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林業試験場

エゾマツカサガ

エゾマツカサガ
被害の特徴
樹 種 エゾマツ、アカエゾマツ。
部 位 松ぼっくり(球果)。
時 期 夏~秋(幼虫加害時期)。
状 態 幼虫は松ぼっくりの髄の内部を食べる。
幼 虫 体長最大約10mm。体は細長い。頭部は黄色、胸腹部は黄白色。腹脚は不明瞭。

和名  エゾマツカサガ

学名 命名者  Cydia strobilella (Linnaeus)

分類  チョウ目(鱗翅目)Lepidoptera、ハマキガ科Tortricidae


形態  成虫・幼虫については文献1984を参照。

寄主  トウヒ属の球果、国外ではモミ属やマツ属の球果への寄生も観察されている(文献1984)。

生態  年1世代または2年1世代、幼虫越冬;成虫は5~6月に出現;卵から孵った幼虫は球果の髄部に潜る、10月頃には十分成長し、そのまま越冬する;大部分は翌春に球果内で蛹になるが、一部は幼虫のままもう一度冬を越してから蛹になる(文献1984)。

分布  北海道。北半球に広く分布。

被害と防除  エゾマツカサガは球果に非常に多くみられる(文献1989)。過去に重要害虫とされたことがある(文献1938)。しか、若齢時に種子を少量食べてからは球果の軸内部だけを食べること、軸内部を食べられても種子成熟に影響がないことから、実質的な被害は少ない(文献1991、1994)。


文献
[1938] 河野廣道, 1938. エゾマツ毬果の新害虫エゾマツカサハマキに就て (トドマツ・エゾマツの害虫調査報告第7報). 札幌農林学会報 29: 517-520.
[1984] 鈴木重孝・駒井古実, 1984. 北海道における針葉樹を摂取する小蛾類. 北海道林業試験場研究報告, 22: 85-129.
[1989] 上條一昭, 1989. 球果を加害する蛾類幼虫の見分けかた. 光珠内季報, 76: 15-19.
[1991] 上條一昭, 1991. 主要針葉樹の球果害虫. 光珠内季報, 85: 4-8.
[1994] 上条一昭, 1994. エゾマツカサガ. 小林富士雄・竹谷昭彦 (編), 森林昆虫, 総論・各論: 488. 養賢堂, 東京.

2009/3/25