水産研究本部

試験研究は今 No.166「平成4年生まれのホタテガイ種苗生産とその利用状況について」(1993年11月19日)

平成4年生まれのホタテガイ種苗生産とその利用状況について

  全道の種苗生産の状況や利用状況について7月に各水産技術普及指導所を通じて調査した結果をとりまとめたので、お知らせします。

  全道で増養殖を行っているのは70組合・5団体で、そのうち採苗は58組合で行い、全量を購入稚貝に頼っているのは12組合・5団体でした。6組合は採苗した稚貝を全て販売しています。噴火湾の採苗不振から採苗器での売買が増加し、中間育成して種苗に仕立てられました。また、地まき地帯は年内短期間の中間育成種苗(当年貝)、放流時の種苗(越冬貝)で売買されています。

1.付着数

  付着数は、1採苗器当たり数十から数千個で、津軽海峡・渡島噴火湾が特に少ない状況でした。組合別に、そこの例年付着数と比較すると、全道で良が28組合(49パーセント)、並13組合(23パーセント)、不良16組合(28パーセント)でした。(図-1)
    • 図1 平成4年生まれホタテガイ稚貝付着数の例年との比較

2.中間育成

中間育成は64組合で、生残率は58~100パーセントでした。56組合が80パーセント以上ですが、他地区から採苗器で購入した種苗に低い状況がありました。

3.種苗生産

図2 支庁別種苗生産数
  全道の種苗生産数は42.9億個で、前年より1.0億個増加しました。その内訳は、地元産種苗が30.4億個、他地区の採取稚貝(採苗器等)を購入して育てた種苗が12.5億個でこの種苗が大幅に増加しました。

  種苗生産数を支庁別にみると、網走が14.1億個・渡島10.2億個・留萌8.1億個・胆振5.1億個と続きます。これら4支庁で全体の88パーセント(前年同じ)を生産しています。
(図-2)

4.種苗の利用(仕向)状況

図3 種苗の利用割合
  生産地の42.9億個の種苗の仕向内訳は、増殖用に14.2億個(33.2パーセント)養殖用に13.6億個(31.7パーセント)が使用され、15.1億個(35.1パーセント)は出荷販売用に向けられました。前年に比べると増殖用は0.2億個増加、養殖用は0.8億個増加、販売用は同じてした。養殖用種苗の確保に努力されました。
 
  また、販売先では、ほぼ全量が増殖用に向けられています。
(図-3)

5.種苗の売買

図4 種苗の売買
  販売数は15.1億個で、内訳は越冬貝が13.0億個、当年貝が2.1億個でした。支庁別では、留萌の7.4億個を最高に、胆振2.9億個・網走2.4億個販売しています。

  購入先を支庁列に見ると、宗谷7.2億個・網走3.3億個・根室3.2億個となっています。昨年に比較して、留萌の販売数と宗谷の購入数が増加し、胆振の販売数と根室の購入数が減少しています。
(図-4)

6.まとめ

  採苗が不振だったにも係わらず種苗生産数は増加し、養殖・地まき数とも増加しました。採苗器での売買による種苗づくりが盛んに行われました。しかし、道外からの移入種苗は中間育成の段階で変形などの問題点が多くでました。
(網走水産試験場水産業専門技術員)