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林業試験場

アカヒゲドクガ

アカヒゲドクガ

写真1 中齢幼虫、体長18mm。新得町、ミズナラ、1990/7/6。

写真2 老齢幼虫、体長38mm。、1990/7/20。写真1を飼育。

写真3 雄成虫、体長25mm。写真1を飼育。

写真4 終齢幼虫。ミズナラ、1986/7。

被害の特徴
樹 種 ブナ科樹木(ミズナラ、ブナ、クリなど)。
部 位 葉。
時 期 春~初夏(幼虫加害時期)。
状 態 葉が食べられる、なくなる。枝や葉上に幼虫がいる。被害木の下の地面に虫糞がある。
幼 虫 体長最大約5.5cm(写真1、2、4)。ある程度成長した幼虫には羽毛状の毛がある。
ドクガ科の幼虫は腹部第6、7各節背面中央に小突起(背腺)がある。
楕円形で、毛が付着する。

和名  アカヒゲドクガ

学名 命名者  Callitera lunulata (Butler)

分類  チョウ目(鱗翅目)Lepidoptera、ドクガ科Lymantriidae


形態  幼虫は上述のとおり(文献1943参照)。

寄主  コナラ、ミズナラ、クヌギ、クリ、ブナ(文献1958、1965、1982、1987)。

生態  本州では年2化、成虫は4~6月と7~8月に出現、幼虫は5~6月と7~9月に出現、若齢幼虫で越冬という(文献1958、1965、1982、1987)。
 北海道の低山地では6月下旬に中齢幼虫が採れ、飼育したところ8月上旬に繭となり、翌春に成虫になった。このため、北海道では年1化、蛹越冬、成虫は春に出現と考えられる。

分布  北海道南部・本州・四国・九州・琉球、シベリア南東部、朝鮮半島、中国。

被害と防除  道南ではブナで多発することがあるらしいが、詳しい被害実態は不明である。落葉樹は一般に春から初夏に葉を失っても、半月ほどで葉を再生し回復するため、枯れることはほとんどない。


文献
[1958] 江崎悌三ほか, 1958. 原色日本蛾類図鑑(下): I-V, 1-303, pls 65-136. 保育社, 大阪.
[1965] 一色周知(監修), 1965. 原色日本蛾類幼虫図鑑(上): 1-238, pls 1-60. 保育社, 大阪.
[1982] 井上寛ほか, 1982. 日本産蛾類大図鑑. Vol. 1: 1-968; Vol. 2: 1-556, pls 1-392. 講談社, 東京.
[1987] 杉敏郎(編集), 1987. 日本産蛾類生態図鑑: 1-453, pls 1-120. 講談社, 東京.

2001/8/17