水産研究本部

エゾボラ:つぶかご漁業(エゾボラ)

エゾボラ

漁業の情報

漁業許可等の区分知事許可漁業
主な操業地域日高・十勝・釧路 振興局管内太平洋海域
取材地日高振興局管内様似町
漁場水深100~150メートル
漁具つぶかご
漁期周年
漁船規模船内機船 10トン未満
出荷形態生鮮

対象魚の情報

標準和名エゾボラ
英名ezo-neptune、whelk
科目新腹足目エゾバイ科
学名Neptunea polycostata  Scarlato
俗名、地方名マツブ、Aツブ
混獲魚ケツブ、トウダイツブ、他ツブ類、タコ類、タラ、その他魚類
道内主産地日高沿岸

漁業のすがた

つぶかご漁業は、1本の幹縄に餌の入ったかごを約10メートル間隔で100個付け海底に沈めて、エゾボラの蝟集を待つ漁業です。漁場に着くと、前回入れておいたかごを引き揚げエゾボラを取り出し、次の漁に備えるため餌をかごに入れて船上に積み重ねます。すべてのかごを回収した後、別の漁場へ移動し再びかごを海へ投入します。
日高管内では台形状の円柱形のかごが使われており、その大きさは直径95センチメートル・高さ30センチメートル以内とされています。かごには「窓」と呼ばれる入り口がありその直径は20センチメートル以上とされています。
漁獲されたエゾボラは、船上で大きさにより大まかに選別され、さらに漁協の市場で正確な重量を計って規格別(大・小)に選別されます。
餌はイカ、ホッケ、スケトウダラ、イワシの他に売り物にならない雑魚などを用います。
一般にエゾバイ科の巻き貝をツブと呼びますが、種類がたいへん多く、日高管内ではエゾボラモドキはBツブと呼ばれ、オオカラフトバイはトウダイツブと呼ばれます。他にケツブと呼ばれるアヤボラなどが漁獲されています。
エゾボラは甘みがあり歯ごたえも良いため刺身や炉端焼きなどに適しています。
 

増殖と管理

ツブは深みに棲むものが多いうえに、種類の区別も難しく、全体の資源量など不明な点が多いとされています。しかし、日高管内では標識放流により移動、成長を把握する調査や、殻に付いている卵塊を集めて集中放流を行うといった増殖試験を実施している地区もあります。
また、管理としては獲りすぎにならないよう、かごの使用数を限定したり、かごの網目を小さくしないなどの措置をとっています。日高では一放しの長さを750メートル~1,000メートルとし、かごの数を800個以内に制限しています。さらに船上での選別の際、小さいもの(150グラム以下)や卵の付着しているものは海に戻します。

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漁具
上部の空いている「窓」からツブが入ってきます。窓の大きさは、20センチメートル~45センチメートルと様々です。かご自体の大さは、底面が直径77センチメートル、高さが22センチメートルになっています。網目の目合は23ミリメートル~24ミリメートルです。 

漁具一式:かご、アンカー、ロープ、浮標(ボンデン)でつぶかご漁具一式です。

つぶかご:餌を入れたつぶかごです。

操業

出港:大漁を期待し、出港です。

漁場到着:水深120メートルにつぶかごを入れてあります。

かご揚げ:いよいよ、かご揚げの開始です。

巻き揚げ:かごをドラムで巻き揚げていきます。

選別1:かごに入ったツブを選別用の台にのせます。

選別2:種類で分けて選別します。

小型個体放流:小さなツブはすぐに放流します。

餌入れ:ツブを出したかごに餌を入れ、次の漁の準備をします。

餌:餌はいろいろな雑魚を利用しますが、この日はイワシを使いました。

操業:この日は4人で分担しています。右から選別する人、次いでかごを揚げる人、ロープを巻く人、かごに餌を入れる人の順です。流れ作業ですのでチームワークが大切です。

選別:作業の合間に大きさ毎に大まかに選別します。

漁獲物:漁獲・選別されたツブです。

ヒトデ:混獲されたヒトデ類は駆除のため持ち帰ります。

船頭:良い漁場を探すため船長の目が厳しくなります。

かご入れ1:再び、餌を入れたかごを仕掛けます。

かご入れ2:船を走らせながら手際よく投入していきます。

かご入れ3:最後に目印のため、浮標(ボンデン)を入れます。

出荷

帰港:港に帰ってきました。漁獲物を水揚げします。

陸揚げ

計量:重量で規格分けされているため、1個ずつ正確な重量を量ります。

出荷:規格毎に出荷します。

協力:日高振興局管内/日高中央漁業協同組合 様似支所(旧 様似漁業協同組合)
取材:日高地区水産技術普及指導所

最終更新日:2013年03月01日