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稚内水産試験場

ホッケ漁場別漁獲量調査

結果報告会の様子
結果報告会の様子(2002年2月4日)
この調査は、漁業者による操業日誌を基に、沓形地区の刺し網によるホッケの操業実態を記録・整理しようとものです。
利尻島・礼文島地区では、ホッケは極めて重要な水産資源です。両地区でのホッケの年間漁獲量は、地域内の漁業生産物重量の3割を占めることもあります。
利礼におけるホッケ漁業のように地域産業的に重要な漁業の場合であっても、それぞれの漁業者が現場で得た情報・知識は、沿岸漁業が基本的に個人経営である特質から、公表・共有される機会がきわめて少ないのが現状です。そのため、資源管理や魚価の調整など何らかのコントールが必要になった場合でも、具体的かつ統制のとれた行動をとりにくい現実がありました。
そこで、ホッケ漁業者が自身の操業実態を共通の様式に記録し、その情報を漁業者間、あるいは漁業者と我々支援機関との間で共有することで、ホッケに関してよりまとまった情報・知識を共に得ようとするのが、この調査の目的です。 

・具体的な方法
次の流れにより調査を実施しています。
  1. 利用(操業)する海域を複数に分割し、それぞれ番号をつけた漁場とする。
  2. 漁業者は、1日ごとの銘柄別の漁獲量、利用した漁場、使用した漁具の規模(反数)を、日誌につける
  3. 指導所・水産試験場は、一定期間ごとに日誌を回収し、集計して結果をまとめる。
  4. 漁期終了後に報告会を開き、結果を報告するとともに、漁業や資源状態、今後の漁業や調査の進め方について議論する。
平成14年秋までに、1期の予備調査、2年4期の本調査を実施しました。それぞれの結果については、以下のリンクからご覧ください。

平成12年秋漁(予備調査)結果

 平成12年10月上旬から11月下旬にかけて、利尻町沓形漁協の小坂さんの協力を得て、予備調査を試みました。
利尻島西側沿岸と仙法志堆周辺の海を計13個のエリア(漁場)に区切り、それぞれの漁場での刺し網によるホッケの漁獲量を銘柄別に報告してもらいました。
予備調査ということで調べた期間が短かったのと、小坂さんお一人だけに協力いただいたので、実際にホッケをとったエリアはそのうち4つだけでしたが、その中でもとれたホッケの量や大きさ、効率に違いがみられる貴重な結果得ることができました。
この結果は、平成13年1月に小坂さんを始め、沓形漁協のホッケ漁業者の皆さんに報告されました。
設定した13の漁場のうち、期間中実際に網が設置されたのは、5,6,8,9の4つの漁場でした。
これらのうち、8番の漁場では最もたくさん網がかけられ、ホッケもたくさん獲れました。 かけられた網は少なかったものの、9番の漁場では他の漁場と比べて大型のホッケがわずかに多く獲れました。 
    • エリア区分
調査は10月3日から漁が終了する11月4日までの約1カ月間実施しましたが、中でも10月下旬から11月初旬(終漁)までの約半月間に多くホッケが漁獲されています。
    • 調査期間と漁獲量
 漁獲量、漁獲努力漁(ここでは延べ反数を指します)とも、8番の漁場が大きな数値を示しました。 また、9番漁場よりは少ないものの、獲れたホッケが比較的大型(銘柄「中」以上の割合が大きかった)だったこともあり、8番の漁場は4つの漁場の中では、最も効率よく漁ができた漁場と考えられます。
逆に、漁獲努力量が多かった割に漁獲量が少なかった6番の漁場は、あまり効率がよくなかったといえます。
    • 漁獲量と漁獲努力量

平成13年春漁結果

平成12年秋に実施した予備調査により、本格実施のめどが立ったので、平成13年春漁より、本調査の実施に踏み切りました。
今回から、通年利用可能なように漁場を再設定し、沓形漁協所属の全ホッケ刺し網漁業者に協力を仰ぎました。
この結果は、平成14年2月に、秋漁の結果とともに、沓形漁協のホッケ漁業者の皆さんに報告されました。

漁場は、33に拡大し、それに伴い、番号割りも変更しました。
このうち、漁期中に実際に網が設置されたのは、22、23、32、33、51、57、58番の7つの漁場でした。
これらのうち、33番の漁場では最もたくさんのホッケが獲れました。
32番の漁場では、大型のホッケが最も多く獲れました。
    • 漁場図
春漁の期間は5月17日~7月4日でしたが、実際の出漁日数は、33日間でした。
6月上旬~下旬の約1月間に、多くホッケが漁獲されました。
    • 漁業期間と漁獲量
漁獲量が多かったのは33番でしたが、漁獲努力量(延べ反数)が最も多かったのは、22番でした。
また、単位努力量あたりの漁獲量(CPUE:ここでは60反あたりの漁獲量)が最も多かったのは、51番でした。
大型魚の割合(ここでは「中小」以上の割合)が最も多かったのは、32番でした。
    • 漁獲量と漁獲努力量

平成13年秋漁結果

漁期中に実際に網が設置されたのは、12、13、21、22、23番の5つの漁場でした。
これらのうち、12番の漁場では最もたくさんのホッケが獲れました。
13番の漁場では、大型のホッケが最も多く獲れました。
    • 漁場図
秋漁の期間は9月25日~10月19日でしたが、実際の出漁日数は、17日間でした。
10月上旬に漁獲がまとまっており、盛期はわずか10日間ほどでした。
    • 期間と漁獲量
漁獲量と漁獲努力漁(延べ反数)が最も多かったのは、12番でした。
また、単位努力量あたりの漁獲量(CPUE:ここでは60反あたりの漁獲量)と、大型魚の割合が最も多かったのは、13番でした。
    • 漁獲量と漁獲努力量

平成14年春漁結果

【概要】
参加漁業者数は、2名でした。
漁期中に実際に操業があったのは、22、24、33、52、53、54、および58番の7つの漁場でした。このうち、24、53、54の3漁場は昨年に操業実績がなかった漁場です。
これらのうち、昨年(平成13年)同時期と同じく、33番の漁場で最もたくさんのホッケが獲れました。
しかし、獲れたホッケの魚体が最も大きかった(銘柄「中小」以上の割合が最も多かった)漁場は、昨年の32番と異なり、52番でした。
    • 概略図
      図 操業概略図
【日別集計】
春漁の期間は4月29日~6月16日でしたが、実際の出漁日数は、36日間でした。
5月下旬以降に漁獲がまとまっていました。
    • 日別漁獲量
      図 日別漁獲量および日別設置単数の推移
【漁場別集計】
漁獲量と漁獲努力漁(延べ設置反数)が最も多かったのは、昨年の22番より南側の33番でした。
また、単位努力量あたりの漁獲量(CPUE:ここでは60反あたりの漁獲量)が最も多かった漁場は、昨年の51番と異なり、22番でした。


    • のべ漁獲量,のべ反数

平成14年秋漁結果

 【概要】
参加漁業者数は、2名でした。
漁期中に実際に操業があったのは、21、22、および33番の3漁場のみでした。このうち、33番は昨年に操業実績がなかった漁場です。
これらのうち、33番の漁場で最もたくさんのホッケが獲れました。昨年、述べ漁獲量が最大だった漁場が北側の12番だったことを考えると、対照的です。
獲れたホッケの魚体が最も大きかった(銘柄「中」以上の割合が最も多かった)漁場は、昨年の13番と異なり、21番でした。
(13番は今回操業がありませんでした。)
    • 概略図
      図 操業概略図
【日別集計】
秋漁の期間は10月6日~10月21日でしたが、実際の出漁日数は、11日間でした。
10月中旬以降に漁獲がまとまっていました。 
    • 日別漁獲量と日別反数
      図 日別漁獲量および日別設置単数の推移
【漁場別集計】
延べ漁獲量と漁獲努力漁(延べ設置反数)が最も多かったのは、春漁に引き続き、33番でした。
また、単位努力量あたりの漁獲量(CPUE:ここでは60反あたりの漁獲量)が最も多かった漁場も、昨年の13番とは異なり、春漁に引き続き22番でした。
    • のべ漁獲量,のべ反数
      図 有漁漁場別の延べ漁獲量,延べ設置単数,「中」以上の割合,60反あたりの漁獲量

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調査研究部 管理増殖グループ

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最終更新日:2013年03月01日