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林業試験場

森とみどりのQ&A(環境保全・保健休養)

 

環境保全/保健休養

Q1.キャンプ施設における適正なトイレ数とテントサイト面積の算出法は?

A1.(1)トイレ数の算出法は以下の通りです。

 

トイレ数 = 最大時滞留客数 × トイレ利用率 × 単位規模
また
最大時滞留客数=年間滞留客数 × 最大日率 × 回転率 × キャンプ施設利用率
年間滞留客数:キャンプ施設の過去5年間の利用者統計から将来の利用者数を推定する。
最大日率:年間利用者数に対して、利用者が最も多いある一日の利用者数を比率で表したもの
回転率:利用者の平均滞在時間を基に以下の表の数値を用いる。


 

平均滞在時間回転率平均滞在時間回転率
10分
20分
30分
40分
50分
1時間
1時間30分
2時間
1/11.5
1/7
1/8
1/4.5
1/4 
1/3.5
1/2.8
1/2.4
1/42時間30分 
3時間
3時間 30分
4時間
4時間30分
5時間
5時間30分
6時間
1/2.1
1/1.9
1/1.75
1/1.65
1/2
1/1.55
1/1.5
1/1.45
1/1.4
1/1.5


 

キャンプ施設利用率:その施設の全利用者のうち、キャンプ施設を利用する人の比率利用実態で
明確になっている場合にはその値を用い、その他の場合は、以下の表の値を
用います。


 

利  用  の  状  況算定に用いる数値
施設利用者の75%以上がキャンプ場を利用する場合
施設利用者の25~75%がキャンプ場を利用する場合
施設利用者の25%以下がキャンプ場を利用する場合
0.8
0.5
0.2


 

トイレ利用率:キャンプ施設全利用者数のうちトイレを利用した者の比率
単位規模:トイレ1穴当たりの面積

 

(2)テントサイト面積の算出法は以下の通りです。
    テントサイト収容力=施設年間利用者数×キャンプ滞在者比×キャンプ場最大日率
    テントサイト所用面積=収容力×一人あたり所用面積

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Q2.障がいを持つ人たちの森林利用へのニーズは?

A2.障がいを持つ人たちの施設へのアンケート調査からお答えします。
 まず、アンケート調査の概要は以下のとおりでした。
 道内の障がい者施設(411箇所)に調査票を送り、192の施設から回答を頂きました。また、回答を寄せて頂いた施設の利用者方々の障がいでは、知的な障がいが最多でした。複数の障がいをもつ人がいるとする回答も約30%みられました。


 

森林の利用状況は、多くの障がい者施設が森林を利用しています。
 森林での活動は全体の約76%が実施しており、内容としては、遠足などの施設行事と散歩などの日常的な活動があります。また、森林で過ごすことによる効用については、開放的雰囲気の中で楽しい時間を過ごす、体力づくり、情緒の安定といった回答が多い結果でした。


 

障がいを持つ人たちの森林利用促進に必要な事柄としては、トイレや路面状態、段差の解消といったハード面と共に、森林体験のためのプログラムやボランティアの設置といったソフト面であり、それらの充実が求められています。
 森林公園への配慮事項では、トイレの数、段差、散策路の路面状態、公園の情報、散策路の傾斜に関する回答が多い結果でした。森林利用の支援には、施設のバリアフリー化と共に、森林体験のためのプログラムやボランティア設置など、ハード・ソフト両面からの支援が必要です。

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Q3.「心理的な景観」、「生態的な景観」とはどういうことでしょうか?

A3.森林に関して「景観」という言葉の意味を考えた時,「心理的な景観」と「生態的な景観」の二つの意味体系が引き出されます。


○「心理的な景観」
 「美」「快適性」「楽しさ」「人の視覚・心理」「社会の文化性」などと結びつく「景観」で,「風致」「風景」とも呼ばれます。
 心理的な景観は,我々が認識する風景のことであり,その理解や評価には人々の心が介在します。
○「生態的な景観」
 生態学,地理学に関わる「空間の記述のしかた」としての「景観」で,「生態系の空間的な分布に由来する現象」を意味します。
 近年,生態系を扱う手法として注目されている「景観生態学」(ランドスケープ・エコロジー)での景観の位置づけはこちらに相当します。

 これらは,一つが人々の心から,もう一つは生態学・地理学的な観点から景観を論じていくものです。従って景観についての評価や検討を行う場合には,両者の違いを把握し,意識的にこれら二つの景観を意味的に使い分けて考えることが重要です。
 また,一つの具体的な場所で景観に関する計画策定などに取り組む場合,これら二つの景観には当然のことながら接点が生まれてくることになり,両者が協働しながら問題解決を進めていくことも大切です。

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Q4.景観構成要素としての森林の特徴とはどういうものでしょうか?

A4.森林景観を考える場合には,森林自体の良否のほか,森林を眺める場所,森林と一緒に見える構造物などとの関係性を考えることが大切です。
Q3の定義を踏まえ,景観構成要素としての森林の特徴について述べます。
 森林は樹木の集合体ですが,他の構造物のように特定の形や大きさを持ちません。
このことは,森林は景観の中においてデザインの自由度が高い一方,存在感がうすく,構造物のような「意識して見られる特定の存在(「図」)」に対し「背景(「地」)」を構成する役割になりやすいことを意味します(図-2)。

図-2
図-2 「地」と「図」の関係(堀1997を改変)
森林は形を持たず、「地」になって,「図」の魅力を高めることが多い

また,景観には,ある場所から眺める場合,特定の物を周囲と切り離して見ることはできず,視界にある全ての物から得られるトータルな印象に,個々の物の印象が取り込まれてしまうという特徴があり,これは「視対象の統合性」と呼ばれています。
 例えば,街の建物一つ一つのはきれいでも,お互いに調和がなく,雑然として印象が良くないといったことも「視対象の統合性」によっています。
 同様に,森林景観の印象も,それは森林によってだけではなく,形や大きさを持つ他の構造物の印象に影響を受けることになります。ですから,森林景観を考える場合には,森林自体の良否もさることながら,森林を眺める視点の場所や状態,森林と一緒に見える構造物の有無,「森林が乱されている。」と感じさせるようなものと一緒になっていないか,意味的に良好なものと一緒になっているか,といった関係性を考えることがとても大切です。

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