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林業試験場

森とみどりのQ&A(緑化樹・増殖)

 

緑化樹/増殖

Q1.サクラを増やす方法を知りたい。

Q2.イチイを増やす方法は?

Q3.サルナシ(コクワ)の増やし方は?

Q4.シダレカツラの増やし方は?

Q5.カエデ類は挿し木で増やせるか?

Q6.ヤナギ類を増やす方法は?

Q7.ケショウヤナギの育苗法を知りたい。

Q8.エゾノウワミズザクラの育苗法を知りたい。

Q9.ナナカマド及びアズキナシを種子で増やす方法は?

Q10.ツツジ類を挿し木で増やしたいが、どうすればよいか?

Q11.挿し木の発根促進剤があると聞いたが、どんなものがあるか?

Q12.チョウセンゴミシの増やし方は?

Q13.アロニア・メラノカルパの増やし方を知りたい。

Q14.サクラのタネまきの時期について知りたい。

Q15.ナナカマドの組織培養の方法を知りたい。

Q16.さし木の適期はいつか?

Q17.樹木の種子の播種について、
1.精選されたアオダモの種子は縦に播くのですか、それとも横にしてよいのでしょうか?
2.シラカンバは湿らせて砂を混ぜて播くのが良いでしょうか?
3.種子への覆土はどれぐらいがよいでしょうか?

Q18.ハルニレについて、さし木を行いたいのですが可能でしょうか?

Q19.オニグルミを播種したいのですが、翌年の春に芽は出てくるのでしょうか?

Q20.荒廃海浜に緑化をしたいのですが、カミネッコンを使用したポット苗を植栽するのは可能でしょうか?

Q21.センダイハギの種子を採取しましたが、どのようにしたら良いでしょうか?

Q22.コクワの雄と雌の見分け方を教えてほしい。また、今後雌を増やしたい。

Q23.イチイのタネの採取時期及び播種の仕方を教えてほしい。

Q24.昨年の秋にサクラのタネを播きましたが、春になっても発芽しません。

Q25.クルミの種子を播こうと考えていますが、種子の周りの青い肉は取った方がいいのでしょうか? 播く深さはどのくらいがいいのでしょうか?

Q26.カシワ林に生育している低木種を林緑に植栽する際の育成方法を教えてほしい。

Q27.海浜植物の種子はいつごろ取ったらよいでしょうか?

Q28.庭に生えているサクラを増やしたい。

Q29.エゾヤマザクラの種子を播きたい。

Q1.サクラを増やす方法を知りたい。
A1.エゾヤマザクラとチシマザクラは通常タネをまいて増やします。サトザクラ類(通称ヤエザクラ)、ソメイヨシノ、シダレザクラなどは接ぎ木で増やします。また、エゾヤマザクラなどでは一部組織培養による増殖が行われています。接ぎ木や組織培養では元の木と同じ性質を持ったクローン苗が作れます。

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Q2.イチイを増やす方法は?
A2.実生(タネ)と挿し木による方法があります。実生は芯の立った良い苗木ができますが、雄の木と雌の木のどちらになるかは決められないので、将来、実を付けるかどうかはわかりません。挿し木は発根率が高いのですが、苗木に枝性が残り、芯がなかなか立たないことがあります。実生と挿し木ともに、イチイの成長は遅く、大きくなるのに時間がかかります。

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Q3.サルナシ(コクワ)の増やし方は?
A3.サルナシは果実をジャムや果実酒などに利用します。雄の木と雌の木がありますので、果実を利用するには雌の木を増やす必要があります。そのため、挿し木によって増やすのが良いでしょう。秋に良く実を付ける個体を探し、春の葉が出る前のつるか、夏に新しく伸びたつるを使います。挿し木によって増やすのは簡単です。

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Q4.シダレカツラの増やし方は?
A4.シダレカツラは雄の木しか報告されておらず、タネができませんので、接ぎ木で増やします。挿し木では増やすことはできません。

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Q5.カエデ類は挿し木で増やせるか?
A5.ネグンドカエデは挿し木で発根しますが、その他のカエデ類の挿し木は難しいものがほとんどです。そのため通常は実生(タネまき)による方法と接ぎ木による方法で行います。

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Q6.ヤナギ類を増やす方法は?
A6.河畔に生育するヤナギ類のほとんどは挿し木によって増やすことが可能であり、ドロノキ、シロヤナギ、エゾヤナギ、ナガバヤナギ、エゾノキヌヤナギ、エゾノカワヤナギ、タチヤナギ、イヌコリヤナギ、ネコヤナギがこれに該当します。反対に、挿し木が難しくタネをまいて増やすものにはケショウヤナギ、オオバヤナギ、エゾノバッコヤナギがあります。

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Q7.ケショウヤナギの育苗法を知りたい。
A7.ケショウヤナギは道内では帯広周辺の十勝地方を中心に見られる落葉広葉樹です。雄の木と雌の木があり、果実は6月下旬頃に熟します。果実を採取し、乾燥させると中から綿毛に包まれたタネが出てきます。これを精選して綿毛を取り去り、タネだけをビニールポットまたは播種床に播きます。播き付ける土は通常の土でかまいませんが、上に鹿沼土を3cm程度敷いて、そこに播くと発芽率が高くなります。また、播き付け後数時間で芽が出てきますので、水をきらさないよう数日間は毎朝晩灌水をして下さい。秋には数cmになり、翌年の秋には大きなものは1.6m以上にも成長します。

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Q8.エゾノウワミズザクラの育苗法を知りたい。
A8.エゾノウワミズザクラは北海道東部を中心に自生している落葉広葉樹です。花は5月下旬頃に咲き、8月上旬頃に果実は黒く熟します。これを採取して、果肉を取り除き、タネをまきます。すぐにタネをまかない場合は、陰干ししてからビニール袋に入れ、冷蔵庫で保存した後、秋に播き付けます。翌年の春に発芽し、秋までに大きなものは40cmほどに成長します。さらに翌年の秋には、大きなものは1.2mほどに成長します。なお、タネが良く成る年とあまり成らない年があり、成り年のタネのほうが発芽が良いようです。

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Q9.ナナカマド及びアズキナシを種子で増やす方法は?
A9.ナナカマドやアズキナシの種子は、9月上旬から10月上旬に赤く熟した果実を採取します。採取したらすぐに水洗して果肉を取り去ります。種子はシイナが多いので、水に浮くような物は除去します。種子は、乾燥すると発芽率が低下するので、できるだけすぐにまきます。1㎡当たり2~20g程度をばら播きします。翌春まで種子を貯蔵したい場合は、保湿低温貯蔵(0~3℃)か土中貯蔵をする必要があります。春のタネまきは早春(4月)が良いでしょう。

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Q10.ツツジ類を挿し木で増やしたいが、どうすればよいか?
A10.ツツジ類には、常緑性と落葉性があります。常緑性のものは挿し木で増やしやすく、落葉性のものはタネで増えやすいとされています。挿し穂は、開花前の冬芽を付けたシュートか、6月~7月上旬に開花後の当年性のシュートを10~15cmほど採取します。30~60分ほど水あげしたあと、鹿沼土等に挿します。挿し木2ヶ月程で根が発達します。9月に鹿沼土とピートモスとの混合用土に植え替えします。2~3年で花を楽しむことができるようになります。

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Q11.挿し木の発根促進剤があると聞いたが、どんなものがあるか?
また,入手先は?
A11.市販のものでは「メネデール」、「ソフトシリカ」、「ルートン」、「オキシベロン」等があります。
いずれも、園芸用品店等で入手できます。

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Q12.チョウセンゴミシの増やし方は?
A12.チョウセンゴミシは、タネをまいたり、挿し木で増やすことが可能です。挿し木の場合、地上部を挿し穂とするよりも、地下部を掘りとって挿し穂とした方が根が出やすくなります。挿し穂は、鹿沼土に挿します。タネをまいて増やす場合は、9月中~下旬に果実を採取します。果肉をよく落とし、すぐにタネをまきます。10月に入ってから採取した種子は、翌々年に発芽することがあります。

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Q13.アロニア・メラノカルパの増やし方を知りたい。
A13.普通はタネまきで増やします。さし木でも発根しますが、発根率はあまり高くはありません。
苗木は日当たりが良い場所で、水はけが良く、栄養分が富んだ土に植えます。実生苗、さし木苗とも早いものは3年目ぐらいから花や実を付け始めます。寒さにはとても強いので、全道各地で栽培することができますが、雪の多い場所では雪で折れないようにしっかりと冬囲いをする必要があります。

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Q14.サクラのタネまきの時期について知りたい。
A14.サクラのタネは、採取してすぐにまくか、採取した年の9~10月ごろにまくと良いでしょう。

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Q15.ナナカマドの組織培養の方法を知りたい。
A15.ナナカマドの組織培養の方法は、次のとおりです。
1.枝の先端や冬芽から茎頂(成長点)を取り出す。
2.茎頂を栄養分と芽を増殖させる成分を含む寒天培地の上に置く。
3.光や温度を調節して、茎頂がたくさんの芽を増殖するように育てる。
4.増殖を始めた芽を切り分けて、再度培地へ置き、芽を繰り返し増殖させる。
5.増殖した芽を根をつくる培地に植え替え、苗木にする

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Q16.さし木の適期はいつか?
A16.樹種によって異なりますが、一般的には4月下旬の春ざし、または6月下旬~7月上旬の夏ざしが適期です。

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Q17.樹木の種子の播種について、
1.精選されたアオダモの種子は縦に播くのですか、それとも横にしてよいのでしょうか?
2.シラカンバは湿らせて砂を混ぜて播くのが良いでしょうか?
3.種子への覆土はどれぐらいがよいでしょうか?
A17.
1.アオダモの種子は土に縦に挿すような播き方はしません。手でばらまきにして構いません。
2.通常シラカンバの種子は乾いた状態で播きます。湿らせると手に種子がくっついてしまいます。
3.覆土は種子が隠れる程度とします。覆土は、ふるいを使用して行いますが、ふるいの網目は意外と大きいものが良いです(例えば6~8㎜程度)。通常はピートモス等を覆土用の土に混ぜて行っています。

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Q18.ハルニレについて、さし木を行いたいのですが可能でしょうか? また、組織培養で増殖することは可能でしょうか?
A18.ハルニレをさし木で増殖している事例は無く、さし木増殖が可能かどうか不明です。ちなみに、同じ属のノニレは根ざしで増殖が可能で、属が違いますがニレ科のケヤキはさし木で増殖しています。また、ハルニレの組織培養についても事例は見あたらず、組織培養による増殖が可能かどうか不明です。過去にアキニレによる組織培養が行われていますが、この場合は増殖率が低い結果となっています。

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Q19.オニグルミを播種したいのですが、翌年の春に芽は出てくるのでしょうか?
A19.秋に播種したオニグルミは翌年発芽してきますが、土中に深く埋めると発芽してきません。逆にこの性質を利用すると、オニグルミの種子を土中埋蔵して秋から春までなら保存することができます。この保存方法は湿度を保持しながら低温に保つことが大事です。

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Q20.荒廃海浜において緑化をしたいと思っています。カミネッコンを使用したポット苗を植栽するのは可能でしょうか?
A20.カミネツコンは地上部にそのまま据え置くだけなので、紙ポットのなかは乾燥しやすい欠点があります。中に入っている植物の根がカミネッコンの下から出てもともとの地面に伸びていかないと強い乾燥害を受けてカミネッコン中の植物は衰弱してしまいます。したがって、風当たりの強い場所や尾根部=凸地での使用は避けるべきです。凹部、斜面に挟まれた低地で使用することは可能と考えられます。

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Q21.センダイハギの種子を採取しましたが、どのようにしたら良いでしょうか?
A21.センダイハギは、サヤに豆が入った状態で結実していますが、そのまま保存しては、かびたり腐ったりしますので、さやから種子(豆)を取り出して紙箱等に広げて軽く一晩乾燥します。その後播種する時まで紙袋に入れて冷蔵庫または室内で保管します。

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Q22.コクワの雄と雌の見分け方を教えてほしい。また、今後雌を増やしたい。
A22.コクワには雄の木と雌の木がありますが、雄花と雌花の構造が違うので、そこで区別します。しかし、慣れていないと難しいので、確実に雌の木を見分けるためには、実がなっている木を探すことです。そこから枝を切り取ってさし木をすればよいでしょう。種子を播いた場合は、雄の木と雌の木が出来てしまいます。

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Q23.イチイのタネの採取時期及び播種の仕方を教えてほしい。
A23.発芽率を高めるためのポイントは次のとおりです。
1.果実が色づき始めたら採取する(8月下旬頃から)
2.播種する前に砂などと混ぜて袋に入れて、もんで種皮に傷を付ける。
3.採取したタネは秋のうちに播種する。

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Q24.昨年の秋にサクラのタネを播きましたが、春になっても発芽しません。なぜでしょう?
A24.通常は、秋までに播くと翌春に発芽しますが、タネの状態によっては発芽に2年かかる場合があり、時には3年かかることもあります。これはタネが休眠したためと思われます。翌年の春まで様子を見たほうが良いでしょう。

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Q25.クルミの種子を播こうと考えていますが、種子の周りの青い肉は取った方がいいのでしょうか? 播く深さはどのくらいがいいのでしょうか?
A25.クルミは青い果肉の部分を除去して播種します。深さは2~3㎝くらいがいいでしょう。あまり深いと地表面の熱が伝わらず発芽しないので、深く埋めすぎないようにします。播種時は種子は尖った部分を上にするのではなく、横むきに埋めてください。

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Q26.カシワ林に生育している低木種を林緑に植栽する際の育成方法を教えてほしい。
A26.カシワ林への低木種子の直播きでは確保する種子の量が多くなり、草刈りの労力も大きいので、ある程度育てた苗を植栽するといいでしょう。

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Q27.海浜植物の種子を住民と一緒に播種しようと考えています。いつごろ取ったらよいでしょうか?
A27.エゾカンゾウは夏の時期(7月下旬~8月上旬頃)が良いでしょう。ハマナスやツリガネニンジンであれば、9月上旬以降が良いと思います。このように植物の種類によって採取時期は異なります。

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Q28.サクラの種類は分かりませんが庭に生えているサクラを増やしたい。どうしたらよいでしょうか? 増やし方を教えて下さい。
A28.サクラを増やす方法はサクラの種類によって異なります。タネ播き、さし木、接ぎ木、組織培養などの方法がありますが、タネ播き以外の方法は技術的に難しく一般向きではありません。北海道で一般的なエゾヤマザクラ、チシマザクラであればタネで増やすことができます。ただ、ソメイヨシノや八重桜などの交配品種はタネで増やすことはできません。一度サクラの種類を確かめてみてください。

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Q29.エゾヤマザクラの種子を播きたいと思いますが、果実の採取、精選、播種時期等について教えて下さい。
A29.エゾヤマザクラの果実は黒くなって枝に付いているものを取ると良いでしょう。地面に落ちている果実は、早期に落下して充実していないものや、落ちてから日数が経過して乾燥して発芽力を失ったものが混ざっているので拾わないようにします。精選は果実採取後すぐ行います。保存は精選した種子を軽く一晩乾燥後に密閉して冷蔵庫に入れておきます。播種の時期は9月下旬~10月上旬に行うと良いでしょう。

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