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林業試験場

ヤナギドクガ

ヤナギドクガ

写真1 幼虫。198?。

写真2 蛹。美唄市、ポプラ、1961/9/9。

被害の特徴
樹 種 ヤナギ科(ポプラ、ヤナギ)。
部 位 葉。
時 期 春~初夏(幼虫加害時期)。
状 態 葉が食べられる、なくなる。枝や葉上に幼虫や蛹がみられる。被害木の下の地面に虫糞がある。
幼 虫 体長最大約3cm(写真1)。 体は黒と黄色、背中に赤いコブが2列に並ぶ。
ドクガ科の幼虫は腹部第6、7各節背面中央に小突起(背腺)がある。

和名  ヤナギドクガ

学名 命名者  Leucoma salicis (Linnaeus)

分類  チョウ目(鱗翅目)Lepidoptera、ドクガ科Lymantriidae


寄主  ハコヤナギ属(ポプラ、ドロノキ)、ヤナギ属。

生態  生活環は下表のとおり(文献1985)。年1世代;卵で越冬;幼虫は葉を食べて成長し、7月中下旬に葉を曲げてうすい繭を作って蛹になる;雌成虫は卵を幹や枝に150~200個まとめて産み付ける(文献1985)。卵は緑白色、光沢のある泡沫状の分泌物でおおわれる(文献1985)。

 発育ステージ ~3月   4    5    6    7    8    9   10   11~
 卵(越冬) ◇◇◇ ◇◇◇ ◇            ◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇
 幼虫(摂食・生長)         ◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆                
 蛹                  ++ +              
 成虫                  ◎ ◎◎◎            

分布  北海道・本州、ユーラシア北部、北アメリカ(文献1985)。

被害観察地域 (樹木害虫発生統計資料に基づく)

被害など  森林や街路樹でまれに多発するが、1~2年で終息する(樹木害虫発生統計資料参照)。食害により木が枯れた例は記録がないようである。防除は普通必要ない。


文献
[1985] 林康夫・吉田成章・小泉力・高井正利・秋田米治・福山研二・前田満・柴田義春・中津篤・田中潔・遠藤克昭・松崎清一・佐々木克彦, 1985. 北海道樹木病害虫獣図鑑. 223pp. 北方林業会, 札幌. (北海道での生態、カラー写真)

2011/3/31