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林業試験場

ヒメシロモンドクガ

ヒメシロモンドクガ

写真1 中齢幼虫、体長12mm。新得、ベルコーザカンバ。1993/8/10。

写真2 終齢幼虫、体長30mm。写真1を飼育。1993/8/23。

写真3 雌成虫、体長18mm。写真1を飼育。

写真4 若齢幼虫、体長7mm。新得、シラカンバ。1990/7/12。

写真5 中齢幼虫、体長14mm。写真4を飼育。1993/7/30。

写真6 雄成虫、体長12mm。写真4を飼育。

被害の特徴
樹 種 様々な樹木、草本、野菜。
部 位 葉。
時 期 春~秋(幼虫加害時期)。
状 態 葉が食べられる、なくなる。枝や葉上に幼虫がいる。被害木の下の地面に虫糞がある。
幼虫 体長最大約4cm(写真1~2)。 胸腹部は地色が黒か灰色で、オレンジ色の模様がある。前胸の両側と尾端背面に黒い毛束がある。成長すると背中の中央あたりに白い歯ブラシ状の毛束が生ずる。 色彩はやや個体変異があり、また、成長にともない変化する。
ドクガ科の幼虫は腹部第6、7各節背面中央に小突起(背腺)がある。
アカモンドクガの幼虫に似るが、背面両側のオレンジ色の線上に羽毛状の白い毛を持たないことにより区別できる。

和名  ヒメシロモンドクガ

学名 命名者・年  Orgyia thyellina Butler

分類  チョウ目(鱗翅目)Lepidoptera、ドクガ科Lymantriidae


寄主  様々な広葉樹、カンバ、ベニシタン、クレマチスなど。ダイズなどの野菜。

生態  成虫は暖地では年3回、6月、8月、10~11月に出現し、1~2齢幼虫で越冬という。
 北海道では年2回発生。卵で越冬。幼虫は6月と8月頃に多くみられる。幼虫は葉の間などで繭を作り蛹になる。成虫は初夏と秋に出現する。雌成虫は繭や繭に付着している枯れ葉の表面に数十から数百の卵を並べて産みつける。

分布  北海道・本州・四国・九州、朝鮮半島、シベリア南東部、台湾。

被害と防除  庭などでは普通にみられる。多発した例は知られていないが、単木的に食害が目立つことがある。
 落葉期に卵をみつけ取り除いて駆除する。卵は繭をくるんでいる枯れ葉の表面に産み付けられるので、枯れ葉を見つけ取り除く。繭に付いている毛が皮膚に刺さることがあるので、ゴム手袋をする。


文献
[1958] 江崎悌三ほか, 1958. 原色日本蛾類図鑑(下): I-V, 1-303, pls 65-136. 保育社, 大阪.
[1965] 一色周知(監修), 1965. 原色日本蛾類幼虫図鑑(上): 1-238, pls 1-60. 保育社, 大阪.
[1982] 井上寛ほか, 1982. 日本産蛾類大図鑑. Vol. 1: 1-968; Vol. 2: 1-556, pls 1-392. 講談社, 東京.
[1987] 杉敏郎(編集), 1987. 日本産蛾類生態図鑑: 1-453, pls 1-120. 講談社, 東京.

2001/4/12