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林業試験場

タテスジハマキ・クロタテスジハマキ

タテスジハマキ・クロタテスジハマキ

写真1 幼虫。美唄市、トドマツ。1962/6/12。どちらの種か不明。

被害の特徴
樹 種 トドマツ。
時 期 5~6月。
部 位 新葉。
状 態 新芽が伸びない。糸でつづられ食べられる。中に幼虫が単独でいる。
幼 虫 体長最大約23mm。頭とそのすぐ後はつやのある黒または少し茶色っぽい黒。体は鮮やかな緑色。胸脚は黒い。
タテスジハマキとクロタテスジハマキは幼虫では区別できない。
よく似たモミコスジオビハマキやマツアトキハマキがトドマツで多発することがある。モミコスジオビハマキの幼虫は体が黄色から灰色、背中に黒点が並ぶ。マツアトキハマキの幼虫は頭が茶色から黒色、体が濁った緑色。

分類  チョウ目(鱗翅目)Lepidoptera、ハマキガ科Tortricidae


和名  タテスジハマキ

学名 命名者  Archips pulcher (Butler)

寄主  モミ属(トドマツなど)。

分布  北海道・本州・四国・九州、朝鮮半島、中国、ウスリー。


和名  クロタテスジハマキ

学名 命名者  Archips abiephagus (Yasuda)

寄主  モミ属(トドマツなど)、トウヒ。

分布  北海道・本州。


生態  両種の生態の概要は以下のとおり。年1回発生。幼虫は春に新葉を糸でつづりあわせて食べる。6月には十分成長し、葉を糸で束ねて中で蛹になる。蛹は6~7月に成虫になる。夏に孵化した幼虫は葉に潜る。数枚の葉を食べた後、それらを糸で束ねて中に潜って越冬する

 発育ステージ ~3月   4    5    6    7    8    9   10   11~
 幼虫(休眠・越冬) ◇◇◇ ◇◇◇ ◇‥                ‥ ◇◇◇ ◇◇◇
 幼虫(摂食・成長)         ‥◆◆ ◆‥      ‥◆◆ ◆◆‥        
 蛹             ‥++ +‥                 
 成虫・卵              ‥◎ ◎◎‥                

被害と防除  トドマツで多発することがある(樹木害虫発生資料参照)。トドマツ林の若い林で発生が多い(文献1984)。多発はごくまれである。防除は普通必要とされない。


文献
[1984] 鈴木重孝・駒井古実, 1984. 北海道における針葉樹を摂食する小蛾類. 北海道林業試験場報告, 22: 85-129.

2001/12/22