水産研究本部

試験研究は今 No.65「「遠赤外線」というのはどんなものですか~」(1991年5月31日)

試験研究は今 No.65「「遠赤外線」というのはどんなものですか?」(1991年5月31日)

Q&A? 「遠赤外線」というのはどんなものですか?

  太陽からくる光を、プリズムというガラスに当てると紫、藍、青、緑、黄、だいだい、赤の色の光に分かれます。同じことが雨上がりの日によく出る虹でもおこっています。

  これは、太陽光線がこれらの色の光が混じり合っていることを示しています。これらの光は、波の性質を持っており、波長の長さによって色が違って見えます。例えば赤色の光は波長年0.64~0.75ミリメートル程度、紫色の光は0.38~0.45ミリメートル程度といった波です。太陽光線には、これらの目に感じる光のほかにも、紫より波長の短い波(紫外線)や、赤より波長の長い波(赤外線)も含まれています。紫外線や、赤外線は人間の目には見えませんが、人間生活に非常に役立っています。

  身近なところでは、紫外線は化学線と呼ばれ、殺菌効果があるので病院の器具殺菌灯として使われています。また、赤外線は熱線とも呼ばれるように物体に当たると吸収され、熱を与えるので暖房器具にも利用されています。

  このような紫外線、可視光線、赤外線などの波を総称して”電磁波”と呼んでいます。
    • ホタテ部位説明
  さて、遠赤外線の説明ですが、赤外線を波長の長さによってさらに区分すると、近赤外、中間赤外、遠赤外となっています。

  遠赤外線とはこの遠赤外領域の範囲の波を指す名称です。

  この遠赤外線は、一般にいう赤外線をさらに細かく区分したものですから、物体に当たると熱を与える作用があります。熱の伝わり方には、放射、対流、伝導の3種類がありますが、赤外線はこの内の放射という方法で熱を伝えます。

  この放射は、対象物と放射源の間に吸収物体がなけれはエネルギーがむだなく対象物に伝わり、省エネになるという利点があります。 

  街で見かける石焼芋も古くからこの遠赤外線を利用したものの一つで、最近、水産関係でも、遠赤外線を利用した加工などが試みられて、注目されるようになっています。 遠赤外線のさわりの部分の紹介をしましたが、まだ疑問があると思いますので次号以下で引続き疑問に答えようと考えています。(中央水産試験場)

ちょっとためになる話

”ヒトデ”を食べる!!?
  ヒトデは、邪魔者とされ、これを駆除するため毎年莫大な費用と人手がかかっています。

  オホーツクのホタテ漁場ではこれを肥料として利用したことがありますが、そのほかの利用法はほとんど無いのが現状です。しかし、ヒトデは表のようにビタミンB12を他の海産物の10倍以上も含んでいるといわれています。だから食べろと言われてもなかなか食べられるものではありませんが、勇気のある人はいるものです。

  5~6年前にも、後志の岩内町水産研修センターで大きなヒトデの卵巣を、電子レンジで調理して食べてみたところ、形はウニにそっくり、ちょっと苦みはあるがウニと変わらないとか。

  日本人は昔からタコやイカなどを食べてきた民族なので、ヒトデもそのうち普通の食品の部類に入るのかも知れません。そのほかにもヒトデには産卵誘発物質を含んでいると言われているので、早くいろいろなヒトデの利用法が開発されることを願っています。
    • オニヒトデ分析結果