水産研究本部

北海道を取り囲む海

海域と海流

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北海道の沿岸域

 北海道は、西側を日本海、北側をオホーツク海、南東側を太平洋と3つの海に囲まれており、これらの海は2つの海流の影響を受けています。
1つは、九州の西で黒潮から分かれ、対馬海峡から日本海に入り本州沿岸を北上して北海道の西側を流れる対馬暖流。
もう1つは、千島列島の東側から北海道の東部太平洋海域に南下してくる親潮です。親潮は道東の沖合で南下して黒潮とぶつかりあいます。
また、沿岸に沿う流れは、えりも岬付近で、対馬暖流の一部が津軽海峡を通り太平洋に流れ出た津軽暖流とぶつかります。
従って、太平洋側は海流や海の特徴からいえば、えりも岬を境に東側を道東太平洋海域、西側を道南太平洋海域として分けられます。
そこで北海道の沿岸域を日本海海域、オホーツク海海域、道東太平洋海域、道南太平洋海域の4つに分けて紹介します。

日本海海域

北海道の北端に位置する宗谷岬(稚内市)から津軽海峡の東口に位置する恵山岬(函館市)までの間です。
対馬暖流が沿岸に沿って流れるため、夏季の水温は比較的暖かくなりクロマグロなどの暖海性魚類の回遊もみられます。
冬季は大陸からの季節風が強く海は荒れることが多くなります。昭和20年代後半までのニシンの大豊漁で栄えた、歴史ある地域が多く存在します。 

オホーツク海海域

宗谷岬(稚内市)から根室半島の先端に位置する納沙布(のさっぷ)岬(根室市)までの間です。
冬季は、シベリア大陸沿岸で発生した流氷がオホーツク海を南下し沿岸に接岸します。流氷が接岸している間は漁船を陸揚げしているので、漁業は出来ません。
しかし、春になると水温の上昇により流氷は融けていきます。 流氷から融け出した水は、豊富な栄養を含み、沿岸生物の繁殖に役立っています。
海底が砂礫の海域はホタテガイの好漁場となっており道内の主生産地となっています。
また根室海峡の周辺では、秋サケの漁獲量が最も多い地域です。 

道東太平洋海域

納沙布(のさっぷ)岬(根室市)からえりも岬(えりも町)までの間です。
この地域は、栄養に富んだ親潮が沿岸に沿って流れるため、沿岸資源が豊富で、ナガコンブやガッカラコンブなどが多くコンブの主生産地となっています。
また、沖合は親潮と黒潮がぶつかりあうので、世界でも有数な魚類の漁場が出来ます。
サンマ漁など多獲性魚類の生産量が多い地域です。 

道南太平洋海域

 えりも岬(えりも町)から津軽海峡の東口に位置する恵山岬(函館市)までの間です。
この地域は、対馬暖流が分岐して津軽海峡を通り太平洋に流れ出た津軽暖流と親潮がぶつかりあいます。
夏~秋季は津軽暖流が強く、反対に冬~春季は親潮が強くなるなど、季節によって2つの海流の勢力が入れ替わる複雑な海域です。
噴火湾ではホタテガイ養殖が盛んに行われており、日高沿岸ではミツイシコンブの生産地となっています。
また、津軽海峡から噴火湾の入り口までは、マコンブ養殖が盛んに行われています。

北海道周辺の海流

 北海道周辺海域の海流には、水温が高い対馬暖流(津軽暖流・宗谷暖流はこの分岐)と、水温が低く栄養に富んだ寒流系の親潮があります。
一般に、暖流は夏季に勢力が強くなり、寒流は冬季に勢力が強くなります。また、オホーツク海では東サハリン沖から寒流系の東樺太海流が南下します。

対馬暖流

 対馬暖流は九州の西方で黒潮から分かれて、対馬海峡を通り本州から北海道の西側を北上して、一部は津軽海峡から津軽暖流として太平洋側へ、そして更に北上して宗谷海峡から一部がオホーツク海に流れます。
末流はサハリン南西沿岸にも達します。

津軽暖流

対馬暖流は津軽海峡の西口付近で分岐して半分以上は津軽暖流となって津軽海峡を東方に進み、海峡を抜けてから南下しますが、一部は噴火湾内にも流入します。
潮位差の大きい太平洋の潮汐と潮位差の少ない日本海の潮汐が大きく影響して、一日の中でも時刻により流速は大きく変化します。 

宗谷暖流

 本道西岸を北上する対馬暖流は宗谷海峡から分岐して半分以上は宗谷暖流となって南東下します。
秋から冬には、表層は流氷も運んでくる東樺太海流の軽い水に覆われ、宗谷暖流は重たくなって底層のみを流れるようになります。

親潮

親潮は千島列島の東側から北海道東部の沿岸に沿って南西方へ進み、一部は津軽暖流とぶつかりながら南下します。
また、沖合では黒潮とぶつかり暖水塊が出来ます。冬季~春季は夏季に比べて流れの勢いが強くなり、一部は春先噴火湾内にも流入します。(これを沿岸親潮と言っています。)