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モンシロドクガ

モンシロドクガ

写真1 終齢幼虫、体長21mm。美唄、シラカンバ。1994/6/20。

写真2 雄成虫、体長13mm。写真1の幼虫を飼育。

写真3 若齢幼虫、体長6mm。新得、シラカンバ。1991/7/31。

被害の特徴
樹 種 ヤナギ、カンバなど落葉広葉樹。
部 位 葉。
時 期 春と秋(幼虫加害時期、春の食害が激しい)。
状 態 葉が食べられる、なくなる。枝や葉上に幼虫がいる。被害木の下の地面に虫糞がある。
幼 虫 体長最大約3cm(写真1)。体は黒く、背中と体の横が幅広くオレンジ色。黒い部分に白点が並ぶ。
ドクガ科の幼虫は腹部第6、7各節背面中央に小突起(背腺)がある。

和名  モンシロドクガ

学名 命名者  Euproctis similis (Fuessly)

分類  チョウ目(鱗翅目)Lepidoptera、ドクガ科Lymantriidae


寄主  ヤナギ、シラカンバ、ブナ科、バラ科、ニセアカシアなど。

生態  年2~3回発生、若齢幼虫で越冬といわれている。
 北海道では老齢幼虫が6月に出現し、飼育下では7月に成虫になったこと、7月末に採れた若齢幼虫が中齢で越冬に入ったことから、年1化のように思われる。
 雌成虫は葉裏に卵塊を産み、幼虫は若齢時は集団性、老齢で分散、葉間で繭を作る。

分布  北海道・本州・四国・九州、朝鮮半島、千島、ヨーロッパ。

被害と防除  本州などではヤナギで多発するとされている。北海道では多発記録はないようである。
 体毛には毒があり触ると皮膚炎を起こすので、衛生害虫として注意を要する。


文献
[1958] 江崎悌三ほか, 1958. 原色日本蛾類図鑑(下): I-V, 1-303, pls 65-136. 保育社, 大阪.
[1965] 一色周知(監修), 1965. 原色日本蛾類幼虫図鑑(上): 1-238, pls 1-60. 保育社, 大阪.
[1977a] 奥野孝夫・田中寛・木村裕, 1977. 原色樹木病害虫図鑑: I-VIII, 1-365, pls 1-64. 保育社, 大阪.
[1977b] 小林富士雄, 1977. 緑化樹木の病害虫(下)害虫とその防除. 290pp. 日本林業技術協会, 東京.
[1982] 井上寛ほか, 1982. 日本産蛾類大図鑑. Vol. 1: 1-968; Vol. 2: 1-556, pls 1-392. 講談社, 東京.
[1987] 杉敏郎(編集), 1987. 日本産蛾類生態図鑑: 1-453, pls 1-120. 講談社, 東京.

2001/4/12