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森とみどりのQ&A(造林・育苗)

森とみどりのQ&A(造林・育苗)
造林/育苗
Q1.山からドングリを拾ってきました。畑で苗木を育てて山に植えたいのですが、いつ頃播けば良いでしょうか?
A1.ミズナラの堅果(ドングリ)は、取り扱いを誤ると乾燥して発芽能力を失ったり、逆に室内や冷蔵庫の中で簡単に発芽してしまったりするので、秋に採種・精選した後、すぐに畑にまきつけるのが最良です。
 苗畑の準備が間に合わなかったり、播種時期を逸したような場合には、翌春の播種時期まで堅果を貯蔵しておく必要があります。貯蔵方法については別項(Q2)を参照してください。

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Q2.ミズナラの堅果(ドングリ)の貯蔵方法を教えてください
A2.ミズナラの堅果を貯蔵するためのポイントは次の4点です。
1. 貯蔵中の乾燥の防止(含水率40%を下回ると発芽率が極端に低下します。)
2. 過度の低温の防止(-3℃より低い温度は危険と考えられます。)
3. 発芽の抑制(ミズナラの幼根の伸長量は2℃以下ではかなり抑制されます。)
4. 大きく良質な堅果の使用(貯蔵中の養分の消耗,虫害による発芽阻害を避けるためです。)
 最も簡便な貯蔵方法は土中貯蔵です。良好な条件で貯蔵できれば70%以上の高い発芽率を翌春まで維持できます。土中貯蔵の方法や留意点はつぎのような点です。
1. 精選の終わった堅果を網製の袋に入れ、ビニールシートで包んで地中に埋める。
2. 埋める場所は、雨水や雪解け水の貯まらない排水良好地で、直射日光や放射冷却による温度変化の少ない場所が望ましい。緩傾斜の林内などはこれらの条件を満たす好適地であろう。
3. 埋める位置は深さ10~30cm程度がよい。浅すぎると、寡雪寒冷地では低温による死亡やネズミ類による食害の危険がある。

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Q3.イヌエンジュの発芽促進法について知りたい。
A3.まず種子は乾燥しすぎると、種皮が硬くなり吸水が困難となり発芽しなくなるので、貯蔵するには乾燥させすぎないように保湿低温貯蔵する必要があります。
発芽を促進するためには、化学的(硫酸)、物理的(熱湯)あるいは機械的(種皮に傷をつける)処理を行い、種子が吸水しやすくする必要があります。一般的には、濃硫酸に1時間浸漬後、よく水洗いしてから播種する方法が推奨されています。また、7~8日間浸水する方法もあります。
 適切な発芽促進処理が行われた場合には、播種年(とりまきの場合は翌春)に50%以上の発芽率が見込めるでしょう。発芽促進処理が不十分な場合は、発芽が2年に渡る場合もあります。
(参考文献:森徳典・著「北方落葉広葉樹のタネ」(北方林業会)、斉藤晶「緑化樹木の養成法」(光珠内季報50号))

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Q4.キハダの果実を採取して精選したが、播種方法を知りたい。
A4.果実は採集後、果肉を水洗除去します。とりまきの場合は、そのまま秋にまきます。春播きの場合には、種子は乾燥すると内発性の胚休眠に入り発芽が困難となるため、貯蔵は鋸屑か砂に種子を混ぜビニール袋等に入れて密封し冷蔵貯蔵(保湿冷蔵)することが望ましいでしょう。また、乾燥した種子は4~8週間の低温湿層処理(湿った砂などの中に入れ冷蔵で貯蔵)を施すことにより、発芽促進させることが出来ます。
 覆土は種子を乾燥にさらさないために、若干厚めにするほうが良いでしょう。播種密度は、1~2回の間引きにより最終苗木本数を1平方メートルあたり100~200本とするような播種密度とした方が良いでしょう。その後、2年生床替え苗木は1平方メートルあたり10~20本とします。
(参考文献:森徳典・著「北方落葉広葉樹のタネ」(北方林業会))

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Q5.種苗会社からハルニレ種子を購入した。貯蔵方法と播種時期を知りたい。
A5.自然状態での結実は5月下旬~6月中旬ですので、この時期の播種が最も良いでしょう。
 ただし、貯蔵されていたハルニレの種が乾燥した状態であった場合には、2~6日間程度の低温湿層処理(湿った砂などの中に入れ冷蔵で貯蔵)により発芽促進を図ったほうが良いでしょう。

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Q6.ヒバの結実促進方法は?
A6.ジベレリン(果樹などで使われるGA3)を8月に数回150ppmの濃度で葉面散布します。種子の採取は翌年の8月下旬から9月上旬に球果の色が緑褐色に変色したころに行います。

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Q7.貯蔵中のブナ種子の約1割が発根した。どうしたらよいか?(渡島管内、2月中旬)
A7.発根していない種子も同じ保存状態であれば今後発根してしまう可能性があるので、すべて播種してしまったほうがよいでしょう。ただし、発根してしまったものは播種しても枯死する可能性があります。

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Q8.ブナ種子の採取時期と播種方法を知りたい。
A8.種子の採取は9月中旬から下旬に行います。採取した種子はあまり乾燥させないようにして秋播します。

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Q9.スギ仮植苗を春の乾燥害から防ぐ方法は?
A9.防風ネットや寒冷紗などで風よけを作り乾燥を防ぐのがよいでしょう。

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Q10.松ぼっくり(針葉樹の球果)1個に何粒のタネが入っているのか?
A10.針葉樹の球果1個に納められている種子粒数は松ぼっくりを形成する鱗状のもの(種鱗)の枚数の2倍になります。それは各種鱗の内側に左右にそれぞれ1粒ずつ収まっているからです。ただし、球果の先端部や基部では種鱗が小さすぎるために、種子が入っていないことがよくあります。
例えば、カラマツ球果の種鱗数は40~50枚、同じカラマツの仲間のグイマツでは20~25枚ですので、単純計算ではそれぞれ80~100、40~50粒となりますが、実際は、それよりも少ない粒数となります。
 トドマツでは球果の成熟に伴い、種鱗ごと脱落するため、直接種鱗数を調査した例は少ないのですが、千粒重や球果重量から計算すると150粒前後となります。ただし、母樹の産地によってもばらつきがあることが知られています。

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Q11.サクラのタネはいつごろ取ればよいのか?
A11.タネを取るのに最適な時期は次のとおりです。

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Q12.トドマツ、アカエゾマツ、スギを養苗していますが、雑草駆除のために除草剤を使いたいと思っています。どのような除草剤を使えばいいでしょう。
A12.農薬は登録されたものしか使用できないので注意が必要です。スギ、エゾマツ、トドマツ床替床の1年生雑草防除には、ベンチオカーブ乳剤(商品名:サターン乳剤)が、スギ、カラマツ床替床の畑地1年生雑草防除にはクロルフタリム水和剤(商品名:ダイヤメート水和剤)が農薬登録されています。また、スギ、カラマツの播種床、床替床の畑地1年生雑草(ツユクサ、カヤツリグサ、キク、アブラナ科を除く)にはトリフルラリン乳剤(商品名:トレファノサイド乳剤)が登録されています(2008年2月27日現在)。なお、農薬の登録状況は日々流動的で、使用可能であった農薬が失効している場合があります。現在の農薬登録状況は、農林水産省HP「農薬コーナー(http://www.maff.go.jp/j/nouyaku/index.html)」-「農薬情報(農薬一覧、検索、各種基準など)」- 「登録速報(新規、適用拡大)、登録情報(農薬の適用作物、使用方法等の検索)」で知ることができます。

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Q13.根切りしたミズナラやカシワの苗を植栽しましたが,うまく活着しないのはなぜでしょう?
A13.ミズナラやカシワの根切りは,本来,髭根をたくさん発生させるために行う処理です。髭根を発生させるためには,根切り後にまた苗畑で育苗する必要があります。しかし,苗畑での掘り取りと搬送の手間を抑えるため,植栽直前に行われている場合が見受けられます。このような苗木ではうまく活着できません。

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