水産研究本部

ヒラメ:かれい・ひらめ・ほっけ底建網漁業

ヒラメ

漁業の情報

漁業許可等の区分第二種共同漁業権漁業
主な操業地域道西日本海檜山海域
取材地檜山振興局管内上ノ国町
漁場距岸;500メートル、水深;37~38メートル、底質;砂又は砂礫
漁具手網(垣網)、身網(あそび)、返し(じょうご)、魚捕部(たまり)から作られています。(漁具の形態が眼鏡に似ているため、「めがね網」と称しています。)
漁期4月1日~7月15日、8月16日~12月25日
漁船規模通称起こし船とよばれる4トン級(D70PS)で乗組員は3~4人
出荷形態ヒラメは主に市場の施設に一時蓄養され活魚として出荷、カレイ類やアイナメ等も一部活魚出荷、他は魚箱にきれいに並べて鮮魚出荷される。

対象魚の情報

標準和名ヒラメ、クロガシラガレイ、ソウハチ、マガレイ、ホッケ
英名ヒラメ:Japanese flounder
クロガシラガレイ:cresthead flounder
ソウハチ:pointhead flounder
マガレイ:brown sole、small-mouthed sole
ホッケ:arabesque greenling
科目ヒラメ:カレイ目ヒラメ科
クロガシラガレイ:カレイ目カレイ科
ソウハチ:カレイ目カレイ科
マガレイ:カレイ目カレイ科
ホッケ:カサゴ目アイナメ科
学名ヒラメ:Paralichthys olivaceus (Temminck and Schlegel)
クロガシラガレイ:Pleuronectes schrenki (Schmidt)
ソウハチ:Hippoglossoides pinetorum (Jordan and Starks)
マガレイ:Pleuronectes herzensteini (Jordan and Snyder)
ホッケ:Pleurogrammus azonus Jordan Metz
俗名、地方名ヒラメ:アオッパ(小型魚)、テックイ(大型魚)、テツクイ、ウマ(大型魚)
クロガシラガレイ:クロガシラ、クロガレイ、オキガレイ、アカガシラ
ソウハチ:ソウハチガレイ、ソオハチ、サッパ
マガレイ:オタルガレイ、マコガレイ、キマガレイ
ホッケ:ロウソクボッケ、ハルボッケ、ネボッケ
混獲魚アイナメ、ミズダコ、ソイ類等
道内主産地ヒラメ:日本海、津軽海峡
クロガシラガレイ、ソウハチ、マガレイ、ホッケ:北海道周辺
備考人工種苗ヒラメは無眼側(腹側)に体色異常(黒化;本来、皮膚が白色になるべきところが黒くなることを言い、白と黒のまだら模様になることからパンダヒラメと言われる)が見られるので、これを指標として天然ヒラメと区別します。近年は種苗生産技術が進歩し、上部写真のように胸鰭の陰の小さな黒化しか認められないものが多くなっています。

漁業のすがた

 上ノ国町の「眼鏡型底建網」は約20年前に青森県から導入して使用していた「八の字型底建網」を独自に改良したものです。1隻当たり1~2ヶ統を持ち、網起こしは凪(なぎ)て漁模様が良い時は毎日出漁します。乗組員は3~4人、基本的に日の出とともに出港し、操業時間は3時間程度です。
 

増殖と管理

 平成8年からヒラメ人工種苗放流事業が本格的に始まり、津軽海峡から日本海の各海域に全長8センチメートル以上の種苗が220万尾放流されています。この費用の多くは漁業者自らが負担し、育てられた種苗を自分たちの手でそれぞれの浜に放流しています。
 全長35センチメートル未満の魚の採捕を禁止する体長制限の他に、各地で漁法や漁期の制限等も自主的に行うなど資源管理対策を講じています。また、放流効果を把握するために漁協、町、水産試験場及び水産技術普及指導所等関係機関が市場調査を実施しています。

写真で見る

漁具

模式図:手網(垣網)に沿って身網(あそび)に誘導された魚群は、しだいに奥に入り込み、返し(じょうご)がある魚捕部(たまり)から出られなくなってしまうような形に作られています。(漁具の形態が眼鏡に似ているため、「めがね網」と称しています)。

操業

身網(あそび)の引き揚げ:あそびと呼ばれる身網の中央部分を引き揚げ、大きなフロ-トで固定します。

魚捕部(たまり)の引き揚げ1:魚が溜まっているたまりをたぐり寄せていきます。

魚捕部(たまり)の引き揚げ2:魚が溜まっているたまりをたぐり寄せていきます。

魚の取り込み:ヨッコラショ-!!、本日最初の水揚げです。

船上での選別、収容:網のファスナ-を開け、全長35センチメートル以上のヒラメは選別して船内の水槽へ収容し、写真右下にある測定板を使い35センチメートル未満のものは放流します。

本日の大物ヒラメ:型の良いヒラメに思わず笑顔が!!

出荷

船内の活魚水槽:ヒラメは活魚で扱われます。

市場での選別、出荷:市場で奥さんと漁協職員さんがヒラメを銘柄別(特大6キログラム以上、大1キログラム~6キログラム未満、中0.5キログラム~1キログラム未満、小0.3キログラム~0.5キログラム未満)に選別し、検量後に陸上の活魚水槽に出荷まで収容します。

漁獲物(マガレイ)

混獲物(メガネカスベ)

混獲物(クロソイ)

混獲物(キアンコウ)

市場調査・種苗放流

ヒラメの市場調査:放流効果を把握するために漁協、町、水産試験場及び水産技術普及指導所等関係機関が協力しあって、人工種苗放流魚の混入率や成長を調査しています。

種苗放流:8月中旬から9月中旬にかけて8センチメートル以上に成長したヒラメの人工種苗を漁業者がそれぞれの前浜に放流します。

天然魚と放流魚

天然魚:天然魚の無眼側(体色が白い側)に、黒斑は滅多に見られません。

放流魚1:放流された人工種苗が大きくなり漁獲されたものです。無眼側の一部に黒い斑紋が残っていることが多い。

放流魚2:無眼側に黒い斑紋が大きく残るものもあります。市場では安く取引されますが、天然魚と味は変わりません。

協力:檜山振興局管内/ひやま漁業協同組合 上ノ国支所・熊石支所
上ノ国町
取材:檜山南部地区水産技術普及指導所

最終更新日:2013年03月01日