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林業試験場

カラマツヒメハマキ

カラマツヒメハマキ

写真1 若齢幼虫。1961/6/5。

写真2 終齢幼虫、側面と背面。美唄、1986。

写真3 成虫、雄、体長5.7mm(美唄産、1961-6-27採集)

写真4 カラマツ被害。早来、1994/8/24。

被害の特徴
樹 種 カラマツ・グイマツなどカラマツ属。
部 位 葉。
時 期 春と夏。
状 態 葉を糸で束ね巣を作って食べる。
幼 虫 体長最大約12mm。体はやや太い。茶色。頭部は黒い。

 寄主であるカラマツ属は北海道に自生しないため、北海道では外来種と考えられる。


和名  カラマツヒメハマキ

学名 命名者・年   Spilonota eremitana Moriuti, 1972

分類  チョウ目(鱗翅目)Lepidoptera、ハマキガ科Tortricidae


形態  上述のとおり。幼虫・成虫の詳細については文献1984を参照。

寄主  カラマツ・グイマツ(文献1984)。

生態  生活環は下表のとおり(文献1985を一部改変)。通常は年2世代(年や地域により年1世代)(文献1984参照)。若齢幼虫で越冬;幼虫ははじめ針葉中に潜入して内部を食害した後,短枝葉を筒状に束ね,その中にひそみ加害する;若い球果を食害することもある;蛹化は束ねられた短枝葉中か樹皮下で行われる(文献1984)。短枝の基部に枯葉を糸でつづった灰色の厚い膜をはり、その中で越冬する(文献1985)。

 発育ステージ ~3月   4    5    6    7    8    9   10   11~
 幼虫(越冬) ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇                  ◇◇◇ ◇◇◇
 幼虫(摂食・成長)          ◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆  ◆◆ ◆      
 蛹              ++ +     + +          
 成虫・産卵               ◎ ◎◎◎ ◎   ◎◎         

分布  北海道・本州、クナシリ、エトロフ、朝鮮半島(文献1985)。

被害観察地域 (樹木害虫発生統計資料に基づく)

被害など  カラマツ林でまれに多発するが、1年ほどで終息する(樹木害虫発生統計資料参照)。激害の場合は全林赤褐色に見えるという(文献1984)。食害は8月に目立つ。食害による木の著しい衰弱や枯死は記録がない。穿孔虫などによる二次被害の発生も記録がない。防除は必要ないと考えられる。


文献
[1984] 鈴木重孝・駒井古実, 1984. 北海道における針葉樹を摂食する小蛾類. 北海道林業試験場報告, 22: 85-129. (分類・形態・生態の概要、過去の文献)
[1985] 林康夫・吉田成章・小泉力・高井正利・秋田米治・福山研二・前田満・柴田義春・中津篤・田中潔・遠藤克昭・松崎清一・佐々木克彦, 1985. 北海道樹木病害虫獣図鑑. 223pp. 北方林業会, 札幌. (北海道での生態、被害、カラー写真)

2011/6/9