リンゴノコカクモンハマキ
リンゴノコカクモンハマキ Adoxophyes orana fasciata
写真1 終齢幼虫、体長14mm。美唄、シラカンバ。1989/8/8。 |
写真2 写真1の幼虫の巣、1989/8/8。 |
写真3 雄成虫、体長6mm。写真1を飼育。 |
写真4 終齢幼虫、体長16mm。新得、シラカンバ。1992/6/1。 |
写真5 幼虫、体長14mm。美唄、シラカンバ。1989/6/15。 |
| 樹 種 | リンゴ、ナシ、バラなど様々な広葉樹、カラマツ。 |
| 時 期 | 6～8月。 |
| 部 位 | 葉。 |
| 状 態 | 数枚の葉が糸で綴り合わせたり、葉の縁が折り曲げられ糸で綴られ、中に幼虫が単独でいる。 |
| 幼 虫 | 体長最大約17mm。緑色から暗い緑色、背中に淡い斑点が並ぶ。 |
和名
リンゴノコカクモンハマキ
別名 リンゴコカクモンハマキ
学名 命名者 Adoxophyes orana fasciata Walsingham
分類 チョウ目（鱗翅目）Lepidoptera、ハマキガ科Tortricidae、ハマキガ亜科Tortricinae
形態
幼虫は終齢で体長14～17mm。体色は変異がある。淡色の幼虫は、頭部が黄褐色、体が緑色、胸脚が暗褐色。暗色のものは、頭部が暗褐色、体が暗緑色、前胸背楯と胸脚が黒色。
淡色の幼虫はミヤマミダレモンハマキに似るが、頭楯（口のすぐ上）が白い点で区別できそうである。
寄主 カラマツ、ヤナギ科、カバノキ科、ブナ科、ニレ科、バラ科、クワ科、モクセイ科など。
生態
北海道では年2回発生し、若齢（2～3齢）幼虫で越冬する。越冬部位は粗皮下、小枝の分岐部などである。
北海道の低地では終齢幼虫が6月中旬と8月上中旬に採れた。幼虫は新芽や若葉を好む。成長した幼虫は葉の縁を折り曲げて巣を作る。果実の表面をかじることもある。
分布 北海道・本州・四国・九州。
被害と防除 果樹園のリンゴ、ナシ、ウメ、スモモ、オウトウなどでは主要害虫で、防除が行われている。庭木で多発した例はないようであるが、巣をみつけたら中の幼虫を駆除する。
文献
［1957］ 江崎悌三ほか, 1957. 原色日本蛾類図鑑（上）: I-XIX, 1-318, pls 1-64. 保育社, 大阪.
［1969］ 一色周知監修, 1969. 原色日本蛾類幼虫図鑑（下）: I－VI, 1－237, pls 1－68. 保育社, 大阪.
［1975］ Yasuda, T., 1975. The Tortricinae and Sparganothinae of Japan (Lepidoptera: Tortricidae) (II). Bull. Univ. Osaka Pref., ser. B, 27: 79-251.
［1977］ 奥野孝夫・田中寛・木村裕, 1977. 原色樹木病害虫図鑑: I-VIII, 1-365, pls 1-64. 保育社, 大阪.
［1982］ 井上寛ほか, 1982. 日本産蛾類大図鑑. Vol. 1: 1-968; Vol. 2: 1-556, pls 1-392. 講談社, 東京.
［1984］ 鈴木重孝・駒井古実, 1984. 北海道における針葉樹を摂食する小蛾類. 北海道林業試験場報告, 22: 85-129.
［1986］ 山口昭・大竹昭郎（編集）, 1986. 果樹の病害虫, 診断と防除. 全国農村教育協会, 東京.（形態、生態、被害、防除）