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林業試験場

キアシドクガ

キアシドクガ

写真1 幼虫。美唄、ミズキ。2005/6/16。

写真2 卵塊(孵化殻)。写真1のいた木。2005/6/16。

写真3 成虫。美唄、ミズキ。2005/7/8。

写真4 幼虫。札幌、ミズキ。2009/6/8。

写真5 クモに食べられる幼虫。

被害の特徴
樹 種 ミズキ。
部 位 葉。
時 期 春(幼虫加害時期)。
状 態 葉が食べられる、なくなる。枝や葉上に幼虫や蛹がみられる。被害木の下の地面に虫糞がある。
幼 虫 体長最大約4cm(写真1~2)。 体は黒く、黄色の斑紋がある。
ドクガ科の幼虫は腹部第6、7各節背面中央に小突起(背腺)がある。
蛹は黄色、葉の中にみられる。

和名  キアシドクガ

学名 命名者  Ivela auripes (Butler)

分類  チョウ目(鱗翅目)Lepidoptera、ドクガ科Lymantriidae


寄主  ミズキ・クマノミズキ(文献1985)。

生態  生活環は下表のとおり(文献1985)。年1世代、卵越冬;春に孵化した幼虫は梢端にのぼり、葉を食べる(文献1985)。小さな頃は主に葉の裏側で食害するが、成長すると葉を巻いて巣を作る。老熟幼虫は粗い繭を作り蛹になる;雌成虫は幹の表面に卵を一層に並べて産む(文献1985)。

 発育ステージ ~3月   4    5    6    7    8    9   10   11~
 卵(越冬) ◇◇◇ ◇◇◇ ◇       ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇
 幼虫(摂食・生長)         ◆◆◆ ◆◆◆ ◆                  
 蛹               + ++                 
 成虫・卵                 ◎◎◎                

分布  北海道・本州・四国、シベリア南東部、中国(文献1985)。

被害観察地域 (樹木害虫発生統計資料に基づく)

被害と防除  ときに大発生し、葉を食べつくすことがあるが、葉が再生し枯れなかった(文献1985)。大発生は1~5年で終息している(樹木害虫発生統計資料参照)。
 森林では防除は普通必要ない。街路樹などでは幹上に黒い卵の塊を産むので、夏から冬の間に卵塊を取り除くかつぶして駆除する。樹木類のケムシ類に適用できる農薬が各種ある。


文献
[1985] 林康夫・吉田成章・小泉力・高井正利・秋田米治・福山研二・前田満・柴田義春・中津篤・田中潔・遠藤克昭・松崎清一・佐々木克彦, 1985. 北海道樹木病害虫獣図鑑. 223pp. 北方林業会, 札幌. (北海道での生態、カラー写真)

2012/6/21