農業研究本部へ

中央農業試験場

道総研経営研究成績一覧



<平成22年>


1.組勘(クミカン)データを見える化する経営管理ツール
〔担当〕 道総研十勝農試研究部 生産システムG
〔対象地〕 十勝
〔内容〕 開発した経営管理ツールは、農協における取引を記録した組勘(クミカン)データから、資金収支を見える化したグラフを自動的に出力するものである。経営全体からの視覚的な問題の把握が可能であり、経営改善に向けた具体的な手立ての整理に用いる。
〔担当者〕 白井康裕
〔部会〕 生産システム
〔結果発表〕
2.クリーン農業の高度化と経済性の解明(補遺)
〔担当〕

道総研中央農試 生産研究部 生産システムG、十勝農試 研究部 生産システムG

〔対象地〕 空知、北見、後志
〔内容〕 水稲、たまねぎ及びトマトの栽培において、クリーン農業の高度化(化学肥料・化学合成農薬を慣行栽培対比で5割削減)を達成した場合、生産費は慣行栽培に比べて単位面積当たり5~10%増加し、単位生産物当たりでは減収を反映して15~16%の増加に拡大する。クリーン農業の高度化に取り組む際には、価格の向上のみならず慣行栽培との収量格差の縮小に努める必要がある。
〔部会〕 生産システム
〔担当者〕 日向貴久・白井康裕
〔結果発表〕
3.稲作・畑作経営向け農産物生産費集計システム
〔担当〕 道総研中央農試 生産研究部 生産システムG、十勝農試 研究部 生産システムG
〔対象地〕 空知、十勝
〔内容〕 「農産物生産費集計システム」を開発するとともに,本システムで算出した生産費データの活用法を示した。本システムを用いることで,生産者自らが農水省方式に準拠した農産物生産費を容易に算出することが可能になる。また,生産費に基づいた政策支援水準の適切さの検証と個々の経営管理に活用することが可能になる。
〔部会〕 生産システム
〔担当者〕 平石学・白井康裕
〔結果発表〕


<平成23年>


1.農産物生産費集計システムを活用した水田作経営向け経営分析法
〔担当〕 道総研中央農試 生産研究部 生産システムG
〔対象地〕 水田地帯
〔内容〕 農産物生産費集計システムの簡易版を作成し,これを用いて複数の水田作経営を対象として作物ごとの収入,費用および所得を算出し,これに基づき個々の経営が抱える生産面における改善課題を作物別に特定する経営分析法を確立した。
〔担当者〕 平石学
〔部会〕 生産システム
〔結果発表〕
2.加工・業務用たまねぎの直播栽培における出芽安定化対策と経済的目標
〔担当〕 道総研十勝農試 研究部 地域技術G、生産システムG、北見農試研究部 地域技術G
〔対象地〕 十勝
〔内容〕 ソイルクラストの生成が懸念される圃場でたまねぎ直播栽培を行う場合、鼓型鎮圧輪を利用すると、クラスト生成が抑制され、出芽率の低下を防ぐことができる。輸入品との競争下では、直播栽培で生産費と価格を均衡させるには,生産費の低減とともに約6,400kg/10a 以上の収量が求められる。
〔担当者〕 白井康裕 他
〔部会〕 生産システム
〔結果発表〕
3.イアコーンサイレージ生産・利用に関する畑作経営と酪農経営における経済性評価
〔担当〕 北海道農業研究センター、道総研十勝農試 研究部 生産システムG
〔対象地〕 十勝
〔内容〕 畑作が10a3.5万円で受託栽培するとうもろこしをTMRセンターが調製し、酪農が圧片とうもろこしの代替利用可能なイアコーンサイレージの上限価格は、圧片51円/TDNkgの時GSベース64.1円、CSベース60.7円であった
〔担当者〕 山田洋文 他
〔部会〕 生産システム
〔結果発表〕
4.てんさい栽培における省力技術導入の効果と導入条件
〔担当〕 道総研十勝農試 研究部 生産システムG
〔対象地〕 十勝・網走
〔内容〕 てんさいで省力技術を導入する経営では、面積当たりの投入費用が低下し、単収が維持できたことから、1トン当たりの生産費(円/t)が全国の平均値を下回っている。また、省力技術の導入は、てんさいの作付面積の維持に貢献する。1トン当たりの生産費が粗収益と均衡する収量水準以上では、てんさいの作付面積が拡大する。
〔担当者〕 山田洋文
〔部会〕 生産システム
〔結果発表〕


<平成24年>


1.自給飼料主体TMRセンターの収益実態と運営安定化方策
〔担当場〕 道総研根釧農試 研究部 地域技術G
〔対象地〕 酪農地帯
〔内容〕 TMRセンターと酪農経営双方が当面存続するには、経産牛1日1頭当たりTMR単価1,000円台、設立に際する経産牛1頭当たり投資額26万円(TMRセンター投資補助残額/受益経産牛頭数)、7年目以内の自己資本率7%を目標とし、情報共有と共通指針の設計・実施体制を構築する必要がある。
〔担当者〕 金子剛
〔部会〕 生産システム
〔結果発表〕
2.牛乳生産費集計システム
〔担当場〕 道総研十勝農試 研究部 生産システムG、根釧農試 研究部 地域技術G
〔対象地〕 酪農地帯
〔内容〕 牛乳生産費集計システムを開発するとともに、集計した生産費データの活用法を示した。本システムを用いることで、農水省の農業経営統計調査に準じた牛乳生産費を簡易に集計することが可能になる。集計された生産費データは、粗収益の水準の検証や費用の見直しに活用することが可能である。
〔担当者〕 白井康裕、三宅俊輔
〔部会〕 生産システム
〔結果発表〕
3.クリーン農業技術導入による温暖化ガス排出量変化の推計手順と推計結果
〔担当場〕 道総研中央農試 生産研究部 生産システムG、十勝農試 研究部 生産システムG、根釧農試 研究部 地域技術G
〔対象地〕 クリーン産地
〔内容〕 クリーン農業技術導入による面積当たり温暖化ガス(以下、GHG)排出量の変化を簡易に推計するための手順を確立した。面積当たりGHG排出量は、水稲において64%、秋まき小麦・大豆・ばれいしょ・牧草において4~16%減少すると推計される。
〔担当者〕 濱村寿史、白井康裕、三宅俊輔、金子剛
〔部会〕 生産システム
〔結果発表〕
4.秋まき小麦及び後作緑肥導入による粘質たまねぎ畑の下層土改善と経済性評価
〔担当場〕 道総研中央農試 農業環境部 栽培環境G、生産研究部 生産システムG
〔対象地〕 空知
〔内容〕 粘質たまねぎ畑における秋まき小麦および後作緑肥の導入により、下層土の物理性が改善して増収し、その効果は秋まき小麦導入でより高かった。秋まき小麦の導入については、地表から深さ30cmまでに貫入式土壌硬度計による1.5MPa以上の堅い土層がある圃場を対象とする。
〔担当者〕 濱村寿史 他
〔部会〕 農業環境
〔結果発表〕
5.追い移植による乳牛の長期不受胎対策の効果検証
〔担当場〕 道総研畜試 基盤研究部 畜産工学G、十勝農試 生産研究部 生産システムG
〔対象地〕 畜産地帯
〔内容〕 乳牛の長期不受胎対策として経済効果が生まれるために必要な追い移植による受胎率向上幅を示した。2 回目以降の追い移植は受胎率向上効果が低いため、初回から高い受胎率が望める体内受精卵等の利用を検討する。追い移植では流産や双子分娩が増えるため、発情や分娩時の観察が重要である。
〔担当者〕
〔部会〕 畜産
〔結果発表〕



<平成25年>


1.青色申告決算書を活用した地域の農業所得の解析手法
〔担当場〕 道総研十勝農試 研究部 生産システムG
〔対象地〕 十勝
〔内容〕 青色申告決算書を用いて農業所得の推移と所得変化の要因を整理する解析手法を確立した。基準年を100 とした指数により所得の推移について営農類型間の比較が可能になり、収入・経費の構成要素ごとに所得の変化率に対する寄与度を算出することで、所得変化に大きな影響を及ぼした要素を特定できる。
〔担当者〕 白井康裕
〔部会〕 生産システム
〔結果発表〕
2.秋季安定生産に向けたトマト3段どり栽培技術と経済性
〔担当場〕 道総研花野菜技術センター 研究部 花き野菜G、中央農試 生産研究部 生産システムG
〔対象地〕 水田地帯
〔内容〕 セル成型苗を直接定植する3段どり栽培では、子葉上摘心による2本仕立て苗を使用することで規格外果が減少し、慣行の6月ポット苗定植栽培に比べ9月収量の増加および秀優品率の向上が可能となる。本技術は、早い作型との作業競合が低い特徴を活かして9月の出荷量の拡大を目指す産地の新たな作型として期待できる。
〔担当者〕 日向貴久 他
〔部会〕 生産システム
〔結果発表〕
3.子実用とうもろこしの栽培法と道央地域における輪作体系への導入効果
〔担当場〕 道総研中央農試 農業環境部 環境保全G、病虫部 クリーン病害虫G、生産研究部 生産システムG 他
〔対象地〕 水田地帯
〔内容〕 品種は早生の早「デュカス」早生の中「チベリウス」、栽植密度は9000~9500 本/10a が適する。土壌診断に基づく窒素施肥で収量が安定化する。道央地域では輪作体系への導入で土壌物理性改善と後作物の増収が認められ、栽培法を実践しコーンヘッダ稼働面積40ha を確保すれば、交付金を含め、現行の輪作体系と同等の所得が見込める。
〔担当者〕 平石学 他
〔部会〕 生産システム
〔結果発表〕
4.有機トマトを導入する小規模経営の安定化方策
〔担当場〕 道総研中央農試 生産研究部 生産システムG
〔対象地〕 水田地帯
〔内容〕 有機トマトを導入する小規模経営の安定化に向けては、10a 当たり出荷量の向上、販路開拓による生食仕向率の向上、小売業者との直接取引による販売価格の向上が必要であり、小売業者との直接取引を行う上では継続出荷のための作期拡大や差別化等がポイントとなる。また、有機トマト以外の作物導入による所得補填も有効である。
〔担当者〕 濱村寿史
〔部会〕 生産システム
〔結果発表〕
5.てんさいにおける専用堆積場の整備に関する効果
〔担当場〕 道総研十勝農試 研究部 生産システムG
〔対象地〕 畑作地帯
〔内容〕 専用堆積場から搬出されたてんさいの土砂混入率は、圃場堆積時よりも低位で安定する傾向があり、積込時の作業能率も高い。専用堆積場の整備は、圃場内での車輌の走行を伴わないため、畑の保全に結びつくとともに、その投資効率は1.0 を上回るため、事業としての投資に妥当性を有している。
〔担当者〕 白井康裕
〔部会〕 生産システム
〔結果発表〕



<平成26年>


1.直播てんさいにおける安定生産の阻害要因と改善指導法
〔担当場〕 道総研十勝農試 研究部 生産システムG
〔対象地〕 畑作地帯
〔内容〕 直播てんさいの安定生産に向けて、地域の経営で実践すべきチェックリストの作成と地域で必要とされる外部支援を特定するための指導法を確立した。数量化Ⅰ類により改善対策の実践に伴う経済効果を明らかにできるとともに、連関図を用いることで、個別で対応すべき事項と外部支援が必要な事項との仕分が可能になる。
〔担当者〕 山田洋文
〔部会〕 生産システム
〔結果発表〕
2.コスト改善に向けた酪農経営間の直接比較における牛乳生産費データの活用手法
〔担当場〕 道総研根釧農試 研究部 地域技術G
〔対象地〕 酪農地帯
〔内容〕 牛乳生産費集計システムを用いて農家集団の牛乳生産費データを計測し、そのばらつきと格差を農家集団内あるいは経営間で直接比較し、目標乳量・生産費の水準を検討することで、経営実態を把握する指導機関は技術指導に経済的な改善点を結びつけた活用ができる。以上から、活用手法と手順および分析用シートを策定した。
〔担当者〕 三宅俊輔
〔部会〕 生産システム
〔結果発表〕
3.ホタテ貝殻・牛糞堆肥の特性と利用システムの経済性
〔担当場〕 道総研中央農試 生産研究部 生産システムG
〔対象地〕 酪農地帯
〔内容〕 粒度2mm以下90%以上(1mm以下70%以上)のホタテ貝殻・牛糞堆肥は初期のpH上昇が炭カルよりもやや遅いが、炭カル代替資材として草地更新に利用できる。地域モデルを設定して試算した堆肥の製造利用コストは炭カル価額を上回るため、システム定着には関係機関によるコスト負担のあり方の検討が必要である。
〔担当者〕 平石学
〔部会〕 農業環境
〔結果発表〕
4.YES!clean 農産物の流通実態と販売面におけるクリーン農産物表示制度の活用方策
〔担当場〕 道総研中央農試 生産研究部 生産システムG
〔対象地〕 クリーン産地
〔内容〕 YES!clean 表示は仲卸段階で小分けされる際に行われなくなる場合が多いが、産地が出荷段階でパッキングし、マークを記載することで、小売段階でもYES!clean 表示が行われ、販売価格にも反映される可能性がある。表示制度はパックへのマーク記載による価格底上げや差別化商品としての販路開拓に活用できる。
〔担当者〕 濱村寿史
〔部会〕 生産システム
〔結果発表〕  
5.水田作・畑作経営の規模拡大による所得増大効果と経営安定対策の影響評価
〔担当場〕 道総研中央農試 生産研究部 生産システムG、十勝農試 研究部 生産システムG
〔対象地〕 水田地帯・畑作地帯
〔内容〕 大規模水田・畑作経営モデルを作成した。規模拡大に際し農機具費が増加するがOP2名を確保することで農業所得1千万円を達成できる。経営安定対策の米直接支払は大規模稲作単一経営の安定化に寄与した。畑作直接支払は大規模畑作経営の生産性向上の動機づけに寄与した一方,生産性が低い経営の収益性の不安定性を増幅した。
〔担当者〕 平石学・山田洋文
〔部会〕 生産システム
〔結果発表〕


 <平成27年>


1.仕訳が異なる青色申告決算書に対応した農業所得の解析手法
〔担当場〕 道総研十勝農試 研究部 生産システムG
〔対象地〕 畑作地帯
〔内容〕 異なる仕訳体系の青色申告決算書を用いて、農業所得の推移と所得変化の要因を整理する解析手法を確立した。大規模データから得られた所得の平均値とその寄与度は、符号関係や値の大小を比較することで、地域に共通な課題の洗い出しや地区に固有な課題の発見を可能にする。
〔担当者〕 吉田裕介
〔部会〕 生産システム
〔結果発表〕
2.子実用とうもろこしの田畑輪換圃(泥炭土)における機械収穫・栽培の実証及び経済性評価
〔担当場〕 道総研中央農試 生産研究部 生産システムG、農業環境部 環境保全G、作物開発部 農産品質G
〔対象地〕 水田地帯
〔内容〕 今回実証機の普通コンバイン中型機種は、大型機種よりも実証地域の乾燥体系に適している。畑地化初年目の泥炭土圃場でも、約7.5kg/10aの総窒素施用量で約1,000kg/10aの子実乾物収量に到達した。この収量の下で粗収入により生産費を賄うためには、実証機を用いてとうもろこし15ha以上の収穫が必要である。
〔担当者〕 平石学 他
〔部会〕 生産システム
〔結果発表〕


3.農業の多面的機能を評価できる仮想評価法(CVM)
〔担当場〕 道総研十勝農試 研究部 生産システムG
〔対象地〕 全道
〔内容〕 仮想評価法(CVM)の実践を通して、道総研においてこれを適用するための知見を整理した。個別面接方式による調査は、回収効率と信頼性が高いことを確認した。また、推定プログラムの作成により、回答者1人当たりの支払意思額(WTP)や景観等の地域資源が有する総便益(価値)の算出を容易にした。
〔担当者〕 白井康裕
〔部会〕 生産システム
〔結果発表〕
4.経済・雇用・環境の影響評価が可能な市町村産業連関分析手法
〔担当場〕 道総研十勝農試 研究部 生産システムG
〔対象地〕 全道
〔内容〕 平成17年度地域産業連関表を基に市町村を単位とした産業連関表の作成手法を確立した。市町村産業連関表は、経済構造分析や経済波及効果の計測に際して、国・道・当該市町村の比較を可能にする。また、市町村の施策について関連産業まで含めた就業者数等の経済効果やLCAにより環境面での効果を計測できる。
〔担当者〕 白井康裕
〔部会〕 生産システム
〔結果発表〕


<平成28年>


1.大区画水田利用と農地集積による米生産費への影響と規模拡大効果
〔担当場〕 道総研中央農試 生産研究部 生産システムG
〔対象地〕 水田地帯
〔内容〕 水稲単一経営を対象に、圃場の大区画化と集積が、米生産に係る投下労働時間の短縮と生産費の低減に寄与し、投資の妥当性をもつことを明らかにした。また、線形計画法を援用して区画・集積状況別に構築した経営モデル分析によって、圃場の大区画化と集積が、水稲作付面積の拡大と所得の増加に寄与することを明らかにした。
〔担当者〕 山田洋文
〔部会〕 生産システム
〔結果発表〕
2.ブロッコリーの先進産地にみた高度クリーン農産物の経済性
〔担当場〕 道総研中央農試 生産研究部 生産システムG
〔対象地〕 水田地帯
〔内容〕 ブロッコリーで特別栽培に取り組む先進産地では、単位面積当たりの生産費は一般栽培を上回るが、可販株率が高いことから、1株あたりの生産費は一般栽培を下回る。高度クリーン農業は、取引先との関係性強化の足がかりになるが、市場評価の向上は、取引先のニーズに応えることが不可欠である。
〔担当者〕 白井康裕
〔部会〕 生産システム
〔結果発表〕  
3.市町村産業連関分析・TN法・DEMATEL法を用いた地域エネルギー施策の評価手法
〔担当場〕 道総研十勝農試 研究部 生産システムG
〔対象地〕 全道
〔内容〕 市町村産業連関分析による他産業に対する影響の把握、費用対効果分析による公的資金投入の妥当性の検証、TN法による効果的な運営に係る課題の抽出、DEMATEL法による課題解決の経路の見える化を通じて、各市町村が実施するエネルギー施策関連事業の経済性評価と効果的な運営に向けた課題の整理が可能になる。
〔担当者〕 平石学
〔部会〕 生産システム
〔結果発表〕
4.繋ぎ飼い方式の舎飼経営における草地管理からみた牛乳生産コストの規定要因
〔担当場〕 道総研根釧農試 研究部 地域技術G
〔対象地〕 酪農地帯
〔内容〕 繋ぎ飼い方式の舎飼経営では、収益性に格差が生じており、高収益な経営は、定期的な草地更新を行うとともに、適正な草地管理、適期収穫を実施している。これらを通じて、牧草収量と自給飼料由来乳量を高めており、北海道の平均値を下回る自給飼料費用価と重量当たり生産費を実現している。
〔担当者〕 濱村寿史
〔部会〕 生産システム
〔結果発表〕


<平成29年>


1.でん粉原料用ばれいしょ生産費からみたコスト低減対策
〔担当場〕 道総研十勝農試 研究部 生産システムG
〔対象地〕 畑作地帯
〔内容〕 でん粉原料用ばれいしょ(以下、でん原馬鈴しょ)の生産費では、地域間や作付規模間で相違が認められる。地域間では種子予措の有無や播種量の相違が、作付規模間では農薬の使用状況の相違や作付面積の小さい経営層における農機具費の上昇がコスト高を生起させる要因である。これらの要因をふまえコスト低減対策を提示した。
〔担当者〕 三宅俊輔
〔部会〕 生産システム
〔結果発表〕
2.2015 年農林業センサスを用いた北海道農業・農村の動向予測
〔担当場〕 道総研十勝農試 研究部 生産システムG
〔対象地〕 全道
〔内容〕 2010年センサスに基づく予測結果の精度を勘案して予測法を修正し、2030年までの販売農家の人口・戸数・経営耕地面積等の予測を行った。2030年には農家人口84,453人(2015年比59.0%)、農家戸数25,047戸(同65.9%)、平均経営耕地面積32.4ha(+8.7ha)が見通される。
〔担当者〕 三宅俊輔
〔部会〕 生産システム
〔結果発表〕 北海道立総合研究機構農業試験場資料第42号

3.選択型コンジョイント分析を用いた農業サービス・農産物のニーズ評価手法
〔担当場〕 道総研十勝農試 研究部 生産システムG
〔対象地〕 全道
〔内容〕 選択実験を用いたコンジョイント分析の実践を通して、農業サービスや農産物の需要評価にこれを適用するための指針を整理した。農業サービスや農産物に対する支払意思額や購買確率を算出できる。
〔担当者〕 平石学
〔部会〕 生産システム
〔結果発表〕  
4.テキストマイニングによる農業・農村づくりに係る先進地視察対象の選定
〔担当場〕 道総研中央農試 生産研究部 生産システムG
〔対象地〕 全道
〔内容〕 農業・農村づくりの先進地視察に係る対象選定に向けて、事例集等の文章データからキーワードを抽出し、その出現頻度と取組内容等の事例の属性との対応関係と紹介文の因果関係を整理するテキストマイニングの実施手順を確立した。これにより、視察の目的に合致した対象の選定が可能になる。
〔担当者〕 日向貴久
〔部会〕 生産システム
〔結果発表〕  
5.北海道における飼料用米生産の経済性評価
〔担当場〕 道総研中央農試 生産研究部 生産システムG
〔対象地〕 水田地帯
〔内容〕 北海道の代表的な飼料用米産地を対象に、飼料用米生産の経済性評価を実施し、多収品種やソフトグレインサイレージ(以下、SGS)仕向けの作付けによる多収の実現で、大幅な生産コストの低減が可能になることを明らかにした。また、交付金の動向を踏まえた試算により、飼料用米の再生産に必要となる単収水準を明らかにした。
〔担当者〕 山田洋文
〔部会〕 生産システム
〔結果発表〕  



<平成30年>


1.JA端末への実装による組勘データを見える化する経営管理ツールの利便性向上
〔担当場〕 道総研十勝農試 研究部 生産システムG
〔対象地〕 十勝地域・全道
〔内容〕 「組勘データを見える化する経営管理ツール」を簡便かつ高度に活用できるよう改良し、J A関係部門の利用端末に実装した。組勘コードを指定するだけで、多人数の組勘見える化グラフ及び収支計算書を一括で作成、印刷できる。任意の月範囲による集計も可能であり、収入、支出の期中の進捗把握も容易である。
〔担当者〕 平石学
〔部会〕 生産システム
〔結果発表〕
2.自動操舵機能付き田植機の直進性と経済性
〔担当場〕 北海道農業研究センター 道総研中央農試 生産研究部 生産システムG、水田農業G
〔対象地〕 水田地帯
〔内容〕 Differential-GNSS と慣性計測装置による自動操舵機能付き田植機の直進性は、直線とのズレが手動操舵時と同レベルの平均 5cm 以内であり、走行軌跡の 90%で直線とのズレが 10cm 以内に収まっていた。自動操舵時の植付精度、生育、作業能率は、手動操舵と同等であり、投資額も自動操舵機能がない田植機と大きな差はなく、生産費は上昇しない。
〔担当者〕 吉田晋一(北農研)、白井康裕
〔部会〕 生産システム
〔結果発表〕
3.直播栽培による「そらゆたか」を導入した飼料用米生産の経済性評価
〔担当場〕 道総研中央農試 生産研究部 生産システムG
〔対象地〕 南空知
〔内容〕 直播栽培による「そらゆたか」の 60kg 当たり生産費は、多収の実現により 8,408 円となり、農林水産省の米生産費調査(15ha 以上)よりも低かった。また、「そらゆたか」の単収は、粗収益と全算入生産費の均衡点を上回る水準にあった。南空知の水田作経営では、「そらゆたか」の導入により、10%以上の所得増加が見込まれた。
〔担当者〕 山田洋文
〔部会〕 生産システム
〔結果発表〕

4.生産・流通・消費から見たクリーン農業の総合評価
〔担当場〕

道総研中央農試 生産研究部 生産システムG

道総研十勝農試 研究部 生産システムG

〔対象地〕 全道
〔内容〕 流通業者は他産地と差別化できる情報の発信を評価しており、取引価格に影響する。クリーン農業は化学合成資材の削減に伴いコストが増加する等の取り組みに関するストーリーを伝達することで、消費者の購買意欲を高められる。消費者が制度内容や表示マークについて評価する点を特定し、効果的な情報発信を続ける必要がある。
〔担当者〕 白井康裕、平石学
〔部会〕 生産システム
〔結果発表〕



<令和元年>


1.セル成形苗を用いた加工用トマトの栽培技術
〔担当場〕 道総研中央農試 生産研究部 生産システムG 水田農業G
道総研花野技セ 研究部 花き野菜G
空知農業改良普及センター本所、北空知支所
〔協力機関〕 沼田町、JAびばい
〔対象地〕 道央水田地帯
〔内容〕 機械作業に適した加工用トマトのセル成型苗による栽培技術を整理した。セル成型苗は、ポット苗よりも選り取り収穫での収量は劣るが、同熟性が高く、一斉収穫時の収量は優る。摘心処理は、第一果房開花期が遅くなり、収穫適期がより集中する。72穴のセル成型苗は、半自動移植機に適用でき、作業の省力化が実現する。
〔担当者〕 白井康裕他
〔部会〕 花野菜
〔結果発表〕 白井ら(2019):「新技術の開発段階における技術評価-加工用トマトの機械化栽培体系を事例として-」 日本農業経営学会誌第57号第2号 p95-100
2.田畑輪換体系における水稲無代かき移植の欠株率低減対策と後作大豆への効果
〔担当場〕 道総研 中央農試 生産研究部 水田農業G、生産システムG
〔対象地〕 水田地帯
〔内容〕 無代かき移植で欠株率が高まるが、代かき移植よりも移植機の油圧感度を固く、植え付け深さを深くすることで概ね10%以下に軽減できる。復元田の無代かきは連用代かきに比べ収量が平均13%高くなるとともに、後作大豆の土壌は膨軟であり増収した。無代かきと代かきの併用により5月の労働ピークの分散が可能となった。
〔担当者〕 大橋優二、白井康裕
〔部会〕 生産システム
〔結果発表〕
3.圃場基盤整備による小麦・大豆生産費への影響と水田フル活用による経営改善効果
〔担当場〕 道総研中央農試 生産研究部 生産システムG
〔対象地〕 水田地帯
〔内容〕 水田作経営を対象に、圃場基盤整備が小麦及び大豆生産費の低減と単収の増加に寄与し、投資の妥当性をもつことを明らかにした。また、経営耕地面積40haの水田作経営の所得は、実施前と比べて185万円増加した。圃場基盤整備と単収の増加効果を伴う水田フル活用によって、所得の増加が可能である。
〔担当者〕 山田洋文
〔部会〕 生産システム
〔結果発表〕  
4.北見地域の白花豆生産における疎植栽培導入による省力低コスト効果
〔担当場〕 道総研北見農試 研究部 地域技術G、十勝農試 研究部 生産システムG
〔対象地〕 北見地域
〔内容〕 白花豆の疎植栽培(株間95cm)は標植栽培(株間78cm)と比較し投下労働時間で10~15%省力化でき、労働費や諸材料費が低下する。一方で、疎植栽培は多肥や晩播の影響を受けやすく、収量性の変動が大きいが、収量比95%以上であればコスト低減と標植栽培と概ね同程度の所得が期待できる。
〔担当者〕 小倉玲奈、渡辺康平
〔部会〕 生産システム
〔結果発表〕
5.定置式除土積込機を用いたてんさい輸送体系の能率と経済性
〔担当場〕 道総研十勝農試 研究部 生産システムG
〔対象地〕 畑作地帯
〔内容〕 専用堆積場と定置式除土積込機を組合せることで、てんさい輸送時の混入土砂量を9 割削減でき、遊離土砂の返還を廃止できる。本輸送体系では日輸送量は低下し1t 当たり輸送費は増加するが、集荷単位の大型化や20t 輸送車の利用によってオペレータ数を削減しつつ、現状に近い輸送費を見込める。
〔担当者〕 平石学
〔部会〕 生産システム
〔結果発表〕




<令和2年>


1.繋ぎ飼養経営が導入する濃厚・粗飼料自動給餌機の経済性評価
〔担当場〕 道総研酪農試 酪農研究部 乳牛G
〔対象地〕 酪農地帯
〔内容〕 繋ぎ牛舎の建替え、増頭に際する濃厚・粗飼料自動給餌機の導入により、経産牛1頭当り労 働時間を約1 割程度削減できる。また、経産牛60 頭から90 頭に増頭するとともに、濃厚飼料、細切りサイ レージの多回給餌により乳量を5%以上向上させることで、総合耐用年数内の資本回収、1 時間当り農業所得の増加が可能となる。
〔担当者〕 濱村寿史
〔部会〕 生産システム
〔結果発表〕
2.水稲種子生産の経済性
〔担当場〕 道総研中央農試 農業システム部 農業システムG
〔対象地〕 水田地帯
〔内容〕 水稲種子の生産費は農業薬剤費や労働費の増加に伴い一般米(農業経営統計調査)より高かった。価格設定の参考とされる農業経営統計調査と同じ基準では生産費が価格を下回ったが、償却済資産の減価償却費まで算入すると生産費は価格を超過する。種子生産の継続には種子価格と生産費の双方の見直しを検討する必要がある。
〔担当者〕 山田洋文
〔部会〕 生産システム
〔結果発表〕





経営分野のホ-ムペ-ジへもどる_