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酪農試験場天北支場

定期作況報告(総括)

(平成11年11月20日現在)


Ⅰ 気象概況

平成10年11月上旬から平成11年11月中旬までの気象は以下のように経過した。
根雪始は平成10年11月11日で平年より15日早く、根雪終は平成11年4月18日で平年より6日遅かった。
 冬期間(平成10年11月下旬~平成11年4月中旬):平均気温は12月中旬で-2.5℃(対平年値比+2.0℃、以下同様)、4月中旬で5.1℃(+2.1℃)と平年より高かったが、全体を通して低く推移し、特に12月上旬で-5.6℃(-4.8℃)、2月中旬で-9.3℃(-3.6℃)、4月上旬で-1.1℃(-4.1℃)と平年より低かった。降水量は2月中旬で11mm(58%)と少なかったが、全体を通して多く推移し、特に2月上旬で27mm(180%)、3月上旬で34mm(309%)と平年より多かった。
 牧草生育期間(平成11年4月下旬~11月中旬):平均気温は全体を通して高く推移し、特に6月中旬で15.6℃(+4.0℃)、8月上旬で23.7℃(+5.9℃)、9月上旬で20.8℃(+3.9℃)と平年より高かった。降水量は全体を通して多く推移し、特に7月下旬は273mm(488%)、8月下旬が106mm(177%)と平年より多かった。日照時間は7月下旬で14.8時間(40%)、10月下旬で22.0時間(51%)と平年より少なかったが、全体を通して平年並から平年より多く推移し、特に6月上旬は77.6時間(188%)、8月中旬は52.2時間(186%)と平年より多かった。
4月: 平均気温は上旬で-1.1℃(-4.1℃)と平年より低かったが、中旬は5.1℃(+2.1℃)と平年より高く、下旬はやや高かった。降水量は上~中旬で平年よりやや多く推移したが、下旬は5mm(21%)と少なかった。日照時間は上~中旬で平年並から平年よりやや少なく推移したが、下旬は75.5時間(155%)と平年より高かった。
5月: 平均気温は上旬で平年よりやや高かったが、中~下旬は平年よりやや低く推移した。降水量は3旬とも平年より多く推移し、特に上旬は63mm(315%)と平年より多かった。日照時間は平年並から平年よりやや少なく推移した。
6月: 平均気温は3旬とも平年より高く推移し、特に中旬は15.6℃(+4.0℃)と平年より高かった。降水量は上~中旬で平年より少なく推移したが、下旬は44mm(293%)と平年より多かった。日照時間は平年並から平年より高く推移し、特に上旬は77.6時間(188%)と平年より多かった。
7月: 平均気温は上旬で13.3℃(-2.0℃)と平年より低く、中旬で平年よりやや低くかったが、下旬は平年よりやや高かった。降水量は平年並から平年より多く推移し、特に下旬は273mm(488%)と平年より多かった。日照時間は平年並から平年より少なく推移し、特に下旬は14.8時間(40%)と平年より少なかった。
8月: 平均気温は平年並から平年より高く推移し、特に上旬は23.7℃(+5.9℃)と平年より高かった。降水量は3旬とも平年より多く推移し、特に下旬で106mm(177%)と平年より多かった。日照時間は上旬で61.1時間(154%)、中旬で52.4時間(186%)と平年より高く推移したが、下旬は平年よりやや少なかった。
9月: 平均気温は平年並から平年より高く推移し、特に上旬で20.8℃(+3.9℃)と平年より高かった。降水量は平年並から平年より少なく推移し、特に上旬で15mm(31%)と平年より少なかった。日照時間は平年並から平年より多く推移し、特に中旬で68.5時間(169%)と平年より多かった。
10月: 平均気温は3旬とも平年よりやや高く推移した。降水量は中旬で平年よりやや少なかったが、上旬で74mm(206%)、下旬で67mm(140%)と平年より高かった。日照時間は上~中旬で平年並であったが、下旬は22.0時間(51%)と少なかった。
11月: 平均気温は平年並であった。降水量は上旬で13mm(28%)と少なかった。日照時間は中旬で17.7時間(79%)とやや少なかった。
晩霜は平成11年5月16日、初霜は11月6日で無霜期間は171日となり、平年より14日多かった。降雪始は10月15日で平年より17日早かった。

a.季節表


b.牧草生育期間の主要気象要素積算値(4月21日~11月20日)




図1 気温の推移(平成10年11月上旬~平成11年11月中旬)


図2 降水量の推移(平成10年11月上旬~平成11年11月中旬)


図3 日照時間の推移(平成10年11月上旬~平成11年11月中旬)

c.季節表




Ⅱ 作況

1.牧草
1)採草型-Ⅰ(TY・RC散播)    作況:やや不良
事由:萌芽期はチモシー、アカクローバともに平年並であった。チモシーの出穂期は平年に比べて4~6日早く、1番草の収穫期は6~8日早かった。草丈はチモシーが13.5~15.9cm、アカクローバが11.2~13.4cm低かった。乾物収量は2年目草地でアカクローバが、3年目草地でチモシーが少なく、合計乾物収量は2年目草地で平年比87%、3年目草地で71%、平均79%であった。1番草は発育が早く進んだものの量的に少なく、作況は不良であった。
2番草は平年に比べて6~9日早く刈り取った。草丈はチモシーが1.1~10.8cm、アカクローバが6.3~9.9cm高かった。乾物収量は2年目草地でアカクローバが少なく、3年目草地ではチモシーが少なく、アカクローバが多かった。合計乾物収量は2年目草地で平年比93%、3年目草地で111%、平均102%であった。作況は平年並であった。
3番草の収穫は平年より12日早かった。草丈はチモシーが1.5~5.4cm、アカクローバが3.5~12.9cm高かった。乾物収量は2年目草地で平年比129%、3年目草地で111%、平均120%であった。
年間合計乾物収量は2年目草地で平年比95%、3年目草地で89%、平均92%であった。
以上により、本年の作況はやや不良である。



2)採草型-Ⅱ(OG・RC散播)    作況:やや不良
事由:萌芽期はオーチャードグラス、アカクローバともに平年並であった。オーチャードグラスの出穂期は平年に比べて0~4日早く、刈取りは2~5日早かった。1番草の草丈はオーチャードグラスが3.4~6.3cm、アカクローバは2年目草地で4.8cm低かった。乾物収量は2年目草地で収量は2年目草地で92%、3年目草地で94%で、平均93%であった。作況はやや不良であった。
2番草は平年に比べて9~14日早く刈り取った。草丈はオーチャードグラスが4.6~14.0cm低く、アカクローバは2年目草地で4.3cm低く、3年目草地で1.9cm高かった。乾物収量は2年目草地でオーチャードグラス、アカクローバともにやや少なく、3年目草地ではオーチャードグラスが少なく、アカクローバが多かった。合計乾物収量は2年目草地で平年比92%、3年目草地で102%、平均97%であった。作況は平年並であった。
3番草は平年より20~23日早く刈り取った。草丈はオーチャードグラスが2年目草地で1.8cm高く、3年目草地で4.6cm低く、アカクローバは8.0~9.4cm高かった。乾物収量は2年目草地、3年目草地ともオーチャードグラスが少なく、アカクローバが多かった。合計乾物収量は2年目草地で平年比99%、3年目草地で90%、平均95%であった。刈取が早かったことも考慮し、作況は平年並であった。
年間合計乾物収量は2年目草地で平年比94%、3年目草地で95%、平均95%であった。
以上により、本年の作況はやや不良である。



3)放牧型-Ⅰ(OG・WC散播)    作況:平年並
事由:萌芽期は平年に比べてオーチャードグラスが1~3日、シロクローバが3~4日遅かった。1番草の草丈はオーチャードグラスが2年目草地で6cm高く、3年目草地で4cm低く、シロクローバは平年並であった。乾物収量は2年目草地で平年比101%、3年目草地で67%、平均84%であった。作況は不良であった。
2番草は6月上旬に雨が少なく、草丈はオーチャードグラスが2.6~3.8cm高く、シロクローバが4.9~6.1cm低かった。乾物収量は2年目草地で平年比91%、3年目草地で107%、平均99%であった。作況は平年並であった。
3番草は7月上・中旬にかけてやや気温が低く、草丈はオーチャードグラスが10.5~19.4cm、シロクローバが5.9~10.8cm低かった。乾物収量は2年目草地でオーチャードグラスがやや少なく、シロクローバが少なかった。3年目草地ではオーチャードグラスが少なく、シロクローバが多かった。合計乾物収量は2年目草地で平年比75%、3年目草地で113%、平均94%であった。作況はやや不良であった。
4番草の草丈はオーチャードグラスが8.4~12.0cm低く、シロクローバが2年目草地で3.1cm高く、3年目草地で2.7cm低かった。乾物収量は2年目草地でシロクローバが多く、3年目草地でオーチャードグラスが少なかった。合計乾物収量は2年目草地で平年比75%、3年目草地で113%、平均94%であった。作況はやや不良であった。
5番草の草丈はオーチャードグラスが2年目草地で5.3cm、シロクローバが2.1~2.3cm低かった。乾物収量は2年目草地、3年目草地ともオーチャードグラスが少なかったが、2年目草地ではシロクローバが多かった。合計乾物収量は2年目草地で平年比107%、3年目草地で89%、平均98%であった。作況は平年並である。
6番草の草丈はオーチャードグラス、シロクローバともに平年並であった。乾物収量はオーチャードグラスが少なく、シロクローバが多く、合計乾物収量は2年目草地で平年比126%、3年目草地で98%、平均112%であった。作況はやや良であった。
年間合計乾物収量は2年目草地で平年比100%、3年目草地で95%、平均98%であった。
以上により、本年の作況は平年並である。



4)放牧型-Ⅱ(PR・WC散播)    作況:不良
事由:萌芽期は平年に比べてペレニアルライグラス、シロクローバともに平年並であった。1番草の草丈はペレニアルライグラスが3年目草地で5.2cm低く、シロクローバが1.2~2.4cm低かった。乾物収量は2年目草地でシロクローバが少なかったことから、平年比82%と少なく、3年目草地では根雪が早く、融雪器が遅かったことから、ペレニアルライグラスに冬損等の影響を受け27%と少なかった。平均は55%であった。作況は不良であった。
2番草の草丈はペレニアルライグラスが3.0~7.1cm、シロクローバが10.8~11.1cm低かった。乾物収量は2年目草地で平年比94%、3年目草地で86%、平均90%であった。作況はやや不良であった。
3番草の草丈はペレニアルライグラスが3.0~7.1cm、シロクローバが7.1~8.9cm低かった。乾物収量は2年目草地で裸地が多く、ペレニアルライグラス、シロクローバともに少なく、3年目草地ではペレニアルライグラスが少なかったが、シロクローバが多かった。合計乾物収量は2年目草地で平年比42%、3年目草地で111%、平均77%であった。作況は不良であった。
4番草の草丈はペレニアルライグラスが9.5~10.9cm、シロクローバが3年目草地で7.9cm低かった。乾物収量は2年目草地でシロクローバが多く、3年目草地でペレニアルライグラス、シロクローバともやや少なかった。合計乾物収量は2年目草地で平年比121%、3年目草地で86%、平均104%であった。作況は平年並であった。
5番草の草丈はペレニアルライグラスが3.0~4.2cm、シロクローバが1.6~4.2cm低かった。乾物収量はペレニアルライグラスが2年目草地、3年目草地とも少なく、シロクローバが2年目草地で多く、3年目草地で少なかった。合計乾物収量は2年目草地で平年比95%、3年目草地で85%、平均90%であった。作況はやや不良であった。
6番草の草丈はペレニアルライグラスが0.2~1.4cm低く平年並、シロクローバが1.5~3.0cmとやや低かった。乾物収量は2年目草地でペレニアルライグラスが少なく、シロクローバが多く、合計収量は2年目草地で平年比101%、3年目草地で106%、平均104%であった。作況は平年並であった。
年間合計乾物収量は2年目草地で平年比88%、3年目草地で81%、平均85%であった。
以上により、本年の作況は不良である。



2.サイレージ用とうもろこし    作況:良
事由:播種日は平年より1日早く、発芽器は両品種とも平年より4日早かった。発芽後の生育は順調であった。抽雄期は両品種とも8日早く、抽糸期はヒノデワセで13日、ダイヘイゲンで12日早かった。収穫前の稈長は短かった。
収穫日は平年より6日早かったが、熟度は両品種とも黄熟期に達しており、平年より進んでいた。生収量は両品種とも平年より雌穂が多く、茎葉と総重は少なかった。乾物収量は両品種とも平年より茎葉が少なく、雌穂と総重は多かった。
TDN収量はヒノデワセで140%、ダイヘイゲンで156%で多かった。総体の乾物率、乾雌穂割合、乾物中のTDN含量はいずれも平年より多かった。
以上により、作況は良である。