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ヒオドシチョウ

ヒオドシチョウ

写真1 若い幼虫の集団。ハルニレ、1996/6。

写真2 老齢幼虫。函館、ハルニレ、1996/7/10。

被害の特徴
樹 種 ヤナギ、ニレ、エノキ、ケヤキ。
部 位 葉。
時 期 6月(幼虫加害時期)。
状 態 葉が食べられなくなる。食害部位やその近くには糸が張り巡らされ、幼虫(写真1~2)がいる。
幼虫 体長最大約5cm。数十頭の集団を形成する。
黒色で、黄色の複雑な斑紋がある(写真2)。分枝した刺を生ずる。

和名  ヒオドシチョウ

学名 命名者  Nymphalis xanthomelas japonica (Stichel)

分類  チョウ目(鱗翅目)Lepidoptera、タテハチョウ科Nymphalidae


寄主  エノキ、ニレ、ケヤキ、ヤナギ。とくにエノキを好むといわれる。

生態  年1回発生。成虫越冬。翌春、5月中旬頃に冬芽や新芽近くの枝上に卵を50個程度(とき100~200個)まとめて産む。孵化した幼虫は集団で枝葉上に糸をかけて葉を食べる。6月末頃、十分に成長した幼虫は、木を降りて、下枝や周囲の草木の枝や葉裏などで蛹になる。7月に蛹から成虫が羽化する。

分布  北海道・本州・四国・九州、サハリン。

被害と防除  幼虫は集団性のため、部分的に食害が目立つことがある。幼虫を取り除く。トゲがあり、刺激すると口から緑色の液を出すが、毒性は知られていない。


文献
[1960] 白水隆・原章, 1960. 原色日本蝶類幼虫大図鑑I. 142 pp. 保育社, 大阪.
[1983] 福田晴夫・浜栄一・葛谷健・高橋昭・高橋真弓・田中藩・田中洋・若林守男・渡辺康之, 1983. 原色日本蝶類生態図鑑(II). 325 pp. 保育社, 大阪.
[1986] 永盛拓行・永盛俊行・坪内純・辻規男, 1986. 北海道の蝶. 301 pp. 北海道新聞社, 札幌.

2009/1/24