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稚内水産試験場

鰭脚類(アシカ科)

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アシカ科

キタオットセイ

学名:Callorhinus ursinus (Linnaeus, 1758)
英名:Northern Fur seal 
    • チュレニー島
      1992年チュレニー島にて/和田撮影

      中央手前の大きな個体が雄/後ろの中位のが雌/黒くて小さいのが子供

  • 冬から春にかけて数百から数千頭が三陸沖に来遊し、そのほとんどが雌や6齢未満の若齢雄です。このうち妊娠雌は最も南の銚子沖まで、若い雄や雌はその北側まで(銚子沖から三陸沖)南下します。この来遊個体群の主な繁殖場は、南東ベーリング海のプリビロフ諸島、北西部北太平洋カムチャツカ東方沖のコマンダー諸島、そしてサハリン沖のチュレニー島である。三陸沖の個体群は、チュレニー島起源の個体群が 60%以上、コマンダー諸島起源が 30%、プリビロフ諸島起源が 10%を占めている。総個体数は約 130 万頭と推定されています。

  • ロシア・アメリカの繁殖場や海上(例えば三陸沖)において、古くから大規模に捕獲されていたこともあり、個体数・出生数・食性・回遊・分布等、海獣類の中では比較的よくモニタリングされています。

  • 1984年まで国際条約(日本・アメリカ・カナダ・ロシアの4カ国が加盟)によって保護され、その後各国の国内法によって保護されています。定置網、刺し網、巻き網など漁業活動による混獲、繁殖地での当歳仔の大量密猟および繁殖行動の撹乱等が古くから個体群への影響としてあげられています。しかし近年、ロシア海域での子供の密猟や不正な漁業活動が問題となっています。保全のためにはロシア・日本周辺海域における繁殖場沖合および採餌海域での全ての魚種の漁業活動の制限や必要十分な餌資源の確保が必要とされています。

トド

学名:Eumetopias jubatus(Schreber, 1776)
英名:Steller Sea Lion
    • チュレニー島2
      1992年チュレニー島にて/和田撮影
左側茶色の個体がトド 右側がオットセイ/中央やや右寄りがトドの雄/2まわりくらい小さいのが雌/中央下よりにいるのがトドの子供 
  • 11-5月の秋から春にかけて北海道沿岸に来遊します。冬期、北海道沿岸の日本海側が利尻・礼文島海域から雄冬、積丹半島周辺、檜山海域まで、オホーツク海域が猿仏沿岸、太平洋海域が根室海峡が多く、襟裳岬周辺や噴火湾に来遊します。日本ではかつて1925年まで礼文島北岸の種島で繁殖していたことが確認されています。現在では北海道沿岸での繁殖場はなく、日本に来遊する個体群の繁殖場はサハリンのモネロンとチュレニー島、イオニー島やイムスキー島、千島列島が主体と考えられます。
  • 国内では1970年代後半から 80年代半ばにかけ、回遊・食性・形態および漁業被害についての生態学的調査が行われました。最近10年間に北海道沿岸では有害獣駆除により年間 100- 300頭が捕獲されているが、来遊個体の正確な総数は分かっていません。
  • 本種の生息範囲は千島列島からカリフォルニアの南までと、北太平洋の辺縁に沿って広く分布します。Loughlin et al. (1992)によれば、トドは北半球に1960年代に約20万頭生息していたが、’90年代までの30年間で40-50%の減少が確認されています。また、北海道に関連の深いロシア周辺海域に生息する個体群は同期間に74%の減少が確認されています。このため、アメリカでは個体数減少の著しいアリューシャン列島からアラスカ湾にかけて生息するトド個体群を絶滅危惧種に指定しその保護策を進めている。また、ロシアにおいてもトド個体群を絶滅危惧種として指定し、繁殖場周辺の船舶の航行等を規制するなどしています。日本では水産庁が希少種、環境庁が絶滅危惧II類(旧基準で危急種)、哺乳類学会が危急種に指定しています。ただし、松田ら(1998)はIUCNの基準に従うと、日本におけるトドは絶滅危惧種に当たると指摘しています。
  • 生息海域は沿岸よりであり、漁業活動との摩擦が起きやすい。そのため人間による撹乱を受け、餌不足に陥りやすくさらに漁業被害対策として駆除されてきました。来遊したトドが定置網を破るなどの漁業被害が多発し、被害額は平成6年度が約5億700万円でした(北海道庁の調べ)。毎年の有害獣駆除にもかかわらず、漁業被害額に大きな年変化は見られないようです。 

ニホンアシカ

学名:Zalophus californianus japonicus(Peters, 1866)
英名:Japanese Sea Lion
  • 竹島では1972 年まで繁殖し、1975 年まで目撃されていますが、その後の状況は不明です。かつての分布地点43ヵ所と繁殖地点5ヵ所が確認されています。そのうち最近50年以内(1949-1975)では、生息の確認が8ヵ所(13例以上)と繁殖の確認が2ヵ所です。最近50年以内の生息確認がかなりあるので絶滅とはみなせず、絶滅危惧種として指定されています。
  • 生存個体、または個体群発見の可能性のある海域は、アリューシャン列島西部、千島列島周辺、サハリン周辺、北海道北部海域、久六島、佐渡島、能登半島、隠岐、竹島、欝陵島、朝鮮半島東岸から沿海州にかけての海域、伊豆諸島です。

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