水産研究本部

試験研究は今 No.164「温水養殖センターを訪ねて-伊達市温水養殖センター-」(1993年11月5日)

温水養殖センターを訪ねて -伊達市温水養殖センター-

 今回の浜ウオッチングは、栽培漁業の盛んな噴火湾、その湾奥に位置する伊達市長和にある伊達市温水養殖センターを訪ね、ウニの種苗生産・マツカワの中間育成に取り組んでいる様子を主任の沖崎さんに伺いました。 
主任の沖崎さん
  • センターの特色
  本センターは、北電伊達火力発電所から排水される温排水を利用して魚介類の成長を促進する増養殖技術についての調査研究を行い、地域の沿岸漁業に寄与することを目的に1978年(昭和53年)3月に設立された養殖研究施設です。
  運営は、伊達市、伊達・有珠の両漁協北電伊達発電所で構成する、伊達温水養殖センター運営協議会があたり、事務局は伊達市経済部水産課に置かれています。
ウニ育成槽
  •  施設の概要
  敷地面積は、4,052平方メートル(北電構内)、育成棟(1,092平方メートル)内にウニ採苗槽、ウニ育成槽、コンブ培養室、恒温室等が備えられており、屋外には、ウニ育成槽、魚類育成槽と生海水をろ過するために砂ろ過器(1,200立方メートル/日)が2基設置されています。水槽の規模は、ウニ用FRP製、1.5×0.5×10.0メートル=7.5トン 16本、1.0×0.5×10.0メートル=5トン 21本、1.5×0.5×3.0メートル=2.25トン 7本、1.5×0.75×3.0メートル=3.4トン 12本、魚類用水槽、FRP角型10トン4本、シート製円型12.5トン9本、25トン2本となっています。
  温排水の供給は電力需要の変動により火力発電量の変化が大きく、安定した供給が出来なくなり、現在は北電より加温水(淡水)の供給を受け(1,500リットル/時)熱交換器を通して冬期間のみ、病気の発生、換水率等を勘案し13度に温度調整をしています。従業員は、職員2名と通常は女性のパートの方2名で飼育管理を行っています。
マツカワ飼育槽
  •  事業の内容
  ウニの種苗生産は、中間育成用に向ける5ミリメートルサイズの生産を行っており、本年はウルベラの繁茂も順調で、エゾバフンウニ200万粒、キタムラサキウニは100万粒の沈着が見られているので50万粒の出荷を予定しています。
  噴火湾沿岸のカレイ類の資源は年々減少傾向を示し、なかでもマツカワは高級魚として注目されておりますが幻の魚となりつつありますので、本センターでは一昨年より日栽協厚岸事業場から稚魚(全長39ミリメートル前後)の分譲を受け、ヒラメ稚魚用のドライペレット、イカナゴ等を給餌し中間育成を行っております。本年も同じく厚岸事業場から6月に無選別稚魚を含め5千尾の分譲を受け現在飼育しております。病気の発生や地震による取水施設の破損など大変でしたが、来春には全長22センチメートルサイズまで成長させ標識をつけて伊達沖合に放流します。
  センターではコンブの種苗生産もやっており、これはウニの餌用の種苗が主ですが、漁業者からの依頼があればそれにも応えています。

  沖崎さんは彼個人的な希望としながら、親魚の確保、初期餌料の生産等難しい問題もあるが、道内でも既に種苗生産をしている所もあるので是非クロソイの種苗生産に挑戦したいと意欲を燃やしております。
(函館水試室蘭支場水産業専門技術員)

トピックス

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  10月25日、中央水試でサハリン太平洋漁業海洋研究所(サハリンチンロ)研究者を迎え、冒頭斎藤場長からズヴェリコワ副所長にチンロ新庁舎の開所祝いに時計が手渡された後、熱心な研究交流が行われました。
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