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林業試験場

マツノシンマダラメイガ

マツノシンマダラメイガ

写真1 庭のモンティコラマツの被害。美唄、2009/10/2。

写真2 写真1の幹。2009/10/2。

写真3 樹皮下の幼虫(樹皮をはがして撮影)。写真1の被害木。2009/10/2。

写真4 中齢幼虫、体長16mm。写真3と同じ個体。2009/10/2。

写真5 庭のヨーロッパアカマツの被害。札幌、2009/6/8。

写真6 蛹。写真5のヤニの内部。2009/6/8。

被害の特徴
樹 種 マツ属、トウヒ属など。
部 位 幹・枝の樹皮、新梢(当年枝)、若い松ぼっくり。
時 期 ほぼ通年。
状 態 木や枝が枯れる(写真1)。幹や枝から糞の混じったヤニがでる(写真2)。ときにヤニの塊ができる(写真5)。樹皮下やヤニの中に幼虫や蛹がいる(写真3・6)。
新梢が折れ曲がる、先が枯れる。内部に幼虫がいる。
松ぼっくりから虫糞がでる。内部に幼虫がいる。
幼虫 幼虫は体長最大約25mm。頭部は赤褐色。胸腹部は灰白色で緑色味または赤色昧を帯び、数本の茶色の縦縞がある。胸部第1節背面は黒褐色。背中に黒い斑点があり、その斑点の部分は盛り上がる。

和名  マツノシンマダラメイガ

学名 命名者  Dioryctria sylvestrella (Ratzerburg)

分類  チョウ目(鱗翅目)Lepidoptera、メイガ科Pyralidae


形態  幼虫は上述のとおり(詳細は文献1984・1985)。

寄主  トドマツの当年生枝、エゾマツ・ヨーロッパトウヒなどトウヒ属の当年生枝・幹、マツ属の当年生枝・幹・枝・球果(文献1984)。

生態  生活環は下表のとおり(文献1985)。北海道では年1世代のようである;幼虫のときに摂食部位の中で越冬;幼虫は新梢(当年生枝)や幹の内部に食い入る(文献1984)。

 発育ステージ ~3月   4    5    6    7    8    9   10   11~
 幼虫(越冬) ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇                  ?◇◇ ◇◇◇
 幼虫(摂食・成長)          ◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆                
 蛹               + +++ +              
 成虫・産卵                 ◎◎◎ ◎◎◎ ◎          
 幼虫(摂食・成長)                   ◆ ◆◆◆ ◆◆◆ ?      

分布  北海道・本州・四国・九州、朝鮮半島、ヨーロッパ。

被害観察地域 (樹木害虫発生統計資料に基づく)

被害と防除  クロマツ海岸林、ストローブマツ・ヨーロッパアカマツ人工林、庭木のマツ属を中心に被害が記録されている(樹木害虫発生統計資料を参照)。アカエゾマツでもまれに被害記録がある。
 庭木など緑化木では、加害部位が若枝、枝、球果の場合は切り取って処分する。幹の場合は切開して、中の幼虫を取り除く。


文献
[1984] 鈴木重孝・駒井古実, 1984. 北海道における針葉樹を摂食する小蛾類. 北海道林業試験場報告, 22: 85-129. (分類、形態、生態)
[1985] 林康夫・吉田成章・小泉力・高井正利・秋田米治・福山研二・前田満・柴田義春・中津篤・田中潔・遠藤克昭・松崎清一・佐々木克彦, 1985. 北海道樹木病害虫獣図鑑. 223pp. 北方林業会, 札幌. (北海道での生態、被害、カラー写真)

2011/6/22