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スギドクガ

スギドクガ

写真1 幼虫。由仁、トドマツ、1962/10/18。

被害の特徴
樹 種 スギ、ヒノキ、サワラ、ビャクシンなど。
部 位 葉。
時 期 秋と春(幼虫発生時期)。春の食害が激しい。
状 態 葉がなくなる。幼虫や繭がみられる。
幼 虫 体長最大40mm。緑色で白線があり、黒色の長毛を生じる。
胸部第1節の両側に黒色長毛の束がある。胴体の中央付近背面には褐色毛と白色毛の混じった毛の塊がある。末端近くの背面に黄色の長毛束がある。
ドクガ科の幼虫は腹部第6、7各節背面中央に小突起(背腺)がある。
楕円形で、毛が付着する。

和名  スギドクガ

学名  Calliteara argentata

分類  チョウ目(鱗翅目)Lepidoptera、ドクガ科Lymantriidae


形態  幼虫は上述のとおり(文献1943参照)。

寄主  スギ・ヒノキ・カイヅカイブキ・ヒマラヤシーダ(文献1943)。サワラ・ビャクシン(文献1994)。

生態  年1回発生;成虫は6~7月頃に発生;環境によっては8~9月に羽化することがある(文献1943)。卵は20~30個ずつ宿主の葉上に産み付けられる;卵は1~2週間で孵化する;幼虫は葉を食べて、少し成長した後に越冬する(文献1943)。幼虫が小さいとき、体を糸で葉に固定し越冬する(文献1994)。翌4~5月頃から幼虫は葉を食べ、5~6月頃に老熟して葉の間に繭を作って蛹化する(文献1943)。幼虫が成長する春に食害が目立つ;古く硬い葉を好んで食べ、枝先端の新葉を残す(文献1994)。

分布  北海道南部・本州・四国・九州、中国東北部、ロシア極東(文献1943)。

被害  被害木は著しく成長を阻害され、発生が多い場合は全葉を食害されて枯死する;老齢木には被害が少ないが、幼・壮齢木は著しい被害をこうむることがある;庭木などのカイヅカイブキにも被害が多い(文献1943)。
 道内にも分布するが、これまでのところ森林・緑化樹いずれにおいても多発した例はないようである。

防除  幼虫は振動で容易に落下するので、落下させて集めて駆除する;木が小さな場合は繭の採集による駆除も可能である(文献1943)。


文献
[1943] 松下眞幸, 1943. 森林害蟲學. 410pp. 冨山房, 東京. (形態、生態、被害、防除、過去の文献;なお、上記引用部分の出典は確認していない)
[1994] 柴田叡弌, 1994. スギドクガ. 小林富士雄・竹谷昭彦(編), 森林昆虫, 総論・各論: 284-286. 養賢堂, 東京. (形態、生態、防除)

2010/8/30