森林研究本部へ

林業試験場

森とみどりのQ&A(造林・樹種特性)

造林/樹種特性

Q1.立木の幹材積に対する枝条や樹皮の割合はどれくらいですか?

A1.北海道立木幹材積表(中島広吉 1950)によると、北海道の主要樹種の枝条および樹皮の幹材積に対する比率はつぎのようになっています。

樹種枝条(%)樹皮(%)
トドマツ149
エゾマツ1710
アカエゾマツ2610
カラマツ2121
ナラ7315
オニグルミ2421
ニレ4113
アサダ3910
ヤチダモ2116
カツラ2012
ハリギリ1814
ホオノキ1914
シナノキ2613
ヤマハンノ1615
ヤマモミジ4019

↑このページのトップへ

Q2.広葉樹は年輪幅によって材質が異なると聞きましたが、もう少し詳しく教えてください。
A2.広葉樹材は、その年輪内での道管の配列によって環孔材と散孔材とに分けられます。環孔材は、早材部の年輪に沿って環状に大きな道管が配列されているもので、ミズナラ、ヤチダモ、ハルニレ、ハリギリなどが該当します。一方、散孔材は、大きな道管が早材から晩材まで比較的均一に分布しています。カンバ類やカエデ類、シナノキ、ブナ、ハンノキなどが散孔材に属します。
 年輪幅と材質との関係については、とくに環孔材では密接な関係があります。つまり、年輪幅が狭くなると大きな道管の占める比率が大きくなり、比重の低い柔らかい材になります。反対に年輪幅が広くなると比重が高く堅い材になります。

↑このページのトップへ

Q3.カラマツの葉から出た成分の農地に対する影響を知りたい
A3.カラマツ生葉内の精油はトドマツの4%弱と大変少なく,落葉ではさらに少なくなっていると考えられます。また、カラマツの葉から抽出したフェノール類を他の植物(アベナ:カラスムギ属)にかけて成長を調べた研究では、カラマツ葉のフェノール類はアベナの根の成長減少させなかったことが報告されています。したがって、落葉からの抽出物の影響は少ないと考えられます。

↑このページのトップへ

Q4.農地にアカエゾマツ、シラカンバを植えた場合、10年で何m位になるか?
A4.土壌の条件によって成長が異なりますので、正確には言えませんが、アカエゾマツで2―4m、シラカンバで3―5mというところです。

↑このページのトップへ

Q5.ヒバの二段林施業における必要照度は?
A5.ヒバは比較的耐陰性が高く相対照度10%以上であれば、裸地の約6割の樹高成長が見込まれ(10年で2m)、極端な生育障害も生じません。

↑このページのトップへ

Q6.アカエゾマツの結実周期は何年か?
A6.アカエゾマツでは全く結実しない大凶作年は少なく、豊凶の周期は3~4年です。

↑このページのトップへ

Q7.樹種ごとの木材の比重(容積密度)について教えて下さい。

A7.木材の比重(容積密度:t/m3)は、樹種によって大きく異なります。以下に、北海道における主要樹種の容積密度を記載します。

樹種名容積密度(t/m3)
トドマツ0.329
カラマツ0.444
エゾマツ0.314
アカエゾマツ0.391
シラカンバ0.453
ホオノキ0.386
イタヤカエデ0.519
シナノキ0.369
ミズナラ0.520-0.547
ヤチダモ0.492
表 北海道主要樹種の容積密度
(木材工業ハンドブックより引用)

↑このページのトップへ

Q8.広葉樹の種は何年おきに着けるのでしょうか?
A8.樹木は一般に、たくさんの種を着ける年(豊作年)もあれば、ほとんど種を着けない年(凶作年)、両者の中間的な量の種を着ける年(並作年)もあります。広葉樹では、樹種によって豊作年や凶作年の周期が異なり、シラカンバやダケカンバ、ミズナラでは3年に2回程度、並作以上の年が訪れます。一方、カツラ、ウダイカンバ、キタコブシなどでは3年に1回程度しか並作以上の年が訪れません。また、ブナやアオダモではおよそ5年に1回、大豊作となることがわかってきました。

↑このページのトップへ

Q9.植樹祭でアオダモを植えたいと思っていますが、種子の採集時期や保存方法について教えて下さい。
A9.翼果(種子)が茶色く変色し始める10月中旬頃に採集するのが良いです。しかし、アオダモは約5年に1度しか種子を着けないため、種子を採取できない年がほとんどです。そのため、豊作年にたくさんの種子を採取し、保存しておくのがよいでしょう。アオダモ種子を採取後、湿っているようであれば一昼夜程度、種子を陰干して下さい。その後、ポリ袋に入れて冷蔵庫に入れておけば5年程度、保存が可能です。

↑このページのトップへ

Q10.マツ類は何年位から種を着けるのでしょうか?
A10.一般的に、結実を開始する樹齢は、カラマツ類で15~20年、グイマツで15年程度、トドマツで25~30年(天然木は40年以上)、エゾマツで20~30年、アカエゾマツで30年以上です。しかし、生育条件(日当たり・土壌養分)の違いによって、結実を開始する樹齢は異なります。

↑このページのトップへ

Q11.グイマツ雑種F1はネズミに対する抵抗性が高く、形質が良いと聞いていますが、その特徴について教えて下さい。
A11.グイマツ雑種F1は、母親がグイマツ、父親がカラマツの種間雑種です。母親のグイマツはネズミの食害に対して強く、幹がまっすぐ(通直)で材の強度が強いといった長所を持っていますが、成長が遅いという短所があります。父親のカラマツは成長が良いという長所がある反面、ネズミの害に弱く、幹が曲がるという短所があります。これらを両親にもつグイマツ雑種F1は、グイマツとカラマツの長所を引き継いで、ネズミの害に強く、幹が通直で、成長がよいという特徴をもっています。これまで北海道では、特に幹の通直性が優れたグイマツ雑種F1を「グリーム」として品種登録してきました。また、近年の研究で、カラマツに比べて木材の比重(容積密度)が大きく、炭素固定能が高いグイマツ雑種F1(クリーンラーチ)を選抜しました。

↑このページのトップへ

Q12.樹木に貯蔵されている炭素量を推定するための計算方法を教えて下さい。
A12.樹木(幹、枝葉、根)に蓄積されている炭素の量は、樹木の幹の体積(幹材積:m3)、容積密度(t/m3)、拡大係数(幹に対する樹木全体の重量比)、炭素含有率(0.5)を用いて、以下の式によって推定できます。
  炭素量=(幹材積)×(容積密度)×(拡大係数)×0.5
 ・幹材積(m3):次式により推定
   針葉樹:0.000089718×D2.707623×0.993534D
   広葉樹:0.00010164×D2.641796×0.99161D
        Dは胸高直径(cm)を示す。
 ・容積密度(t/m3):材積当たりの乾燥重量(樹種により固有)
 ・拡大係数(針葉樹:1.7,広葉樹:1.6)
 ・炭素含有率(0.5)
例)胸高直径30cmのカラマツに含まれる炭素量は・・・
  幹材積: 0.000089718 × 30(2.707623) × 0.993534(30) = 0.738
  容積密度:0.444t/m3
  炭素量:0.738×0.444×1.7×0.5 = 0.278(t/m3)と推定されます。

↑このページのトップへ


お問い合わせは、みどりの相談まで