ホソアトキハマキ Archips breviplicanus
写真1 終齢幼虫、体長25mm。美唄市、シラカンバ、1989/8/8。 | 写真2 雌成虫、体長9mm。写真1を飼育。 | 写真3 雄終齢幼虫、体長25mm。新得町、アオダモ、1991/6/1。 |
写真4 幼虫(写真3)の巣。1991/6/1。 |
樹種 | 広葉樹、カラマツ。 |
時期 | 6~8月。 |
部位 | 葉。 |
状態 | 葉が糸でつづられて食べられる。中に幼虫、蛹、蛹殻がみられる。 |
幼虫 | 体長最大約25mm。胸腹部は緑色、背中に白い斑点が並ぶ。 |
和名 ホソアトキハマキ
別名 リンゴモンハマキ
学名 命名者 Archips breviplicanus Walsingham
分類 チョウ目(鱗翅目)Lepidoptera、ハマキガ科Tortricidae、ハマキガ亜科Tortricinae
形態 幼虫は終齢で体長23~25mm。胸腹部は緑色あるいは灰色がかった緑色、時に背面が暗くなる個体もある。頭部は褐色(雌および夏の雄)または黒色(春の雄)。前胸背楯は黒色、前半中央で褐色、前縁は黄白色。刺毛基板は体より白く、明瞭。胸脚は前脚あるいは前・中脚が黒色で残りが黄褐色、もしくはすべて黒色。
刺毛基板がすべて白っぽい点でアトボシハマキに似るが、アトボシハマキの幼虫は終齢では頭部が褐色で黒い斑紋があり、巣の内部の葉が枯れている。
寄主 カラマツ、ヤナギ科、カバノキ科、ブナ科、バラ科、クワ科、モクセイ科などの樹木、マメ科(ダイズ)などの草本。
生態 年2回発生、若~中齢幼虫で越冬、成虫は6~7月と8~9月に出現するといわれている。
北海道では6月上旬と8月上旬に老齢幼虫が採れ、室内飼育したところそれぞれ約2週間後に成虫になった。
分布 北海道・本州・四国・九州、朝鮮半島、中国、サハリン、シベリア。
被害と防除 果樹園ではリンゴやナシなどのバラ科果樹の害虫とされているが、他の樹木では発生量は少なく、防除が必要とされた例はない。
文献
[1957] 江崎悌三ほか, 1957. 原色日本蛾類図鑑(上): I-XIX, 1-318, pls 1-64. 保育社, 大阪.
[1975] Yasuda, T., 1975. The Tortricinae and Sparganothinae of Japan (Lepidoptera: Tortricidae) (II). Bull. Univ. Osaka Pref., ser. B, 27: 79-251.
[1977] 奥野孝夫・田中寛・木村裕, 1977. 原色樹木病害虫図鑑: I-VIII, 1-365, pls 1-64. 保育社, 大阪.
[1982] 井上寛ほか, 1982. 日本産蛾類大図鑑. Vol. 1: 1-968; Vol. 2: 1-556, pls 1-392. 講談社, 東京.
[1984] 鈴木重孝・駒井古実, 1984. 北海道における針葉樹を摂食する小蛾類. 北海道林業試験場報告, 22: 85-129.
[1986] 山口昭・大竹昭郎(編集), 1986. 果樹の病害虫, 診断と防除. 全国農村教育協会, 東京.(形態、生態、被害、防除)