サケの稚魚に大切な沿岸域の餌生物
これまでの調査の結果、ちょうどサケ稚魚の放流時期にあたる春季には、ソコミジンコ類(図1)が大変、増加することがわかりました。この種類は、一般に海藻、石、砂粒などと接触を保って生活すると言われています。そして、道北の宗谷沿岸域、道東の釧路沿岸域、遠くはカナダのブリティッシュコロンビア州ナナイモ沿岸域でもサケ稚魚放流期に増加して、稚魚が海に降りて最初に巡り会う重要な餌生物であるという報告があります。そこで、このソコミジンコ類に注目して、過去4年間の2月から4月までの増毛沿岸域における季節消長をみてみます(図2)。
一般に、ソコミジンコ類の消長は変動が激しく、短期間で増減します。1990年を除いて、必ず1回の極大が観察されました。稚魚が放流される3月下旬から4月中旬にかけて、年変動はありますが、1立方メートルあたり約50~100個体のソコミジンコ類が存在していました。4年間の調査を通じて1990年は様子が違っていました。ソコミジンコ類はいつまでたっても増加の兆しはみられず、その個体数は大変少ないものでした。このようなソコミジンコ類の増減は何に左右されるのでしょうか。その一つに水温が考えられ、特にソコミジンコ類が増加する前の冬季の水温の影響が大きいように思われます。1990年1月~2月の水温は、他の3年間が約4~5.5度であったのに対して、それより1~2度高い5~7.5度で推移していました(図3)。水温の高低はソコミジンコ類の増加に何らかの影響を与えていると考えられます。
一般に、ソコミジンコ類の消長は変動が激しく、短期間で増減します。1990年を除いて、必ず1回の極大が観察されました。稚魚が放流される3月下旬から4月中旬にかけて、年変動はありますが、1立方メートルあたり約50~100個体のソコミジンコ類が存在していました。4年間の調査を通じて1990年は様子が違っていました。ソコミジンコ類はいつまでたっても増加の兆しはみられず、その個体数は大変少ないものでした。このようなソコミジンコ類の増減は何に左右されるのでしょうか。その一つに水温が考えられ、特にソコミジンコ類が増加する前の冬季の水温の影響が大きいように思われます。1990年1月~2月の水温は、他の3年間が約4~5.5度であったのに対して、それより1~2度高い5~7.5度で推移していました(図3)。水温の高低はソコミジンコ類の増加に何らかの影響を与えていると考えられます。
(水産孵化場増殖部研究職員 浅見大樹)