水産研究本部

シシャモ:ししゃもこぎ網漁業

シシャモ

漁業の情報

漁業許可等の区分知事許可漁業
主な操業地域胆振総合振興局、日高振興局、十勝総合振興局、釧路総合振興局管内
取材地十勝総合振興局管内広尾町
漁場水深30メートル未満で、底質が砂泥である海域
漁具こぎ網
漁期10~11月
漁船規模10トン未満と5トン未満
漁獲物を船上に揚げるボンブ(簡易クレーン)と船尾には大型のロープリールを2基備える。
出荷形態鮮魚を木箱に収容して出荷

対象魚の情報

標準和名シシャモ
英名shishamo smelt、Japanese longfin smelt
科目サケ目キュウリウオ科
学名Spirinchus lanceolatus (Hikita)
俗名、地方名なし
混獲魚ハタハタ、カレイ類、カジカ類、ヌイメガジ他
道内主産地胆振、日高、十勝、釧路 振興局管内沿岸

漁業のすがた

 シシャモは産卵のため北海道太平洋沿岸の限られた川に遡上する分布域の限定された日本固有種です。このため、高値で取引され太平洋沿岸の貴重な漁業資源となっています。
 十勝管内では91隻が着業しており、乗船員・選別作業・加工等の雇用面からも地域の重要な産業となっています。
 漁業は秋の10月中旬から11月下旬の1ヶ月半ほどの短期間に行われ、街角でみられる”すだれ干し”は鵡川町や釧路市の初冬の風物詩となっています。
 

増殖と管理

 シシャモは抱卵した雌が特に珍重されることから、産卵が間近に迫った10~11月が漁期となっています。シシャモ資源を維持し、漁業の安定を図るために、漁期中に定期的に成熟度調査を実施して産卵場となる河川への遡上日を予測し、終漁日を決定することで、産卵親魚を保護しています。
 また、漁期前に実施する資源量調査や、河川での産卵規模を推測するための産卵床調査などを実施して、資源動向を把握し、資源の有効利用や計画的な漁業生産に努めています。

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漁具

こぎ網1:こぎ網の全景です。陸上で見ると大きく見えます。

こぎ網2:袋網の部分です。揚網の時ここに魚が溜まります。

操業方法

投網:袋網部分を勢いよく投入します。

巻き揚げ:曳網後、2基のロープリールで巻き揚げます。

揚網1:2枚の袖網が姿を見せたところです。

揚網2:網を右舷に引き寄せます。

引き揚げ:揚網機で船上に引き揚げます。

取り込み1:袋網部にロープをかけ、ボンブ(支柱)で吊り揚げ、巻き揚げます。期待の瞬間です。

取り込み2:船上に移動させ、ファスナーを開いて漁獲物を出します。

選別:次の曳網終了まで、漁獲物を選別します。

漁獲物1:シシャモは大小に選別します。

漁獲物2:この日はコマイ、ハタハタ、カレイ類が主に混獲されました。左がコマイ、右がハタハタ、カレイ類。

帰港:操業は6時から14時までに決められているので全船一斉に鳥山を従えて入港します。

荷揚げ:今日の成果を陸揚げします。

選別・出荷

選別1:未選別の漁獲物は選別台に載せて、陸上で選別します。

選別2:選別は短時間で終わらせなければなりません。家族総出でシシャモにむかいますが、最盛期にはパートさんを雇うこともあります。

選別3:今日の操業が終わり、ほっとしながらも、選別する目は真剣です。

出荷:木箱に入れたシシャモは漁協の市場に運んで計量を受けます。

加工

加工1:加工場で女工さんがシシャモを串に通しているところです。

加工2:串にとおしたシシャモを乾燥機で乾燥させます。

加工3:サイズ別に箱詰めして広尾名産一夜干しシシャモの完成です。

産卵床調査

産卵床調査1:広大な母なる川、十勝川。下流域のシシャモが産卵した砂を毎年、同じ場所で採取します。

産卵床調査2:採取してきた砂の中から粒径約1.5ミリメートルの卵を探し出します。産着卵数はシシャモ資源の動向把握の参考とされます。

協力:十勝総合振興局管内/広尾漁業協同組合
取材:十勝地区水産技術普及指導所

最終更新日:2013年03月01日