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林業試験場

ウスバフユシャク

ウスバフユシャク

写真1 老齢幼虫、体長20mm。新得、ハスカップ。1991/6/1。

写真2 雄成虫、体長7mm。写真1の幼虫を飼育。

写真3 中齢幼虫、体長14mm。新得、エゾノコリンゴ。

被害の特徴
樹 種 広葉樹。
部 位 葉。
時 期 春。
状 態 葉が食べられる、なくなる。幼虫がみられる。
幼 虫 体長最大約23mm。体は暗い茶色または緑色。 尾端近くに2対の明瞭な腹脚があり、その前方の腹脚の前に小さな腹脚がある。
クロテンフユシャクやフタスジフユシャクに似るが、これらの種では緑色型は体の地色が白っぽくならない点と背面両側の2本の線が細い点により、暗色型は体の白線がかなり明瞭な点で区別できそうである。
緑色型はナミスジフユナミシャクにも似るが、フユシャク類は腹部第5節に小さな腹脚を持つ点で区別できる。

和名  ウスバフユシャク

学名  Inurois fletcheri

分類  チョウ目(鱗翅目)Lepidoptera、シャクガ科Geometridae


寄主  ブナ科、ニレ科、バラ科、カエデ科、カキ科。道内ではエゾノコリンゴ、ハスカップで寄生を確認している。

生態  年1化、本州の平地では成虫が12~1月に出現。卵は枝上に数個ずつ産み付けられる。新芽の頃、幼虫は孵化する。北海道の低山地では幼虫が5月下旬~6月上旬の若葉の頃に採れ、飼育したところ6月上~中旬に土中で蛹化、11月に成虫が羽化した。

分布  北海道・本州・四国・九州。

被害など  果樹園のリンゴでは害虫とされ、発生が目立つ場合は防除が行われている。道内では庭木などでも比較的多くみられることがあるが、普通、防除は必要とされない。


文献
[1975] 佐藤力夫・中島秀雄, 1975. 日本産シャクガ科食草目録. Ⅰエダシャク亜科. 蛾類通信, Suppl. 2: 1-56.
[1982] 井上寛ほか, 1982. 日本産蛾類大図鑑. Vol. 1: 1-968; Vol. 2: 1-556, pls 1-392. 講談社, 東京.
[1986] 山口昭・大竹昭郎(編集), 1986. 果樹の病害虫, 診断と防除. 全国農村教育協会, 東京. (形態、生態、被害、防除)
[1987] 杉敏郎(編集), 1987. 日本産蛾類生態図鑑: 1-453, pls 1-120. 講談社, 東京.

1996/1/4