水産研究本部

エゾアワビ:あわび漁業(たも採り)

アワビ

漁業の情報

漁業許可等の区分第一種共同漁業権漁業
主な操業地域日本海沿岸域
取材地檜山振興局管内奥尻町
漁場水深10m以浅、潮通しの良い岩礁地帯(アワビは大きな岩の下、岩盤の割れ目等に生息する。)
漁具たも
水深別に4本から5本の長さの異なるたも(主に2m、3m、5m、6m、7m)を使用(予備も有)
たもは金具の部分を除いて各自で作製、たもの金具部分の口径は13~15センチメートル位で、操業時のサイズで口径を使い分けている(金具は鉄工所等で製作)。
たも袋の網目は一般的に8分目の網を使用、袋の長さは45~50センチメートル位。
海の中を探索するための、ガラス(覗きめがね)を使用する。
漁期5月15日~7月15日
漁船規模船外機付磯舟0.3トン、(エンジン)25馬力以下
足で櫂(かい)を漕ぐ他にバッテリーで駆動するスラスター(小型船外機12V叉は24V)を装備
出荷形態活貝(漁獲後3日間位港に蓄養し、決められた日時・場所で荷受け後出荷)
出荷サイズ;中:6.5センチメートル以上~7.5センチメートル未満、大:7.5センチメートル以上

対象魚の情報

標準和名エゾアワビ
英名ezo-abalone
科目古腹足上目ミミガイ科
学名Haliotis (Nordotis) discus hannai Ino
俗名、地方名アワビ
混獲魚なし
道内主産地利尻・礼文から津軽海峡までの日本海側

漁業のすがた

奥尻島のあわび漁業は、長いさおの先に付けられた専用のたも網を使って、船上からアワビを採取する「たも採り」漁法で行われます。奥尻島では操業回数が少ないものの、多くの漁業者が携わっているため、とても重要な漁業となっています。
操業漁期中は島内各浜の代表者が協議して、島全体が凪の日に操業の実施を決定します。 操業時間は午前6時30分から9時までで、終了時間になると一斉に帰港します。採取したアワビは、サイズ毎に選別後一時的に蓄養し、後日決められた日に漁協の市場等に持ち寄り荷受けされ、主に本州方面に出荷されます。
エゾアワビは、潮通しの良い岩礁地帯に生息することから、周囲が岩礁域で占められている奥尻島は恰好の生息地となっていますが、操業期間が短いため奥尻産アワビを味わうことの出来る期間はほんの僅かです。

 

増殖と管理

奥尻のあわび漁は、毎年漁期前に共同漁業権管理委員会で協議して操業回数を決めています。また、奥尻島周辺ではアワビの生息密度を把握するために、漁協、奥尻町、水産指導所等により、毎年漁期前、漁期後の全島資源量調査を長年にわたり行っています。この調査等により蓄積された知見は、研究機関等にとってもアワビの生態解明に重要な資料となっており、現在も継続して資源維持・管理に向け調査を実施しています。

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漁具

たも網1:水深により長さの異なったたもを使用します。

たも網2:口金の部分が薄くなっており、アワビを採取し易い形状に工夫されています。

たも網3:たも網を立てると身長の倍以上の長さのたもを扱います。

使用漁船:磯舟(船外機船)と長さの異なるたも網です

スラスター:磯舟の位置を保つためのスラスター(小型の推進機)です。

覗きめがね:海中のアワビを探索するための覗きガラスです。

漁業・漁獲の流れ

出漁1:早朝5時30分、各港から一斉に出航です。

出漁2:我先にと、お目当ての漁場を目指します。

操業開始:操業時間まで待機し、午前6時30分、一斉に操業を開始します。

操業1:器用に足で櫂(かい)を漕ぎながらアワビを採取します。

操業2:万一の転落に備え、ウエットスーツを着用している人もいます。

操業3:スラスターを使用してアワビを探索している様子です。

操業4:アワビを見つけました、たも網を持つ手に力が入ります。

待機:浜ではかあさん達が安全操業を見守ります。

帰港:午前9時操業終了、一斉に帰港します。

出荷

舟揚げ:帰港後の舟揚げ風景。

検査:帰港後、組合職員が採取されたアワビを検査して回ります。

選別1:アワビ用の尺を使ってサイズを選別します。

選別2:尺を当てアワビを選別し、サイズ毎にカゴに収容している様子。

収容:最近では、木箱を使用する人が少なくなったようです。

蓄養:船の航行に支障をきたさない海面に吊して作業終了です。

出荷:漁協市場での荷受けの様子。数日間蓄養して数量がまとまったアワビを出荷します。

協力:檜山振興局管内/ひやま漁業協同組合 奥尻支所
取材:奥尻地区水産技術普及指導所

最終更新日:2013年03月01日