水産研究本部

試験研究は今 No.200「平成6年生まれホタテガイ稚貝付着数について」(1994年9月9日)

平成6年生まれホタテガイ稚貝付着数について

  ホタテガイ増養殖にとって採苗の成否は最も重要ですが、全道各地の採苗器への稚貝付着状況について各地区水産技術普及指導所を通じ調査しており、8月20日までに報告あった分についてお知らせ致します。
  平成5年は58組合で採苗が行われましたが、平成6年生まれの状況はこれまで43組合分の報告がありました。

1.付着状況

  本年の稚貝付着状況は、付着数を例年と比較すると日本海南部が並?良、津軽海峡は良、渡島太平洋は良、噴火湾は良、日高太平洋は並~良、根室も良、オホーツク南部が並、オホーツク北部が並~良、日本海北部が並~良となっており全道的に良好な状況です。

  組合別では、記載のあった31漁協のうち、良が16漁協(52パーセント)、並が14漁協(45パーセント)、不良が1漁協(3パーセント)でした。図-1に地区別の採苗器1袋当り(棒鋼を用いているところは網地100g当り)の付着数を示しました。日本海南部が181?2,753個体、津軽海峡は2,150個体、渡島太平洋は151,222~956,650個体、噴火湾は66,500~488,107個体、日高太平洋は800~8,448個体、根室は1,970~5,460個体、オホーツク南部は2,107~5,352個体、オホーツク北部は1,466~3,529個体、日本海北部が876~4,210個体です。渡島太平洋及び噴火湾は2年続きの不良から一転、途中経過では100万個体以上、最終的に数十万個体の付着が見られました。本年は最高水準の付着量であり異常続きではと心配する声もあるようです。昨年、ヒトデの付着により不良であった日本海では、浮遊幼生の出現が遅れたりヒトデの中期幼生(ビビンテリア)が見られたと言うことで心配していましたが仮採苗のより付着数は確保できた模様です。
    • 図1

2.採苗器垂下時期

  日本海南部・日本海北部・オホーツク北部・オホーツク南部にかけて5月20日頃より一斉に垂下されました。根室は6月中旬でした。津軽海峡は4月下旬、渡島太平洋・噴火湾は5月下旬、日高太平洋は6月上旬でした。咋年に比べ、日本海・オホーツクともに1~2週間遅れ、渡島太平洋・噴火湾は2週間程度早く、日高太平洋は20日程度早めの垂下でした。

3.ヒトデ及びカニの付着状況

  ヒトデの付着状況は、日本海南部で最高1採苗器当り4.0個体、日本海北部で11.5個体、オホーツク北部で1.0個体、オホーツク南部で1.5個体、根室で5.0個体、津軽海峡で2.5個体、噴火湾では棒網100グラム当り、1,463個体と多量の付着が見られています。クリガニは、渡島大平洋で1採苗器当り16.7個体、津軽海峡・噴火湾・オホーツク北部でも5個体以下の付着が見られています。
(網走水試水産業専門技術員)