農業研究本部へ

畜産試験場

個体給餌施設「お一人様シュウト」

個体給餌施設は、牛が中に入りスイッチに触れると(馴らすことが必要です)、上からエサが落ちてきてカップに溜まる仕組みになっており、それぞれの牛が食べるエサの量を管理することができます。私たち肉牛育種科でも個体給餌施設を利用していましたが、ある時困ったことが起こりました。弱い牛が施設の中でエサを食べている時に、強い牛が後ろから邪魔をして弱い牛を追い出してしまうのです。これではせっかくの個体給餌施設の意味がありません。この問題を解決するために考案されたのが「お一人様シュウト」です。
「お一人様シュウト」と考案した水尻氏。
「お一人様シュウト」の全景。なにやら怪しげな施設です。扉が付いているようですが・・・。
<お一人様シュウトの模式図> 赤で示したのがポイントとなる扉です
①お腹を空かせた牛Aが個体給餌施設「お一人様シュウト」にやってきます。
②牛Aはエサを求めて奥に進みます。その際に、扉が牛Aの前に進む力によって矢印の方向に回転します。
③牛Bがエサを横取りしようとやってきますが、扉が閉まっていて入ることができません。牛Aは、安心してエサを食べることができます。
「お一人様シュウト」の内部の様子。扉の工夫が見られます。
扉に付けてある重し。風などで簡単に扉が閉じてしまうのを防ぎます。
「お一人様シュウト」の横の様子。
<お一人様シュウトのポイント>
● 単純かつシンプルな発想。だけどなかなか思い付かない。
● 牛が施設に入る際に扉を勝手に開けてくれる。そして、施設から出る際に扉を勝手に元に戻してくれる。人間の手間いらずです。
● 牛が食べたエサの量を正確に測定することができるようになりました。
<お一人様シュウトの留意点>
● すべて廃材を利用して作製しており、お店で材料をそろえると結構お金がかかるかもしれません。
● 牛がこの仕組みに慣れるまでに少々時間を要します。
● 適度な扉のすきまや角度は、製作者の試行錯誤の末にたどり着いたものです。その微妙なあんばいは、パドックや牛群に応じて調整する必要があるかと思います。
*字面上では、うまく説明するのが難しかったです。。