シナノキ・オオバボダイジュ
道産木材データベース
シナノキ・オオバボダイジュ
名称 和名:シナノキ 別名:シナ,アカジナ アイヌ語名:ニペシニ ni-pes-ni (ニペシ(木からもぎとった裂皮: 縄の材料)がとれる木)など 漢字表記:科の木,「木へん」に「品」の字をつけた文字を「しな」 あるいは「しなのき」と読むことも 英名:Japanese lime tree 学名 Tilia japonica Simonkai 分類 シナノキ科シナノキ属 分布 北海道,本州,四国,九州,中国 名称 和名:オオバボダイジュ 別名:アオジナ アイヌ語名:ヤイニペシニ yay-ni-pes-ni (ただのニペシがとれる木:シナ ノキと同じ繊維がとれるが質が劣るので限定詞が付いた) 漢字表記:大葉菩提樹(釈迦がその下で悟を開いたというクワ科の菩提樹と は類縁関係はないが,シューベルトの菩提樹は同属) 学名 Tilia jmaximowicziana Shirasawa 分類 シナノキ科シナノキ属 分布 北海道,本州中部以北 |
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生態・形態
山地に生える落葉樹。高さ20m,太さ1mに達する。
葉は互生し心円形で先は尾状にとがり鋭鋸歯縁,基部心形。シナノキは無毛,オオバボダイジュは裏面に星状毛を密生し白く見えるが,毛が少なく緑色のものを変種モイワボダイジュ(var. yesoana(Nakai) Tatewaki)という。子葉は本葉とまったく形が異なり掌状に深裂する。樹皮は,シナノキは暗灰色で縦裂し,成木では鱗状に剥がれてくるが,オオバボダイジュは紫灰色,平滑で後に縦に浅い割れ目ができる。果実はプロペラ状の総包葉が合着した花序と共に風に乗って落ちる。
2種合わせると広葉樹の中では北海道で3番目に蓄積が多く,総蓄積の5%,広葉樹の11%を占める。
木材の性質
散孔材。均質で緻密,軽軟で加工しやすい。一般に辺材幅は広く,辺心材の境界はやや不明瞭。辺材は淡黄白色,心材は淡黄褐色であるがオオバボダイジュはより白い。年輪は不明瞭。板目であまり顕著でないリップルマーク(波状の縞模様)が見られる。
木材の性質それぞれの意味については,「トドマツ」の項で説明しています。
主な用途
種に用途の違いはなく器具材,割り箸,経木,加工しやすさから彫刻材としての利用がある。合板・ランバーコアの表面材としての使用が多く,シナ合板の名がある。靭皮(じんぴ)繊維が強く耐水性があるため,かつては縄,畳糸,粗布(シナ布)などを作った。養蜂の蜜源となる。
林産試験場によるシナ類を利用した研究成果品
引用(木材の性質に関する数値等)
・日本の木材:(社)日本木材加工技術協会 1989参考
・原色日本植物図鑑 木本編【II】:北村四郎・村田源 保育社 1979・図説樹木学-落葉広葉樹編-:矢頭献一・岩田利治 朝倉書店 1966
・資源植物事典(増補改訂版):柴田桂太編 北隆館 1957
・平成19年度北海道林業統計:北海道水産林務部 2008
・知里真志保著作集 別巻? 分類アイヌ語辞典 植物編・動物編:知里真志保 平凡社 1976