Q&A 試験研究プラザから
稚内水産試験場では平成5年度に、試験研究プラザ連絡会議2回、ミニプラザ4回、離島プラザ2回の計8回、6地区(宗谷支庁管内3地区、留萌支庁管内3地区)でプラザを開催し、225名の参加人員となりました。
テーマは、開催地区で関心の高い、前浜での試験調査や沿岸漁業の資源動向などの内容としました。
また、プラザの開催は漁業の閑散期を利用するなど、多くの漁業関係者が参加できる時期(10月から3月)に実施しました。
会議において質疑応答を行い、多くの質問を受けましたので、今回は「マガレイの生態及びオホーツク海域における資源動向について」をテーマにQ&A方式でご紹介致します。
最初に会議で発表した要旨は次のとおりであり、スライド、OHPを使用して説明を行い、各種カレイの耳石、幼稚期のサンプルを見ていただきました。
テーマは、開催地区で関心の高い、前浜での試験調査や沿岸漁業の資源動向などの内容としました。
また、プラザの開催は漁業の閑散期を利用するなど、多くの漁業関係者が参加できる時期(10月から3月)に実施しました。
会議において質疑応答を行い、多くの質問を受けましたので、今回は「マガレイの生態及びオホーツク海域における資源動向について」をテーマにQ&A方式でご紹介致します。
最初に会議で発表した要旨は次のとおりであり、スライド、OHPを使用して説明を行い、各種カレイの耳石、幼稚期のサンプルを見ていただきました。
要旨
- 北海道で漁獲されるマガレイはいくつかの群に分けられるが、枝幸海域に生息するものはオホーツク海育ち群と呼ばれ、未成魚期をオホーツク海ですごし、成魚になると産卵のため、北部日本海へ回遊する群です。成熟年齢は、雌で3~5歳、雄で2~4歳と雄の方が早熟で、成熟体長も雄のほうが小さい。産卵は5~6月に水深15メートル~75メートルで約1ヶ月かけて行われます。また、卵は球形をした分離浮遊性卵であり、有効産卵数は、体長20センチメートルで約61万個、30センチメートルで約271万個と体長が大きくなるほど抱卵数も多くなります。体長は生後1年ほどは雌雄で差がありませんが、その後は雌の方が成長は良くなります。
- 水産試験場では、漁獲されたマガレイのサンプリングを行い、体長、体重、胃内容物、生殖巣重量、熟度の測定及び耳石の採取を行っております。胃内容物からは食性、熟度から成熟率を調べ、耳石はその輪紋数から年齢を調べております。
- 枝幸海域におけるマガレイの漁獲量は、1980年の1,898トンをピークに激減し、過去5ヶ年は200~500トン程度で推移しています。漁獲物の年齢組成は2、3歳魚が主体となっているが、近年2歳魚の割合が増加しており、若齢化が進んでいるものと考えられます。
- 水産試験場ではオホーツク海と北部日本海(初山別以北)におけるマガレイの漁況予測を行っております。当海域に分布するマガレイの生態は(1)で説明したとおり、未成魚期をオホーツク海で過ごし、成魚となると産卵のために北部日本海へ回遊する群です。このことから、オホーツク海における幼稚魚(1歳魚)の分布調査を毎年、雄武海域に定点を定めて行っています。定点は、過去の調査結果から、主に雄武周辺の海域ですごすと考えられているからです。
オホーツク海では、幼稚魚期(1歳魚)の分布量を把握し、翌年の漁況予測を行っております。つまり、1歳魚の分布量が増えれば翌年の2歳魚の漁獲が増えるということです。また、北部日本海のマガレイの漁獲量はオホーツク海とほぼ類似した変動傾向にあることから、この漁獲量の相関関係と1歳魚の分布量調査の結果をもとに、漁況予測を行ってやります。
質疑応答
Q マガレイには2種類あるのでは。浅いところは黒い面に斑点がある。
A 底質の違いによるものかもしれません。
Q 産地によって昧が違うのは何故か。日高はペチャペチャでうまくない。紋別はうまい。
A 餌料環境の違いによるものと思われます。
Q ホタテ漁場の8割が砂地であり、昔はカレイ漁場であった。資源保護の面を考えれば、ホタテ漁場でかなり保護されているのではないか。実際のところカレイ刺し網をする場所が少なくなった。羅臼などではホタテ漁場にカレイが生息している。
A 今回の調査でかなり小さい個体が採取され、特に秋に多く採取されました。これは、採苗場などでの餌環境が好転していると考えられます。
Q 卵は多量に生むが何パーセント生き残るのか。
A 生残率の調査は実施していないが、雌雄一体から産卵され、減耗しながらも、親魚として雌雄2尾が再生産に残れば資源量は保たれると考えられます。
Q 4歳にならないと産卵しないのか。
A そうではないが、近年漁獲した年齢組成をみると今後の資源維持という観点から懸念される結果がうかがえる。
Q (その他)
将来にわたり、昔のようなニシンの漁獲を確保するためには、韓国漁船の問題、オホーツク海の底曳きの資源管理の問題などがあり、禁漁期、漁獲サイズをどのように設定すべきか。
A 近年では人的要因による漁獲努力の強さが指摘できますが、自然の環境要因が大きいものと推察しています。資源量増大のためには、幼稚魚を保護することは重要ですが、親魚(卵)を確保するという点で漁獲サイズが重要です。資源量調査では尾数を調べていますが、現在、主に漁獲されている2歳魚を5歳で漁獲すれば相当の漁獲量として水揚げされるでしょう。
最後にプラザの開催に当たりましては、実施地区漁業協同組合の多大なる御協力を賜り、また、各指導所のご支援に感謝申し上げます。
A 底質の違いによるものかもしれません。
Q 産地によって昧が違うのは何故か。日高はペチャペチャでうまくない。紋別はうまい。
A 餌料環境の違いによるものと思われます。
Q ホタテ漁場の8割が砂地であり、昔はカレイ漁場であった。資源保護の面を考えれば、ホタテ漁場でかなり保護されているのではないか。実際のところカレイ刺し網をする場所が少なくなった。羅臼などではホタテ漁場にカレイが生息している。
A 今回の調査でかなり小さい個体が採取され、特に秋に多く採取されました。これは、採苗場などでの餌環境が好転していると考えられます。
Q 卵は多量に生むが何パーセント生き残るのか。
A 生残率の調査は実施していないが、雌雄一体から産卵され、減耗しながらも、親魚として雌雄2尾が再生産に残れば資源量は保たれると考えられます。
Q 4歳にならないと産卵しないのか。
A そうではないが、近年漁獲した年齢組成をみると今後の資源維持という観点から懸念される結果がうかがえる。
Q (その他)
将来にわたり、昔のようなニシンの漁獲を確保するためには、韓国漁船の問題、オホーツク海の底曳きの資源管理の問題などがあり、禁漁期、漁獲サイズをどのように設定すべきか。
A 近年では人的要因による漁獲努力の強さが指摘できますが、自然の環境要因が大きいものと推察しています。資源量増大のためには、幼稚魚を保護することは重要ですが、親魚(卵)を確保するという点で漁獲サイズが重要です。資源量調査では尾数を調べていますが、現在、主に漁獲されている2歳魚を5歳で漁獲すれば相当の漁獲量として水揚げされるでしょう。
最後にプラザの開催に当たりましては、実施地区漁業協同組合の多大なる御協力を賜り、また、各指導所のご支援に感謝申し上げます。
(稚内水試企画総務部)