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畜産試験場

染色体・DNA

染色体 chromosome
遺伝子を含み顕微鏡で見ることのできる核内の物体。生殖細胞には親の半分づつが受け継がれ、受精により一人前となる。
セントロメア centromere
真核生物細胞が細胞分裂をするときに現れる染色体の1部分。この部分に紡錘糸という糸状のものが結合して染色体の分離が行われる。動原体ともいう。染色分体は1本の長いDNAである。短腕末端からセントロメアを経て長腕末端に至るまで枝分かれも重複もなくつながっている。
テロメア telomere
染色体腕末端のこと。GとTに富む単純配列の繰り返しが存在する。ヒトの場合TTAGGGが数kb反復している。精子や胎児細胞で長く、高齢者や癌細胞では短いといわれる。セントロメアとともに染色体の形態が安定に保持されるために不可欠な領域である。
減数分裂 meiosis
2倍体から半数体へ染色体が減数する生殖細胞特有の細胞分裂。
相同染色体 homologous chromosomes
両親からきた一対の染色体。それぞれ対応する遺伝子座を持つ。減数分裂で別れ別れになり配偶子に入る。
ゲノムDNA genome
生命を維持できる最小限のDNAのセットをゲノムDNAという。ヒトやウシのゲノムは30億塩基対くらいと言われている。遺伝子として働いている部分は全ゲノムの約5%といわれ、残りは意味のないムダな部分と考えられている。全ゲノムの塩基配列とは鹿児島から稚内までの直線距離3000kmの間に1mm間隔でアルファベットの文字が並んでいるようなものと考えて良い。
DNA deoxyribonucleic acid
生物の全ての細胞中にあって、生命の源である遺伝情報を保持している。デオキシリボ核酸の略で糖とリン酸の鎖の2重らせん構造。アデニン(A)とチミン(T)、グアニン(G)とシトシン(C)の塩基が結合して鎖を作り何万何億と並んでいる。
塩基配列 DNA sequence
DNAの核酸分子鎖において塩基(A、T、G、C)の結合している順序。この塩基配列の並びが蛋白質の情報を担っており、遺伝の本質である。
DNAシーケンサー DNA sequencer
DNA塩基配列自動決定装置。
DNAマーカー DNA marker
個体を特徴づけるために用いられるDNA上のしるし。個体のDNAは親から受け継いでからは不変なため理論的には受精卵の時から特徴づけが可能となる。個体の成績との関連が明らかになれば育種上の利用価値は高い。
マイクロサテライト microsatellites
1990年代に入り、ゲノム上の意味のないムダな部分に特定の短い塩基配列の繰り返し(例えばCA、GCAなど)が無数に認められることが発見された。これをマイクロサテライト領域という。その中でもCAリピートはゲノム上に30~60kbpの高頻度で存在し、種類も豊富なため、今日考えられる最も理想的なDNAマーカーとされている。
bp(base pair: ベースペア)
塩基対。2本鎖DNAの長さの単位。200bp=200塩対。