(1992):「稲作から野菜作への経営転換における土地改良の効果把握」.農業経営通信.173.P14-17
松山秀和(1993):「稲作経営から野菜作複合経営への転換における基盤整備の効果把握 (地域農業の転換過程における基盤整備の転換条件)」.経営部研究年次報告書.H3.P1-70
2.草地型酪農における粗飼料の受委託生産の方向と成立条件
〔担当場〕 道立根釧農試
〔対象地〕 釧路管内浜中町
〔内容〕 牧草サイレージ作業受委託の成立条件の解明(受託側と委託側にわけて)
〔担当者〕 浦谷孝義
〔結果発表〕 浦谷孝義(1993):「コントラクターの動向と地域農業」.北海道農業経済研究.3(1).P15-26
浦谷孝義(1993):「草地型酪農における粗飼料生産の受委託生産の経営経済的評価と今後の方向」.北農.60(1).P17-23
浦谷孝義(1992):「草地型酪農地帯における粗飼料の受委託生産の方向と成立条件」.農業経営研究成績書(根釧).H3.P1-66
浦谷孝義(1991):「草地型酪農地帯における粗飼料調整作業の受委託」.農業経営通信.168.P19-21
浦谷孝義(1994):「根釧地域におけるコントラクタの動向と酪農経営の展開」.北海道農試経営研究(北海道農試).P1-8

<平成4年>

1.加工用だいこん導入による農業所得の安定化機能
〔担当場〕 道立中央農試 経営部流通経済科
〔対象地〕 千歳市、恵庭市
〔内容〕 加工用だいこんの経営的評価
〔担当者〕 河野迪夫
〔結果発表〕 河野迪夫(1994):「加工用だいこん導入による農業所得の安定化機能(加工原料野菜の経営評価と産地形成)」. 経営部研究年次報告書.H5.P58-78
2.野菜のセル成型苗生産供給システムと経済評価
〔担当場〕 道立中央農試 経営部経営科、園芸部、農業機械部
〔内容〕 慣行のポリポットと比較するとコスト水準に差はないが、セル成型苗の方が大幅に省力化されていることを証明。
〔担当者〕 河野迪夫
3.水稲湛水直播・大規模散播法に関する試験
〔担当場〕 道立中央農試 稲作部,経営部経営科,農業機械部
〔内容〕 湛水直播は省力的で、経営経済的にも有利な局面がある。
〔担当者〕 西村直樹
〔結果発表〕 西村直樹(1995):「稲作新開発技術の経営的性格-北海道における水稲湛水直播栽培の現状と問題点-」.北海道農業経済研究,4(2).P5-15
西村直樹(1994):「湛水直播栽培の経営的評価(水稲湛水直播・大規模散播法に関する試験)」.経営部研究年次報告書.H4.P89-100
4.たまねぎ直播機械化栽培技術の確立
〔担当場〕 道立中央農試 農業機械部,園芸部,経営部経営科
〔内容〕 省力的なのでたまねぎ作付拡大効果あり。
〔担当者〕 河野迪夫
〔結果発表〕 河野迪夫(1994):「たまねぎ直播機械化栽培技術の確立」.経営部研究年次報告書.H4.P79-88
5.NAPASSを活用した競合産地分析システムの開発
〔担当場〕 道立中央農試 経営部流通経済科 
〔内容〕 府県競合産地の市場に対する分荷行動を明らかにして、北海道の産地が有利な分荷行動をとるための情報を得る。
〔担当者〕 松山秀和
〔結果発表〕 松山秀和(1993):「青果物市況データベースNAPASSを活用した競合産地分析」.農業経営通信.176.P10-13
松山秀和(1993):「NAPASSを活用した競合産地分析システムの開発」.北農.60.P246-248
松山秀和(1994):「青果物市況情報データベースNAPASSを活用した競合産地分析(2)」.農業経営通信.181.P6-9
松山秀和(1994):「青果物市況情報による競合産地分析」.北農.61.P171-176
松山秀和(1995):「NAPASSの活用による競合産地分析システムの開発 (青果物市況情報を活用した道外競合産地の出荷戦略の解明)」.経営部研究年次報告書.H4.P1-58
6.畑作経営における借地型規模拡大の展開条件
〔担当場〕 道立十勝農試
〔対象地〕 十勝管内更別村
〔内容〕 借地による規模拡大の経営効果を試算。
〔担当者〕 坂本洋一・三好英実
〔結果発表〕 坂本洋一(1994):「畑作経営における借地型規模拡大の経済性」.農業経営研究成績書(十勝).H5.P41-82
7.広域野菜産地の機能と組織条件 
〔担当場〕 道立十勝農試
〔内容〕 マーケティングは一極集中、施設は多極化が望ましいことを提言。
〔担当者〕 坂本洋一
〔結果発表〕 坂本洋一(1996):「農産物市場の変化と経営対応」.農業経営研究.34-3
坂本洋一(1994):「単一品目による広域野菜産地の形成と経済基盤」.北農.61(2)
坂本洋一(1994):「単一品目による広域野菜産地の形成と経済性」.農業経営通信.179.P30-33
坂本洋一(1994):「広域野菜産地の機能と組織条件」.農業経営研究成績書(十勝).H5.P1-40
8.農業情報を活用した酪農経営指導支援システムの開発 
〔担当場〕 道立根釧農試
〔内容〕 従来まで開発した簿記システムのバージョンアップと酪農経営長期営農計画システムと借入金管理システムを構築。
〔担当者〕 原仁
〔結果発表〕 原仁(1993):「酪農経営を対象とした農業経営情報活用システムの開発」.北農.60(3).P26-30
原仁(1993):「大規模酪農地帯における農協営農指導の実態と改善方法」.農業経営通信.177.P10-13
原仁(1995):「農業情報を活用した酪農経営指導支援システムの開発」.農業経営研究成績書(根釧).H4・H5.P1-48

<平成5年>

1.酪農ヘルパー組織の効率的運営方式 
〔担当場〕 道立根釧農試 
〔内容〕 組織形態を農協直営型と利用組合型に類型化し、利用組合型の有利性を実証
〔担当者〕 浦谷孝義
〔結果発表〕 浦谷孝義(1995):「酪農ヘルパー組織の効率的運営方式」.農業経営研究成績書(根釧).H4・H5.P49-110
2.畑作地帯における地域的農業労働力確保の条件
〔担当場〕 道立十勝農試 
〔内容〕 地域的な労働力確保形態を、日雇い労働力斡旋型(Ⅰ)、従業員派遣型(Ⅱ)、作業受託型(Ⅲ)に類型化して、 Ⅰ→Ⅱ→Ⅲと最終的に作業受託型に到達することの合理性を明らかにした。
〔担当者〕 岡田直樹
〔結果発表〕 岡田直樹(1993):「畑地型酪農経営における飼料作前面委託の要因」.農業経営通信.175.P14-17
岡田直樹(1993):「畑作経営の展開と地域的労働調整の課題」.北海道農村生活研究.5.P31-33
3.畑作地帯における借地型規模拡大の展開条件
〔担当場〕 道立十勝農試
〔内容〕 借地に提供される農地は、売買を前提としており、しかも、単収の低い農地が多い。借地による規模拡大効果は家族労働力の規模によって 異なることを明らかにした。
〔担当者〕 坂本洋一・三好英実
4.道内切り花産地における流通上の問題点-切り花の共選・共販体制の確立と効率的運営方式-
〔担当場〕 道立中央農試 経営部流通経済科
〔内容〕 整備されつつある花き中央卸売り市場に対応するため、一本共選体制を構築している道内花き先進産地の生産物が見事に高水準の差別価格を 実現していることを明らかにした。
〔担当者〕 荻間昇
〔結果発表〕 荻間昇(1994):「切花の共選・共販体制の確立と効率的運営方式」.経営部研究年次報告書.H5.P34-80

<平成6年>

1.稲作地帯における農業法人化の動機とその成立条件
〔担当場〕 道立中央農試 経営部経営科
〔内容〕 これまで主流であった1戸1法人の節税限界と農地流動化を内包した新しいタイプの法人化(部分協業経営)の動きを明らかにした。 但し、節税面以外の法人化のメリット、役員報酬変化による節税効果の変動については検証していない。
〔担当者〕 河野迪夫
〔結果発表〕 河野迪夫(1995):「農業法人化の動機とその成立・誘導条件」.経営部研究年次報告書.H6.P1-20
2.市場対応型農業生産法人の経営戦略と組織
〔担当場〕 道立十勝農試
〔対象地〕 十勝管内鹿追町西上地区外
〔内容〕 協業経営における労賃と地代の矛盾対抗関係を野菜の戦略販売部門や観光部門を取り入れることによって、その矛盾対抗関係を和らげる 協業経営管理法を明らかにした。
〔担当者〕 原仁
〔結果発表〕 原仁(1995):「畑作農業生産法人の経営戦略と組織運営手法」.農業経営通信.185.P30-33
3.高生産・高収益酪農法人経営の形成手順と運営方式
〔担当場〕 道立根釧農試
〔内容〕 窮迫的酪農協業経営が、様々な矛盾を乗り越えて経済的に安定する条件と、組織体として葛藤を乗り切るための管理運営方法として、 婦人労働の合理化方策を先進経営の経験を参考に提言している。但し、農家としての三範疇(労働者、経営者、地主)のうち、 どの性格を抑制したり、分配調整するかについて良く検討されていない。
 〔担当者〕 浦谷孝義
〔結果発表〕 浦谷孝義(1996):「高生産性・高収益酪農法人経営の形成手順と運営方式」.農業経営研究成績書(根釧).H6.P41-98
4.道央稲作地帯における切り花産地の類型別特徴と産地展開の方向
〔担当場〕 道立中央農試 経営部流通経済科
〔対象地〕 空知管内浦臼町、新十津川町、雨竜町外 
〔内容〕 北海道の切り花産地は、先発産地と後発産地とでは、産地拡大戦略が異なる局面がある。特に、分荷局面に相違があり、 産地化は農協が主導し、協同輸送を基盤に、系統内の協力体制を強化して、ロットの拡大を図ることが得策であることを明らかにした。
〔担当者〕 荻間昇
〔結果発表〕 荻間昇(1995):「移出型花き産地の成立条件と育成方策」.経営部研究年次報告書.H6.P75-106
5.新規参入酪農経営の成立条件と地域支援のあり方
〔担当場〕 道立根釧農試 
〔内容〕 新規参入を意図した農業志望者および新規参入を推進している現地関係機関が取るべき手続き、投資限界、指導方法および地域支援体制の あり方を提示した。特に、新規経営スタート時のリース料補助不可欠であり、その経営安定効果は30年にも及ぶ。論議としては土地条件や 経営資金の多寡による資金導入シュミレーション分析が必要である。
〔担当者〕 金子剛
〔結果発表〕 金子剛(1994):「新規参入酪農経営の定着に向けての諸問題」.農業経営通信.180.P34-37
金子剛(1995):「新規参入酪農経営を取り巻く課題と今後の方向」.北農.62(3).P47-50
金子剛(1995):「新規参入酪農経営の成立条件と地域支援のあり方」.農業経営研究成績書(根釧).H6.P1-40
6.移出野菜の保鮮輸送の実態と産地対応の方向(民間との共同研究)
〔担当場〕 道立中央農試 経営部流通経済科
〔内容〕 移出野菜の産地形成上、大きな問題点は輸送コストの低減である。特に保鮮輸送を必要とするものに対しては、農協単位でロットを まとめることができると、輸送コストは低減する。系統が担当している協同輸送は、分荷先がバラバラなので、輸送コストをそれほど 軽減できない。本来的には輸送と分荷を一致させると協同輸送のメリットが出てくるが、系統の分荷テクニックが問われる。輸送手段 としては冷凍トラック輸送が主流であるが、省エネ視点ではJAクールコンテナの活用が将来的に有望である。
〔担当者〕 荻間昇
〔結果発表〕 荻間昇(1995):「鮮度保持を要する北海道農産物の低コスト物流システムの確立」.経営部研究年次報告書.H6.P21-74

<平成7年>

1.タマネギと水稲を対象としたクリーン農業の経営経済的評価
〔担当場〕 道立中央農試 経営部流通経済科 
〔内容〕 タマネギの減農薬・減化学肥料栽培では、減収するが、消費者との提携によって、選別コストなど流通コスト低減などによって採算が とれることを明らかにした。水稲における特別栽培米と特別表示米は、慣行栽培に比べてコスト高になるが、産地全体の技術力や消費者の 評価を高めることによって、産地トータルとしての競争力を高めることができた。
〔担当者〕 山本毅
〔結果発表〕 山本毅(1995):「クリーン農業の経営経済的評価」.北農.62.P37-40
山本毅(1996):「タマネギと水稲を対象とした減農薬・減化学肥料栽培の経済的評価」.農業経営通信.189.P14-17
山本毅(1996):「クリーン農業の経営経済的評価」.経営部研究年次報告書.H7.P73-94
2.根釧地域における高泌乳牛を対象とした集約放牧技術の経営経済的評価
〔担当場〕 道立根釧農試 
〔内容〕 根釧地域の慣行草地酪農経営(経産牛50頭規模)に、根釧農試で開発した集約・昼夜放牧技導入した場合の経営経済的効果を明らかにした。 それによると集約・昼夜放牧技術は、慣行の時間放牧や通年舎飼に比べ、省力化が進むとともに、農業所得も増加することが明らかになった。 但し、土地生産性は慣行よりも若干落ちる。
〔担当者〕 前川奨
〔結果発表〕 前川奨(1996):「根釧地域における高泌乳牛を対象にした昼夜放牧技術の経営的効果」.農業経営通信.189.P10-13
前川奨(1996):「放牧を効率的に利用した低コスト乳牛生産技術の実証」.農業経営研究成績書(根釧).H7.P1-45
3.量販店との市場外流通の実態と産地対応の方向
〔担当場〕 道立中央農試 経営部流通経済科
〔内容〕 近年、野菜産地は取引の安定化をねらって産直取引を量販店と契約する場合が多くなっているが、大手スーパーと契約した場合は 一定ロットの継続出荷を求められ、約束が果たせなくなるとペナルティを支払うことになっている。ペナルティを払うと産直のメリットが なくなるので、契約が緩やかな生協と提携することによって、そのデメリットを回避できる。そのかわり、主力品目は市場価格が高値に なった場合は、それよりも安く供給することによって、他の品目の有利販売が可能になる。
〔担当者〕 荻間昇
〔結果発表〕 荻間昇(1996):「量販店との産直流通の実態と産地対応の方向」.経営部研究年次報告書.H7.P39-72
4.水稲の不耕起・無代かき移植栽培(プロジェクト研究)
〔担当場〕 道立中央農試 経営部経営科、稲作部、農業機械部、上川農試
〔内容〕 技術部門で開発した①不耕起移植栽培技術、②浅耕無代かき移植栽培技術、③表層砕土同時移植栽培技術を慣行移植栽培技術と比較すると、 いずれも作期拡大効果が認められた。それに要する経済負担は慣行程度にとどまる。画期的な技術革新である。
〔担当者〕 西村直樹
5.野菜のパッケージ流通の実態と産地対応のあり方(民間との共同研究)
〔担当場〕 道立中央農試 経営部流通経済科
〔内容〕 野菜産地が量販店と産直契約を締結すると、量販店から必要経費は出すから産地でパックしてほしいと要請されることが多い。 しかし、アイテム(規格)が多くなると、産地としては産地パックのメリットが無くなってくる。一方産地としては、雇用労働を 安定的に雇用することができる側面もある。地域全体として雇用労働力を効率的に利用できるように、産地としての取り組みを強化して、 量販店の一方的要求で決定しないようにすべきである。
〔担当者〕 荻間昇
〔結果発表〕 荻間昇(1996):「青果物のパッケージ流通の実態と産地対応のあり方」.経営部研究年次報告書.H7.P1-38

<平成8年>

1.受託組織の確立による農作業受委託の地域システム
〔担当場〕 道立十勝農試
〔対象地〕 十勝管内、主として鹿追町
〔内容〕 ここでは、国際化に対応した道産農産物コスト低減のための地域支援 システムとして、 農作業受委託システムの運営主体の性格と限界を明らかにした。具体的には、その運営主体として地域農業主体(主として農協) になることも望ましいことを明らかにした。但し、地域農業主体の一元管理になると、委託需要の多様性に対応できないので、 民間の運営主体も必要になる。さらに、共同利用など農家の生産組織も引き続き必要である。
〔担当者〕 岡田直樹
〔結果発表〕 岡田直樹・坂本洋一(1996):「農外資本によるコントラクタの展開」.農業と経済.62(4).P68-74
岡田直樹(1999):「農作業受委託による地域農業展開の条件」.農業経営研究成績書(十勝).H10.P1-38
2.大規模酪農経営におけるフリーストール飼養体系の導入条件の解明-導入後の経営不安定記における実態-
〔担当場〕 道立根釧農試
〔対象地〕 根室・釧路管内
〔内容〕 スタンチョン経産牛50東規模からリーストール経産牛100頭規模への移行に伴う過渡的段階で、経営効率が一時低下し、収益が低下する 現象が一般的に認められる。その要因は、乳牛のストレスによる障害、淘汰、適正集約度の模索、そして先行投資による操業度の低下などで ある。フリーストール化を目指す農家が事前に準備すべき移行過程対策、とりわけ資金対策に参考になる。
〔担当者〕 金子剛
〔結果発表〕 金子剛(1998):「北海道におけるフリーストール牛舎の導入状況と課題」.農業経営通信.196.P18-21
金子剛(1996):「大規模酪農経営におけるフリーストール導入後の経営不安定期の実態」.農業経営研究成績書(根釧).H8.P1-38
3.NAPASSを活用した道産野菜の出荷支援システムの開発
〔担当場〕 道立中央農試 経営部流通経済科
〔内容〕 北海道の主力野菜産地の分荷戦略を構築するための方法を開発した。 具体的には、NAPASS(野菜市況データベース) を活用した市場動向分析方法の開発と、その分析結果を踏まえた産地分荷計画モデルを構築して、①何を、②いつ、 ③どこに、④どれだけ出荷すべきかの解を収益最大化法と収益安定化法に分けて算出した。ここでの対象野菜は、 北海道の重要野菜であるダイコン、ホウレンソウ、キャベツの3品目について分荷方法と分荷収益について明らかにした。
〔担当者〕 松山秀和
〔結果発表〕 松山秀和(1997):「NAPASSを活用した道産野菜の出荷戦略支援システムの開発」.道立農試集報.73.P45-49
松山秀和(1999):「NAPASSを活用した競合産地分析システム(Ver.2.1)利用方法」.道立農試資料.30.
松山秀和(1997):「Excel VBAによる競合産地分析システムの開発」.農業情報研究.6(2).P81-94
松山秀和(1997):「NAPASSを活用した道産野菜の出荷戦略支援システムの開発」.農業経営通信.194.P30-33
松山秀和(1998):「競合産地分析システムによる道産野菜の市場動向分析」.北海道農業経済研究.7(1).P40-54
松山秀和(1997):「NAPASSを活用した道産野菜の出荷戦略支援システムの開発」.経営部研究年次報告書.H8.P1-34

<平成9年>

1.畑作経営におけるてん菜直播栽培体系の導入条件
〔担当場〕 道立十勝農試
〔対象地〕 十勝管内
〔内容〕 直播てん菜は、移植てん菜よりも収量減になるので、10a当たりの収益性は低くなる。 しかし、直播栽培は、移植栽培と組み合わせると、その省力性から、家族労働力3人と若干の雇用労働ありの条件下で、 40.0~53.3ha規模の範囲で、有利に採用されることを明らかにした。それ以外の条件では、直播てん菜は有利ではなかった。
〔担当者〕 原仁
〔結果発表〕 原仁(1998):「畑作地域におけるてん菜直播栽培体系導入の可能性」.農業経営通信.198.P30-33
原仁(1998):「畑作経営におけるてん菜直播栽培体系導入の可能性」.北農.66(1).P16-19
原仁(1999):「畑作経営におけるてん菜直播栽培体系導入の可能性」.農業経営研究成績書(十勝).H10.P39-72
2.草地酪農地帯における低投入型経営の技術体系と収益性
〔担当場〕 道立根釧農試
〔対象地〕 根室・釧路管内
〔内容〕 低投入型経営と目される根釧型草地酪農経営の経営目標と、経営構造、及びその技術体系をある程度明らかにした。 ここで明らかにした低投入型経営とは、①放牧の有利性を生かし、②労働時間が安い、③所得率が高い、④牛乳生産費が安い、 そして⑤乳飼比が低い経営である。なお、乳牛飼養管理様式(フリーストールやスタンチョン)には差がないとしたが、 この乳牛飼養管理と放牧技術体系に関しては、詳細な詰めが残された課題である。
〔担当者〕 折登一隆
〔結果発表〕 折登一隆(2000):「低投入型酪農経営における経営目標と担い手」.日本農業経済学会論文集2000.
折登一隆(1999):「草地型酪農における低投入型経営の適正規模とその技術体系」.農業経営研究成績書(根釧).H9.P65-97
3.根釧地域における放牧導入割合別の経営経済的効果
〔担当場〕 道立根釧農試
〔対象地〕 根室管内 
〔内容〕 放牧を採用している根釧型酪農経営(スタンチョンストール、経産牛40~60頭規模、基幹草種チモシー) のゆとりと効率を両立させた放牧割合を検討した。ここでは、放牧割合を経産牛用の草地面積のうち、 放牧利用割合として0,15,30,45,60%に区分して標準経営モデルを構築し、農業所得と労働時間を試算した。 この結果、放牧割合を45%にすることが、経営全体としてみると有利であることを明らかにした。
〔担当者〕 前川奨
〔結果発表〕 前川奨(1999).「放牧割合別の経営経済的効果」.農業経営研究成績書(根釧).H9.P1-64
4.天北地域における放牧導入割合別経営モデルの策定と経営経済的評価
〔担当場〕 道立天北農試草地飼料科
〔対象地〕 天北地域
〔内容〕 放牧を採用している天北型酪農経営(スタンチョンストール、経産牛50頭規模、基幹草種ペレニアルライグラス) のゆとりと効率を両立させた放牧様式を検討した。経産牛の放牧依存率(全給与TDN量に占める放牧草で給与されるTDN量の割合) と繁殖方法を異にする5タイプ(放牧割合0、小、中、大及び大・季節繁殖)について天北型経営モデルを構築して、 農業所得と労働時間を試算した。その結果、放牧割合を高めれば高めるほど、そして、季節分娩を加味することが経営的に有利であることを明らかにした。
〔担当者〕 坂東健
〔結果発表〕 板東 健・佐竹芳世・石田 亨・中村克己(1998):「天北地域における放牧導入割合別経営モデルの策定と経営経済的評価」.道立農試集報.75.P31-36
 
5.野菜畑作複合経営における作付方式確立の条件
〔担当場〕 道立十勝農試
〔対象地〕 十勝管内
〔内容〕 畑作4品を中心にした畑輪作体系に、野菜作を導入する場合の問題点を整理した。畑輪作体系の基本形は、 小麦→てん菜→馬鈴しょ→豆類であるが、近年野菜作の導入により豆類の一部を野菜やスイートコーンに置き換わる傾向にある。 しかし、野菜作の前後作と普通作物との前後作との関係は、作期や病虫害の関係で攪乱されており、その因果関係究明の必要性を 技術部門に提示した。
〔担当者〕 浦谷孝義
〔結果発表〕 浦谷孝義(1998):「十勝地域の野菜畑作複合経営における作付け方式の実態」.北農.65(4).P56-61
〔結果発表〕 浦谷孝義(1999):「十勝地域の野菜畑作複合経営における作付け方式の実態」.農業経営研究成績書(十勝).H10.P73-93
6.北海道水田地帯における広域野菜産地の形成手法と条件
〔担当場〕 道立中央農試 経営部流通経済科
〔対象地〕 主として全道稲作地帯
〔内容〕 産地形成における農協広域合併と広域連を比較すると、産地機能としては産地形成を目的とした農協広域合併の方が優れている場合が多い。 しかし、負債対策のために広域合併した農協の産地機能は、広域連よりも劣る。また、産地の広域化を進める上で最も大切なことは 生産者組織の主体性強化であり、次に大切なことは普及センターの果たす役割が大きく、複数普及センターへの再編とオルガナイザー としての普及員の専門能力の向上が課題になる。
〔担当者〕 坂本洋一
〔結果発表〕 坂本洋一(1999):「北海道水田地帯における広域野菜産地の機能と展開方向」.農業経営通信.199.P26-29
坂本洋一(1998):「北海道水田地帯における広域野菜産地の形成条件」.経営部研究年次報告書.H9.P13-52
7.野菜規格の簡素化と出荷・流通費用の低減効果
〔担当場〕 道立中央農試 経営部流通経済科
〔対象地〕 全国主要中央卸売市場ほか 
〔内容〕 野菜出荷規格の簡素化は、労働力不足に悩む産地ばかりでなく、人件費の節約を図りたい流通業者からも期待されている。 しかし、産地の市場に対する懸念、大規模小売業者による一定規格品に対する大量需要などよって、規格の簡素化はなかなか進展しない。 しかし、鮮度保持などの新共選技術の導入により、品質差別化を確立することによって、野菜出荷規格簡素化の展望を開くことができることを 明らかにした。また、市場で調達する加工食品の原料をできる限り加工専用種の契約栽培に持っていくことによって、 規格外品の細かい格付けを回避することができる。
〔担当者〕 三好英実
〔結果発表〕 三好英実(1998):「野菜規格簡素化による産地発展効果と産地対応のあり方」.経営部研究年次報告書.H9.P53-74

<平成10年>

1.農協・第3セクターの地域支援型受委託における料金設定と評価
〔担当場〕 中央農試、十勝農試、根釧農試
〔対象地〕 道内全域
〔内容〕 農協・第3セクターによる受委託の適正な料金設定を提示した。地域農業政策として農協・第3セクター 地域支援型受委託」の料金設定は、農業経営の改善・委託需要創出と受託組織の収益性確保の両立が必要である。 てん菜作業受委託の現行料金水準は委託経営の期待収益を向上させるが、受託組織の採算は得られない。受委託継続には料金と 受託費用の差額補填が必要となる。また、水稲無人ヘリ防除および飼料収穫作業受委託の料金設定の基礎として、標準受託費用を算出しており、 委託農家と受託組織が両立する料金設定の参考になる。
〔担当者〕 岡田直樹・浦谷孝義・長尾正克
〔結果発表〕 岡田直樹・浦谷孝義・長尾正克(1999):「農協・第3セクターの地域支援型受委託における料金設定と評価」.農業経営研究成績書(根釧).H10.P84-134
岡田直樹(2000):「グループファーミングと資源リンケージシステム」.北海道農業経済研究.9(1).P33-42
2.野菜産地における対抗植物導入の経営経済的評価
〔担当場〕 道立中央農試
〔内容〕 対抗植物を導入したクリーン農業の経営経済効果を明らかにした。ここでは野菜産地におけるマリーゴールド導入と長ネギ混植の 対抗植物栽培農家の実態解析を行い費用負担と経済効果を検討した。マリーゴールド栽培の経済的な負担は、栽培費用よりも導入により 作付休止する秋取り根菜類の所得減少が大きい。導入効果では農薬費の削減、根菜類の品質・収量向上が期待でき、 導入の経済効果が費用負担を上回る。ネギ混植栽培は費用負担が僅かで、導入による農薬費削減の評価のみで経済効果を形成する。
〔担当者〕 荻間昇
〔結果発表〕 荻間昇(1999):「クリーン農業技術開発の成果と評価」.北農.66(4).P63-69
荻間昇(2000):「野菜産地における対抗植物導入の経営経済的評価」.経営部研究年次報告書.H10.P17-38
荻間昇(2000):「野菜作経営における対抗植物導入の経済的評価」.農業経営通信.203.P26-29
3.フリーストール経営における飼養管理と経済性評価 (フリーストール飼養における省力的管理技術-Ⅶ.フリーストール経営の投資水準と収益性-を改題)
〔担当場〕 根釧農試
〔対象地〕 根室、釧路管内
〔内容〕 FS牛舎施設導入(100頭規模)と飼養技術について、経産牛60頭から115頭への規模拡大経営モデルにより評価した。 家族労働力3人の標準投資タイプでは4年目で家計費を充足する農業所得を形成し、耐用期間内に資本回収が可能である。 所得形成と資本回収を制約する条件は、繁殖成績が低い場合や借入金比率が80%以上の高い場合である。
〔担当者〕 金子剛
〔結果発表〕 金子剛(1999):「フリーストール経営の投資水準と経済性」.農業経営研究成績書(根釧).H10.P135-167
4.オランダおよび国内における搾乳ロボット利用実態と導入のための諸条件
〔担当場〕 道立根釧農試 経営科・酪農施設科
〔内容〕 オランダ及び国内の搾乳ロボット利用実態調査をもとに、今後の道内での導入条件を整理した。オランダの搾乳ロボットは フリーストール牛舎で既存施設を改造して設置されている。導入時の淘汰頭数は10%程度であり、初産牛の馴致方法が課題。 平均搾乳回数は約3回、1日の搾乳時間は1~2時間となり、作業は自動搾乳できない牛への対応とメンテナンスである。
〔担当者〕 金子剛・高橋圭二・堂腰 顕
〔結果発表〕 金子剛(1999):「オランダおよび国内における搾乳ロボット利用実態と導入のための諸条件」.農業経営通信.201.P14-17
金子剛(1999):「オランダおよび国内における搾乳ロボットの利用実態と導入のための諸条件」. 農業経営研究成績書(根釧).H10.P60-83
5.水稲湛水直播栽培における落水出芽法(追補)-播種機の性能と湛水直播栽培の導入条件-
〔担当場〕 道立中央農試
〔内容〕 湛水直播栽培導入の省力効果とコスト削減及びモデル分析により直播技術の導入場面を明らかにした。 直播栽培の導入事例調査では省力効果は高いが、移植に比べて収量が低下するため、60kg生産費は直播でコスト高となることが多い。 モデル分析では、移植栽培の水稲作付限界(15ha)を直播栽培の導入で打開でき(20haへ拡大)、農業所得が向上する結果を得た。
〔担当者〕 西村直樹
〔結果発表〕 西村直樹(2000):「低コスト米生産総合技術開発」.経営部研究年次報告書.H10.P1-16
6.公共牧場における制限哺乳および早期離乳を利用した黒毛和種子牛の育成技術(制限哺乳および早期離乳を利用した黒毛和種子牛の育成技術を改題)
〔担当場〕 道立十勝農試
〔内容〕 公共牧場の技術として早期離乳の評価には、子牛の発育や母牛の繁殖性の改善効果が必要となる。 公共牧場の実証試験では子牛の増体効果が明確でなく、このため、技術導入による追加的な管理費用負担を償うことができず、 経済的効果の形成は制約を受ける。
〔担当者〕 浦谷孝義
 
7.酪農地帯における糞尿処理・利用技術導入促進の条件
〔担当場〕 道立根釧農試
〔対象地〕 根室、釧路管内
〔内容〕 糞尿処理利用技術導入の促進条件と技術導入経営の費用負担限界を示した。糞尿対策の環境問題と酪農経営の維持には、 問題意識を持ちながら技術導入を行わないモラトリアム経営の誘導と技術導入経営の費用負担の条件が重要である。 スラリー方式は、堆肥舎方式や固液分離方式に比較し労働・費用負担の点で優位にある。しかし、スラリー方式においても 費用負担可能経営は導入経営の5割にどまる。導入促進には、費用負担能力向上のほか、経営者意識の変革、技術的問題の解決、 補助事業の持続性など総合的な取り組みが必要である。
〔担当者〕 岡田直樹
〔結果発表〕 岡田直樹(2000):「酪農地帯におけるふん尿処理・利用技術導入促進の条件」.農業経営通信.205.P34-37
岡田直樹(2001):「道東の草地型酪農地域における環境問題の現状と課題」.経営研究(国立農研センター).49.P3-12
岡田直樹(1999):「酪農地帯における糞尿処理技術導入促進の課題」.北農.66(2).P133-135
岡田直樹(1999):「酪農地帯における糞尿処理・利用技術導入促進の条件」.農業経営研究成績書(根釧).H10.P1-59
8.分散処理型堆肥流通システムの機能と経済性
〔担当場〕 道立十勝農試
〔対象地〕 十勝管内
〔内容〕 麦桿と堆肥交換、堆肥流通を促進する切返し支援システムの経済性を示した。堆肥の切返しと麦稈・堆肥の 流通を組み合わせた簡素な支援システムにより、麦稈の地域内利用と堆肥の有効利用が進んだ。麦稈の地域内流通量は 支援システムの稼動により50%増大した。堆肥の切返しは酪農経営と生堆肥を搬入した畑作(畑肉・畑野菜)で行われ、 堆肥の利用が促進された。堆肥利用に要するトン当たり費用は運搬費用の加算で、運搬距離5kmで450円、10kmで820円となる。
〔担当者〕 浦谷孝義
〔結果発表〕 浦谷孝義(1999):「分散型堆肥流通システムの機能と経済性」.農業経営研究成績書(十勝).H10.P94-117

<平成11年>

1.畑作経営における雑豆作(金時)の安定生産条件(畑作経営における雑豆作の安定生産条件の解明)
〔担当場〕 道立十勝農試
〔対象地〕 十勝管内
〔内容〕 金時の作付を維持するための収益・価格条件、畑作経営の要因を示した。 金時の作付減少は畑作地帯における金時の相対収益性の低下による。このため金時の作付は畑作物との相対収益格差が小さく 機械収穫の対応で可能性を示す。混同地域の畑作モデル分析による金時の作付は機械体系と現行価格で作付けが維持され、 耕地40ha以上で農業所得増加が大きい。金時の価格低下の条件では機械体系により作付は維持されるが農業所得の減少が大きい。
〔担当者〕 山田輝也
〔結果発表〕 山田輝也(2000):「畑作経営における金時類の安定生産条件」.農業経営通信.206.P22-25
山田輝也(2000):「畑作経営における雑豆類(金時)の安定生産条件」.北農.67(4).P379-382
山田輝也(2000):「畑作経営における雑豆類(金時)の安定生産条件」.農業経営研究成績書(十勝).H11.P1-34
2.畑作経営への野菜導入に向けた収穫作業等省力化技術の経営的評価(豆類等の高品質・省力収穫技術と高収益畑輪作体系の確立)
〔担当場〕 道立十勝農試
〔対象地〕 十勝管内
〔内容〕 畑作・野菜作の省力技術を畑作野菜複合経営モデルにより経営的に評価した。 中規模畑作へ野菜導入した経営モデルにより開発技術の経済性を評価し、①てん菜直播栽培は現行単収差で小規模作付を除き 収益性が移植より劣るが、てん菜直播と小豆機械収穫との組合せでは、耕地40ha以上の規模でごぼうの作付を可能とし所得を増加する。 ②小豆の機械収穫体系は小豆の作付拡大とごぼう作付けに寄与する。③ごぼう浅層混和施肥は作付には影響しないが所得増大効果を示す。 畑野菜の省力技術は省力化と作業競合の度合いによるが、規模拡大と野菜導入を並進する可能性を示した。
〔担当者〕 浦谷孝義
〔結果発表〕 浦谷孝義(1998):「十勝地域の野菜畑作複合経営における作付方式の実態」.北農.65(4).P56-61
浦谷孝義(2000):「畑作経営への野菜導入に向けた収穫作業等省力化技術の経営的評価」.農業経営研究成績書(十勝).H11.P35-68
3.酪農地帯における新規就農者の成功要因の解明
〔担当場〕 道立根釧農試
〔対象地〕 根室・釧路管内
〔内容〕 新規就農者の実態解析から安定した営農を持続する要因を明らかにした。 新規就農者の営農形態を小規模・低泌乳と大規模・高泌乳に区分し、高い所得を実現した経営と低い経営の相違点を比較した。 小規模で高い所得の経営は入植時の技術習熟や就農以降の営農方針として低投入志向に特徴がある。大規模で高い所得の経営では、 多頭化を目標に牛舎施設等の投資を行い営農方針が明確である。新規就農者は条件不利な就農や少ない携行資金で営農目標を達成 している経営がみられる。この成功要因としては、明確な営農方針、技術習得、技術水準に見合った農場の整備を示している。
〔担当者〕 金子剛
〔結果発表〕 金子剛(2000):「酪農地帯における新規参入酪農経営の経済的成功要因」.道立農試集報.79.P107-110
金子剛(2000):「担い手の定着過程と定着条件」北農.67(4).P360-363
金子剛(2000):「酪農地帯における新規参入酪農経営の経済的成功要因」.農業経営研究成績書(根釧).H11.P1-25
4.農地供給過剰下における農地利用集積の課題と方向
〔担当場〕 道立中央農試、道立十勝農試、道立根釧農試
〔内容〕 農業構造の予測結果による農地需給の 見通しと農地利用集積の課題を示した。 農地需給の将来見通しでは、稲作と酪農地帯は農地供給過剰の構造を予測、畑作地帯のうち網走・北見地域の農地需給は均衡状態を保つが、 十勝地域は農地供給過剰の顕在化を予測した。主要農業地帯の農地利用集積の課題として、稲作では兼業・高齢農家の担い手への支援、 離農跡地の中間保有機能を持つ組織の形成。畑作では規模拡大経営を支える技術体系、所得対策。酪農では大規模営農の条件と新規参入 による農地需要の創出を指摘した。
〔担当者〕 西村直樹・原仁・金子剛
〔結果発表〕 西村直樹(2001):「北海道における農地需給ギャップの将来予測」.北農.68(2).P193-198
西村直樹(2001):「農地供給過剰下における農地利用集積の課題と方向」.経営部研究年次報告書.H11.P71-100
平石 学(2000):「大規模畑作経営を支える農業技術の特徴と展開方向」.農業経営研究成績書(十勝).H11.P89-124
5.乳牛の供用年数短縮の要因解析(乳牛の供用年数延長による低コスト酪農経営技術の開発)
〔担当場〕 道立根釧農試 経営科 酪農第一科
〔対象地〕 根室・釧路管内
〔内容〕 乳牛供用年数は乳量水準では高い農家が、地域別では畑作型地域が、また飼養形態別ではフリーストール飼養が短い傾向にある。 供用年数の短縮は、乳房炎、繁殖障害、乳器障害等の病傷による淘汰及び収益性や作業効率向上を目的とした淘汰基準の強化によるところが 大きく、所得逸失額は150万円に達するとこと、延長のための重要課題は病傷淘汰の減少であることを示した。
〔担当者〕 岡田直樹・扇勉・金子剛
〔結果発表〕 扇勉・金子剛・堂腰顕・八田忠雄・草刈直仁(2001):「北海道における乳牛の除籍および病傷事故と、乳量水準および飼養形態との関連」.道立農試集報.80.P39-44
岡田直樹(2002):「乳牛淘汰が短期的所得形成に及ぼす影響-部分試算計画法によるアプローチ-」.道立農試集報.82.p67-74
岡田直樹・扇勉・金子剛(2000):「乳牛の供用年数短縮の要因解析」.農業経営研究成績書(根釧).H11.P26-85
6.北海道における籾調製貯蔵技術
〔担当場〕 道立中央農試
〔対象地〕 道央稲作地帯
〔内容〕 上川中央地域における運営形態の異なる2つのカントリーエレベーターを主な調査対象として、旧来の農協営ライスセンターや集団営ミニライスセンターとの比較検討を行い、カントリエレベーターの経済性や運営方式のあり方を検討した。
〔担当者〕 荻間昇
〔結果発表〕 荻間昇(2001):「バラ籾貯蔵技術の確立」.経営部研究年次報告書.H11.P37-70

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