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ムラサキイラガ・ウスムラサキイラガ

ムラサキイラガ・ウスムラサキイラガ

写真1 ムラサキイラガの幼虫。美唄、庭のセイヨウミザクラ。1994/9/8。

写真2 ムラサキイラガの幼虫の体毛。写真1の拡大。

写真3 ウスムラサキイラガの幼虫、体長11mm。美唄、グルチノーザハンノキ。1998/8/7。

被害の特徴
樹 種 落葉広葉樹各種。
部 位 葉。
時 期 8~9月。
状 態 葉が食べられる。幼虫がいる。
幼 虫 イラガ科の幼虫は頭部が体内に引っ込んでいること、胸脚がごく小さいこと、腹脚が不明瞭であることなどの特徴がある。
体長最大約11mm。ムラサキイラガの幼虫の体毛は太い。ウスムラサキイラガの幼虫の体毛は根元だけ太い。
よく似た幼虫にキンケミノイラガ(キンケミノウスバ)があるが、この幼虫は6月に発生し、体毛が細く根元で膨らまない。

分類  チョウ目(鱗翅目)Lepidoptera、イラガ科Limacodidae


和名  ムラサキイラガ

学名   Austrapoda dentata

寄主  セイヨウミザクラ・グルチノーザハンノキなど。


和名  ウスムラサキイラガ

学名   Austrapoda hepatica

寄主  ポプラ・グルチノーザハンノキなど。


生態  ムラサキイラガとウスムラサキイラガはどちらも幼虫が夏から初秋にみられる。同じ木に両種の幼虫が混在して発生することもある。室内で飼育したところ繭になって越冬、翌年の晩春に成虫になった。屋外であれば7月頃成虫が発生すると思われる。北海道では年1世代のようである。

被害など  ムラサキイラガは本州では古くから害虫として知られているが、図鑑類で掲載されている写真はウスムラサキイラガである。北海道では1975年に美唄・江別・函館でサクラ・カツラ・クリなどに多発した記録がある(文献1976)。どちらの種かは不明。
 どちらの種も庭木などによくみられる。普通、防除は必要とされない。気になるときは葉ごと取り除く。


文献
[1976] 山口博昭・小泉力, 1976. 昭和50年度に発生した森林害虫. 北方林業, 28: 97-101.
[2002] Owada, M. and H. Hara, 2002. Immature stages of Pseudopsyche and Austrapoda (Lepidoptera, Limacodidae). Tinea, 17: 1-9.

2009/9/29