水産研究本部

試験研究は今 No.160「この冬の羅臼沖のスケトウダラの漁模様はどうなるでしょう~」(1993年10月8日)

試験研究は今 No.160「この冬の羅臼沖のスケトウダラの漁模様はどうなるでしょう?」(1993年10月8日)

Q&A? この冬の羅臼のスケトウダラの漁模様はどうなるでしょう? -水産試験研究ミニプラザから-

  平成5年8月26日の羅臼町でのミニプラザで出された来漁期(平成5年12月~平成6年3月)のスケトウダラの資源動向に関する質問にお答えします。

来漁期の資源水準は、ほぼ1991年並み。

  結論を先に述べますと来漁期の漁獲量は流氷の状況や漁船の出漁隻数に左右されますが、資源水準は1992年(4月~翌年3月までの年度、以下同じ)と同程度か、わずかに良い程度でしょう。ほぼ1991年並みと思われます。

これまでの資源状況

  漁獲量の経年変化(図-1)をみると1977年にそれまでの最高である1968年の約4万トンを上回ってから、順調に増加して、1989年にピークの約11万トンに達しています。

  1977年は米ソの2大国が200海里漁業専管水域を宣言して、北洋海域でのスケトウダラ漁獲量が減少し、魚価がはね上がった年です。羅臼のスケトウダラの魚価はとくに高くなり、これ以降、漁獲努力量も増加しています。
    • 図1 根室海峡のスケトウダラ漁獲量
  資源水準が高かったこともあって、漁獲努力の増加にともない漁獲量も増えましたが、1990、91年と急激に落ち込み、1992年の漁獲量は2万8,000トンでした。1日1隻当たり漁獲量の経年変化(図-2)をみると、刺網の1日1隻当たり漁獲量は図-1の漁獲量の変化と良く似ており、1989年がピークになっています。一方、はえ縄の1日1隻当たり漁獲量は刺網より5年も早い1984年をピークに下降しています。

  刺網の投網反数は増加しましたが、はえ縄の投網鉢数は、縄さやめや餌付けに手間がかかり、ほとんど増加していません。このため、はえ縄の1日1隻当たり漁獲量の変化のほうが資源水準を反映しているものと考えられます。
    • 図2 刺し網とはえ縄の1日1隻当たりの漁獲量の変化
ということは、根室海峡のスケトウダラ産卵群の資源量は1984年ころがピークで、その後の漁獲量の伸びは、刺網漁船の性能アップや投網反数が増加したことに負うことが大きかったようです。

  資源水準が下降しているときに、漁獲量が伸びるということは獲りすぎと考えられます。その日本側の漁獲に加え、1988年からはロシアのトロール船が向かい側で操業をはじめたものですから、とても資源は持ちません。1990年以降の漁獲量の減少は乱獲と考えられます。あとで分かったことですが、日ロ両国で25万トン以上漁獲した年もあったようです。

  今年の春はロシア漁船の操業も見られなく、漁期末に漁獲の山がきて、獲り残しも期待できることは、来年の春にプラスに効きますが、今年のスケトウダラ漁獲物の体長組成をみると、来年新しく加入してくると考えられる小型のスケトウダラが少なく、これはマイナス要因です。以上を総合して、冒頭の結論になったしだいです。

海は巨(おお)きな銀行。

海は巨大な銀行です。うまく運用して、利息だけで食べてゆけば、いつまでもつぶれません。ロシアが引き出すから、庭曳(び)きが、刺網が、となりの組合が引き出すなら俺もおろさなくてはと、みんなでとりつけさわぎをしているようです。
根室海峡のスケトウダラ資源も日ロ両国で伸良く共同で管理するようにしなければ、回復はむずかしいものと思います。
(釧路水試漁業資源部)