水産研究本部

サンマ:さんま漁業(棒受け網漁業)

サンマ

漁業の情報

漁業許可等の区分10トン未満:知事許可漁業
10トン以上:大臣許可漁業
主な操業地域えりも岬沖から千島列島南部の道東太平洋、根室海峡の羅臼沖からオホーツク海
取材地根室振興局管内根室市
漁場主漁場は、表面水温が12~18度の海域に形成されるため、海水温により漁場は移動する。
例年、8月中まではロシア海域が漁場の中心となり、その後、主要漁場である道東海域で、9~11月まで根室からえりも岬沖にサンマが集まり盛漁期を迎える。
オホーツク海域では、8月中旬頃に北部海域から漁場が形成され、次第に南下する。11月以降、漁場は三陸沖へと移動する。
漁具・網:ポリアミド系、ポリエステル系、ポリ塩化ビニリデン系等の化学繊維で、魚捕部、中網等、必要とされる強度によって数種の繊維網地が使用され、主要な網は、目合い16ミリメートル、本目結節である。網の大きさは、使用漁船に合わせ仕立てられる。
・灯火:集魚灯(10~20本):探索と集魚に使われる。白色電球6~12個を竿に付け、浅い笠で覆われている。
・誘導灯(1~3灯):網の上に誘導する。光が分散しないよう深い丸い笠が付けられ、青色と赤色電球がそれぞれ2~3個付けられている。船の周りに集まった魚を網の中に誘導する。
・探照灯(1灯):魚群の捜索のため主に投光器が使用されている。 
・巻揚機:巻揚げる網の位置によって、サイドローラー、棒受け網用巻揚機(6~8本巻きウィンチ)、引き寄せウィンチがある。
・フィッシュポンプ:網の魚捕部からサンマを船上に汲み上げる。
漁期7月~12月
漁船規模
許可名称階層操業時間制限光量
知事
許可
えりも以東
さんま漁業
5トン未満7月15日~
11月30日
250キロワット
以内
5トン以上10トン未満7月15日~
11月30日
250キロワット
以内
大臣
許可
北太平洋
さんま漁業
10トン以上20トン未満8月1日~
12月31日
900キロワット
以内
20トン以上40トン未満8月1日~
12月31日
900キロワット
以内
40トン以上200トン未満8月1日~
12月31日
900キロワット
以内


この他に、オホーツク海海域での操業についても、漁船規模毎で操業期間が定められている。制限光量は、すべて120キロワット以内である。

出荷形態大部分は船から直接のトラック積みであるが、特に鮮度の保持が必要な生鮮向けについては、タンクや発泡スチロール箱の水氷詰めで出荷されている。
近年では、より鮮度の高いサンマを提供するために、船内に紫外線浄化装置と製氷機を、市場内に海水濾過装置、製氷機、海水タンクを導入し、水揚げから荷受けまで一貫した鮮度保持への取組みが行われ始めている。

対象魚の情報


 

標準和名サンマ
英名saury 、Pacific saury
科目ダツ目サンマ科
学名Cololabis saira (Brevoort)
俗名、地方名ジャミ(小型魚)
混獲魚イワシ、サバ、サメ、イカ
道内主産地根室市、釧路市、厚岸町

漁業のすがた

 1939年に千葉県の漁業者が、サンマが夜に光に集まる習性を利用し開発したのがサンマ棒受け網漁業の始まりです。北海道では、1940年代にサケ・マスやイカの流し網漁業の副業として発展しましたが、1990年代の流し網の規制等により脚光を浴び、その後、本業として行われるようになりました。
 現在では、魚群探知機、フイッシュポンプや水温図等の海況情報を入手するためのパソコンが導入され、さらに漁獲の効率化が進んでいます。
 漁獲量は、資源変動や漁場のでき方、価格動向によって変動していますが、近年、北海道では6万~12万トンで推移しています。
 漁期中には、根室市の「サンマ祭」のように、産地で様々なイベントが開催され、サンマの消費拡大が図られています。
 

増殖と管理

 サンマは、漁獲量が多く総水揚げに占める割合が高い魚であることから、規則(*1)で総漁獲量が制限されています。さらに、業界(*2)では管理要領(*3)を定め、漁船規模毎の月別漁獲目標割合の設定、休漁処置(連続して72時間を上限)、出入港時間の制限等を行い、資源管理と共に価格の維持安定を図っています。また、操業前には水試等の調査結果を基に予報会議を開催し、漁場や資源動向を把握し効率的な操業に努めています。

*1 「海洋生物資源の保存および管理に関する法律」:通称TAC(タック)
*2 さんま漁業漁獲協定管理委員会
*3 漁獲可能量管理要領

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漁船・漁具

網・集魚灯:棒受け網を漁船に積み込みます。漁船には集魚灯も設備されています。

漁業・漁獲の流れ

漁場へ:僚船と共に漁場に向かいます。

探照:投光器でサンマの群れを探しています。

操業1:網を海中に投入する。

操業2:集魚灯は右舷側を点灯した後、左舷側を点灯します。サンマが集まったのを確認し、右舷側の集魚灯を消灯し、左舷側に集めます。その後、左舷側も消灯し誘導灯で海面を照らし、サンマを網の中に誘導していきます。

操業3:魚群が網に入ったのを確認し、網しぼりを開始します。

操業4:網がしぼられ、サンマが跳ねています。

操業5:フィッシュポンプを網の中に入れます。

操業6:吸い上げを開始。

操業7:船倉にサンマが送られ、氷と水で鮮度保持を行います。

出荷状況

荷揚げ1:帰港後、船倉からタモ網でサンマを汲み上げます。

荷揚げ2:汲み上げたサンマはトラックへ積み込まれます。

競り(せり):花咲市場の競りの様子です。

イベント

イベント:恒例となった根室市の「サンマ祭り」の様子です。

協力:根室振興局管内/落石漁業協同組合
取材:根室地区水産技術普及指導所

最終更新日:2013年03月01日