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林業試験場

トウヒオオハマキ

トウヒオオハマキ

写真1 幼虫、1968/6。

写真2 成虫。1968/7。

写真3 卵塊、1966/7/12。

被害の特徴
樹 種 トドマツ、エゾマツなど針葉樹。
時 期 春。
部 位 新葉。
状 態 新葉が糸でつづられて食べられる。中に幼虫、蛹、蛹殻がみられる。
幼 虫 体長最大約22mm。独特の色彩により識別は容易である(写真1)。

和名  トウヒオオハマキ

学名 命名者  Lozotania coniferana (Issiki)

分類  チョウ目(鱗翅目)Lepidoptera、ハマキガ科Tortricidae、ハマキガ亜科Tortricinae


形態  終齢幼虫は体長約20mm。頭部は褐色、単眼域と後頬が黒い。胸脚は黒色。体は淡い緑色から灰色がかった緑色。前胸背楯(頭部のすぐ後の背面)は黒色、前半中央で褐色、時に全体黒色。肛上板(尾端背面)は黒色または体と同色。刺毛基板は胸部と腹部1節で黒色、腹部2節以降では体より白っぽく、中心が小さく黒い。中齢幼虫は未観察。カクモンハマキやアトボシハマキに似るが、頭部の色彩で区別できる。

寄主  モミ属(トドマツなど)、トウヒ属(エゾマツなど)、ツガ(文献1984b)。

生態  年1回発生;幼虫は春に新葉を糸で綴って食べる;6月には十分成長し、葉を糸で束ねて中で蛹になる;成虫は6月中旬から7月中旬頃に出現する;雌成虫は葉の根元付近に卵をまとめて産む;2齢幼虫のときに数枚の葉を糸で綴り合わせて巣を作って中で越冬する(文献1984b)。

分布  北海道・本州、千島(文献1984b)。

被害  1982~1983年にかけて東神楽のトドマツで多発した記録が1例だけある(文献1983、1984a)。


文献
[1983] 小泉力(北海道森林昆虫談話会), 1983. 昭和57年度北海道に発生した森林害虫. 北方林業, 35: 178-182.
[1984a] 小泉力(北海道森林昆虫談話会), 1984. 昭和58年度北海道に発生した森林害虫. 北方林業, 36: 165-170.
[1984b] 鈴木重孝・駒井古実, 1984. 北海道における針葉樹を摂食する小蛾類. 北海道林業試験場報告, 22: 85-129.

2001/11/8