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林業試験場

森とみどりのQ&A(病虫獣害・獣害)

 

病虫獣害/獣害

Q1.加害動物判定のために、ネズミとウサギとエゾシカの加害の特徴を知りたい。

A1.
 

 

ネズミ枝葉、樹皮、根を加害します。枝葉の場合はウサギの加害に似ますが、いずれの場合もネズミは小さな前歯でかじるため、幅1㎜ほどの歯の跡が残ります。ネズミによる樹皮の加害は主に積雪中に発生するため、加害部は雪に埋もれる高さまでの範囲です。植え付け直後の樹木では、苗木全体が加害され割り箸のようになってしまうこともあります。ナラ類の苗木では根がかじられます。
ウサギ枝葉や樹皮を加害します。ウサギの前歯は大きいため、枝葉の加害部は刃物で切ったような切り口をしています。樹皮の加害された部分には、ネズミより大きな幅3㎜ほどの歯の跡が残ります。
シカ枝葉、樹皮を加害します。シカは上の前歯がないため、枝葉被害の切り口はきれいな切り口にならず樹皮繊維が残ります。樹皮の加害は、シカがかじった食害と雄が角をこすりつけた角こすりで特徴が異なります。食害では、加害部に下の前歯の歯の跡が筋状に残ります。角こすりでは、露出した木質部は滑らかになっています。

 

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Q2.庭木や街路樹をネズミの食害から守るにはどうしたらよいか?
A2.ネズミは草むらやササ地を生息場所としているので、ネズミが住みにくいように草が生えていればきれいに刈ることです。ネズミは冬の間にもいくらか移動するので、周辺の草刈りも行い、樹木とネズミが出会わないようにします。
 もうひとつは、樹木一本一本に手をかけてネズミがかじれないようにする方法です。目の細かい金網や塩化ビニール管などを縦に割り、幹に巻きつけます。巻きつける高さは地上から最大積雪深まで行うと安全です。雪に埋もれてしまうので取れないようにしっかり巻きつけることが大事です。巻きつけは秋に行い、春にはずします。同じくかじられないようにするということでは、ネズミが嫌がる薬剤(忌避剤)を塗る方法もあります。

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Q3.積雪が20㎝あるが、雪上に殺鼠剤をヘリ散布しても効果があるか?
A3.ヘリコプターを利用した殺鼠剤の散布は秋遅くに行い、根雪直前に終えるのが理想的です。雪上では、ネズミがまかれた殺鼠剤に遭遇することがほとんどないので、駆除効果は落ちてしまいます。このため、積雪時は散布しないことを勧めます。根雪になるなら散布の効果はほとんど期待できません。

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Q4.エゾヤチネズミの同一種は北海道外ではどういう地域に生息しているのか?
A4.同一種はサハリン、ロシア沿海地方、中国東北部、朝鮮半島北部、シベリア、スカンジナビア半島に生息しています。

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Q5.治山事業で播種したマメ科植物や牧草がエゾシカに食べられて困っている。エゾシカがあまり好まない植物にはどんなものがあるか。また、忌避剤があれば知りたい。
A5.エゾシカの食べ物は、草本類から樹木の葉・枝・樹皮など広範にわたっていますが、中には嫌いなものもあり、ハンゴンソウ、フッキソウなどがエゾシカが好まない植物として知られています。また、忌避剤は、カラマツやトドマツなどの樹木に対して、チウラム塗布剤、ジラム水和剤が使われています。

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Q6.広葉樹造林でのエゾシカ被害について知りたい。
A6.光珠内季報115:7~12(寺澤和彦 1999)に、様々な被害が紹介されています。
※リンク先の文献は、PDFファイル(2.85MB)です。

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Q7.最近は使われなくなっているようですが、野ネズミ防除のための防そ溝(防鼠溝)や墜落缶について教えて下さい。
A7.防そ溝は造林がさかんな昭和30年代半ばまではよく設置されていました。溝のつくり方は、造林地の境界に深さ・幅とも30~40cmの溝を掘り、溝のまわりのササや草を片側1m幅ずつ刈り取ります。地面を掘ることと、溝を清掃管理するための経費がかかりますが、溝で囲った造林地に野ネズミが侵入しないようにすることができます。しかし、管理が行き届かない造林地に設置した場合、崩れた箇所から野ネズミが造林地に侵入したり、野ネズミのすみ場所となったりしますので、手入れが大切です。北海道では最近ではほとんど設置されていません。
墜落缶は、ネズミを缶のなかに転落させて捕獲する道具です。防そ溝とセットにして、溝に落ちこむ野ネズミを捕獲する目的でかつてよく使われました。防そ溝のなかでは20mほどの間隔で埋設していました。墜落缶は、地面のなかに埋める労力と清掃作業、缶自体の経費がかかります。墜落缶は市販されていますが、一斗缶の上部を切って代用することもできます。なお、単独で墜落缶だけを使って野ネズミを防除することもできますが、それはごく狭い小林地に適用できる方法です。

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