
漁業の情報
漁業許可等の区分 | 第一種共同漁業権漁業 |
---|---|
主な操業地域 | 釧路、根室地方の太平洋沿岸 |
取材地 | 釧路総合振興局管内厚岸町 |
漁場 | 水深3~6メートル域の岩礁帯に着生しており、主な漁場は水深3メートル以浅です。 |
漁具 | ・かぎ(鈎):浅みに着生しているコンブを採るための棒状の漁具で漁期の前半で使用されます。 海面になびいているコンブをかぎですくい上げ、船に引き寄せて手で引き抜いて採ります。 柄の長さは、漁場によって6~9メートルと使い分けており、先端のかぎ部分は60センチメートル前後です。 また、柄の材質には、木製とFRP製がありますが最近は軽くて丈夫なFRP製が普及してきており、かぎ部分は木製とステンレス製があります。 この他にも魔法のかぎと呼ばれる漁具が地域によっては使用されています。*FRP:繊維強化プラスチックのこと。 ・ねじり(かたしば):深みに着生しているコンブを採るための棒状の漁具で漁期の後半に使用されます。 棹先が二股に割れており、海底に下ろして回転させコンブを絡めて抜き採ります。 柄の長さは約5~10メートル、先端部分(かたしば)の長さは2メートル前後あり、材質には木製とFRP製があります。 なお柄の部分は、ワンタッチで取り外しできる構造になっており漁場によって長さ調整が可能です。 ・まっけ:時化(しけ)等の影響で抜け、海岸に寄せられたコンブを採るかぎ状の漁具で、波打ち際から沖にむかって投げ入れ、コンブを爪で引っ掛けて採ります。 爪の部分は、鉄製です。 |
漁期 | 棹(さお)前こんぶ漁業:6月上旬~下旬 成こんぶ漁業:7月上旬~10月下旬 拾いこんぶ漁業:通年 |
漁船規模 | 主に2トン未満の船外機船 |
出荷形態 | 天日(てんぴ)干し及び乾燥機を併用して乾燥させたコンブを長さ105センチメートルに切断後、選葉(せんぱ)を行い等級別に選別して1駄20キログラム(乾燥重量)に結束して出荷します。 |
対象魚の情報
標準和名 | ナガコンブ |
---|---|
英名 | tangle、ribon weed、kombu(コンブ全般) |
科目 | コンブ目コンブ科 |
学名 | Laminaria longissima Miyabe |
俗名、地方名 | ナガ、マコンブ |
混獲魚 | ガッガラコンブ、オニコンブ、ネコアシコンブ、トロロコンブ |
道内主産地 | 根室地方の太平洋沿岸及び貝殻島周辺 |
漁業のすがた
道東のこんぶ漁業は、漁業者の着業数や雇用従事者数の多さ、水揚金額から見ても地域産業にとって最も重要な役割を担っている漁業です。
この漁業は、生育途中の柔らかいコンブを採取する棹(さお)前こんぶ漁(6月)と日を浴びて適度な厚みを持ったコンブを採る成こんぶ漁(7月~10月)の2つの漁期に分かれており、天気が良く凪(なぎ)の良い日のみ出漁するため1シーズンで出漁日数は30日前後になるのが一般的です。
漁があった日は、天日(てんぴ)干しされたコンブが干場(かんば)一面に整然と並べら、その風景はまるで大きな黒いじゅうたんを敷詰めた様に見え、町中が一時磯の香りに包まれるほどです。
操業は、1隻に1~3名が乗船し漁期や漁場に合わせて漁具を使い分けて行われており、従事している漁業者は性別を問わず年齢層が多様な点もこの漁業の特徴の一つとなっています。
また、採取したコンブを製品にするには、天日や機械を使って乾燥させた後、長さ105センチメートルに切断し規格別に選別・梱包するなど複数の工程を経る必要があり、時間と手間と体力を要する漁業です。
この漁業は、生育途中の柔らかいコンブを採取する棹(さお)前こんぶ漁(6月)と日を浴びて適度な厚みを持ったコンブを採る成こんぶ漁(7月~10月)の2つの漁期に分かれており、天気が良く凪(なぎ)の良い日のみ出漁するため1シーズンで出漁日数は30日前後になるのが一般的です。
漁があった日は、天日(てんぴ)干しされたコンブが干場(かんば)一面に整然と並べら、その風景はまるで大きな黒いじゅうたんを敷詰めた様に見え、町中が一時磯の香りに包まれるほどです。
操業は、1隻に1~3名が乗船し漁期や漁場に合わせて漁具を使い分けて行われており、従事している漁業者は性別を問わず年齢層が多様な点もこの漁業の特徴の一つとなっています。
また、採取したコンブを製品にするには、天日や機械を使って乾燥させた後、長さ105センチメートルに切断し規格別に選別・梱包するなど複数の工程を経る必要があり、時間と手間と体力を要する漁業です。
増殖と管理
コンブの繁茂と流氷の接岸には、密接な関係があります。
これは、流氷が接岸することでコンブと生育場所で競争関係にある海底の雑海藻が除去され、コンブが生育し易い環境が自然に形成されるからです。
しかし、近年流氷の接岸がなくなったことにより海底には、雑海藻が繁茂し始め、コンブの生育場所が徐々に減少し始めています。
この様な状況を改善するため各地区の漁協や漁業者は、小型・大型機械を使って人為的に雑海藻を駆除する活動を始めており、荒廃した漁場の再生に取り組んでいます。
操業期間中は、各単協で1日の操業時間や1隻あたりの棹数の制限をして資源管理を行っています。
また、近年価格低迷が著しいナガコンブ産地では、管内で協力して品質の向上に向けた取り組みや消費量拡大のため新しい加工方法を開発するなどの魚価対策を講じています。
これは、流氷が接岸することでコンブと生育場所で競争関係にある海底の雑海藻が除去され、コンブが生育し易い環境が自然に形成されるからです。
しかし、近年流氷の接岸がなくなったことにより海底には、雑海藻が繁茂し始め、コンブの生育場所が徐々に減少し始めています。
この様な状況を改善するため各地区の漁協や漁業者は、小型・大型機械を使って人為的に雑海藻を駆除する活動を始めており、荒廃した漁場の再生に取り組んでいます。
操業期間中は、各単協で1日の操業時間や1隻あたりの棹数の制限をして資源管理を行っています。
また、近年価格低迷が著しいナガコンブ産地では、管内で協力して品質の向上に向けた取り組みや消費量拡大のため新しい加工方法を開発するなどの魚価対策を講じています。
写真で見る
漁具

かぎ:棹前漁と成こんぶ漁前半で使用され、浅みに着生している比較的生長の良い(長い)コンブを採る漁具です。

ねじり:成こんぶ漁後半に使用され深みに着生しているコンブを採る漁具です。

まっけ:拾いこんぶ漁の際に使用する漁具です。
漁業・漁獲の流れ

出漁:海上に設定されたスタートラインから合図を受け、こんぶ漁場へ一斉に出漁するところです。

操業1:朝靄の中、かぎを使って操業しているところです。

操業2:コンブをかぎに掛けたとことです。

荷揚げ:採取したコンブを船からトラックにクレーンを使って荷揚げするところです。

乾燥1:荷揚げされた長く絡まったコンブは干場(かんば)に重ならないよう1枚1枚並べられます。

乾燥2:コンブが天日(てんぴ)干しされているところです。

乾燥3:コンブが干場一面に敷詰められた風景です。

切断:天日干しされたコンブを束ねて、切断するところです。
出荷状況

成形・選別:切断されたコンブを等級別に選別しているところです。

検査:検査協会の人がコンブの等級検査をしているところです。

保管:検査を受けたコンブ(1駄20キログラム)が漁協の倉庫に保管されているところです。
協力:釧路総合振興局管内/厚岸漁業協同組合 こんぶ班
取材:釧路地区水産技術普及指導所